第100回の記念大会を迎える全国高等学校野球選手権の大会歌「栄冠は君に輝く」を作詞した石川県能美(のみ)市の故・加賀大介さんと家族の物語が描いた、ドキュメンタリー映画が制作されます。
大会歌の歌詞は1948年6月20日に朝日新聞が公募し、5252編の中から石川県根上町(ねあがりまち・現:能美市)の加賀道子さんの詞が選ばれました。道子さんは金沢市内の職場で歌詞の当選の連絡を受け、朝日新聞金沢支局を訪れて当時は大金だった5万円の賞金を受け取りました。しかし、本当は婚約者だった大介さんが、道子さんの名で応募したものだったのです。「賞金目当てと思われるのはプライドが許さなかったようです」と道子さん。これは20年後の1968年2月に朝日新聞の取材に「作詞者は夫でした」と告白するまで、取材なども道子さんが受けていたという話です。
これらの話は以前(2015年8月6日:https://blog.goo.ne.jp/full-count/e/c8e8e09cb88ad14a10b06ab4e32e4867)に書きましたので、そちらをご覧ください。
そして、今回、こうした経緯や歌詞に込められた思いなどを映画監督・稲塚秀孝さんが、映画として記録にまとめられるのです。稲塚さんは2008年の第90回大会の際に道子さんを取材したことがあり、「100回大会で絶対に映画を作りましょう」と約束し、脚本を温めていたそうです。映画のテーマは「男の夢と挫折、そして家族の物語」とのことです。
撮影に協力した道子さんは、野球少年だった夫の思いが詰まった歌をこの夏、甲子園で聞く予定だそうです。道子さんは第50回大会以降、10年ごとの記念大会は開会式を観戦しており、今夏も子や孫ら一家総出で甲子園を訪れる予定だそうです。
「こんなに長生きして100回大会を迎えられるとは。甲子園で『栄冠は君に輝く』を聴くことは、私の生きがいみたいなものです」
私は、すべての高校球児、高校球児だった方、これから高校球児を目指す子どもたちに、詞の意味を、それぞれの思いでいいから心に刻んで欲しいと思います。
7月7日に金沢コロナシネマワールド(金沢)で先行上映し、7月下旬から全国で公開する予定です。
栄冠は君に輝く / 作詞;加賀大介 作曲;古関裕而
雲はわき 光あふれて
天たかく
純白のたま きょうぞ飛ぶ
若人よ いざ
まなじりは 歓呼にこたえ
いさぎよし ほほえむ希望
ああ 栄冠は 君に輝く