相撲部屋は、大相撲の力士を養成機関であり、力士が所属する団体(グループ/チーム)です。2017年4月1日現在、45の部屋があります。
力士と親方および行司、呼出、床山はすべていずれかの相撲部屋に所属していなければなりません。よって、力士はいずれかの部屋に所属していなければ本場所に出場することは出来ません。プロ野球での支配下選手登録のようなものです。
ほとんどの相撲部屋は、一門と呼ばれるグループのいずれかに所属しています。もともとは部屋の系統別の集合体が起源で、一門別に巡業などを行っていた時期がありました。また、以前は稽古場がなく、一門の中心の部屋に稽古にいく部屋もありましたが、現在は自前の稽古場を持たなければ部屋の設立は認められなくなっています。
部屋名は、師匠が名乗っている年寄名跡を被せたものになりますので、実質的に同じ部屋でありながら部屋の名称が変更される場合や、系統が違うにもかかわらず同じ部屋名を名乗る場合があります。
また、相撲部屋は運営する年寄の就任や退職などにより、分家独立・統合・消滅を繰り返していますので、昭和時代までは30部屋前後でしたが、平成時代になると相撲人気が高まり入門志願者が増え、新しい部屋が次々に作られ2004年には最多の55部屋もありましたが、現在は部屋新設の基準の厳格化以降、部屋の数は減少傾向にあります。
相撲部屋の新設条件は次のとおりです。
1.横綱もしくは大関(大関から陥落した力士も含む)
2.三役(関脇・小結)通算25場所以上
3.幕内通算60場所以上(番付制限なし)
これらのいずれかの条件を満たし、師匠の了承を受けることにより、引退後1年以上経過した後、理事会の承認を経て部屋を新設出来ます。
2017年11月場所終了時点で、この条件を満たしている現役・引退力士は以下のとおりです。
現役力士(四股名:条件 - 所有する年寄名跡)
稀勢の里:横綱 - 荒磯
豪栄道:大関
髙安:大関
琴奨菊:元大関 - 秀ノ山
栃煌山:三役通算25場所 - 清見潟
安美錦:幕内通算95場所 - 安治川
豪風:幕内通算84場所 - 押尾川
嘉風:幕内通算69場所 - 中村
豊ノ島:幕内通算68場所
部屋付き年寄(年寄名跡 - 現役時の四股名:条件)
大鳴戸 - 出島:元大関
二子山 - 雅山:元大関
西岩 - 若の里:三役通算26場所
北陣 - 麒麟児:幕内通算84場所
竹縄 - 栃乃洋:幕内通算81場所
立川 - 土佐ノ海:幕内通算80場所
花籠 - 太寿山:幕内通算64場所
粂川 - 琴稲妻:幕内通算60場所
この規定になって以降、部屋を新設したのは
武蔵川部屋:元横綱武蔵丸が藤島部屋から独立
浅香山部屋:元大関魁皇が友綱部屋から独立
朝日山部屋:元関脇琴錦(三役通算34場所)が尾車部屋から独立
鳴戸部屋:元大関琴欧洲が佐渡ヶ嶽部屋から独立
の4例であり、部屋付き年寄で規定を満たした西岩も2017年11月30日に田子ノ浦部屋からの独立が承認され、2018年2月に西岩部屋を新設する予定です。
年寄名跡が新制度となり、現役力士が理事会で相撲部屋継承者と認められれば、年寄襲名条件ではなく、例外規定を適用し、現役を引退して部屋を継承することが可能となりました。
1.幕内通算12場所以上
2.幕内・十両(関取)通算20場所以上
この条件のうちいずれか1つを満たし、理事会で相撲部屋継承者と認められれば、現役を引退して部屋を継承できます。2017年11月場所終了時点で、この条件を満たしている力士は以下のとおりです。
舛乃山 - 幕内通算13場所
千代ノ皇 - 関取通算27場所
徳真鵬 - 関取通算27場所
千代丸 - 関取通算26場所
北はり磨 - 関取通算25場所
明瀬山 - 関取通算24場所
大岩戸 - 関取通算24場所
双大竜 - 関取通算24場所
芳東 - 関取通算21場所
大栄翔 - 関取通算21場所
この規定になって以降、現役を引退し部屋を継承したのは2例あります。
宮城野部屋:元十両金親(十両通算24場所)が継承
春日山部屋:元前頭濱錦(関取通算27場所)が継承
なお、部屋の師匠が定年などで部屋付きの親方が師匠になる場合は条件等の制限はないそうです。
2017年4月1日現在の相撲部屋
部屋名 / 開祖 / 師匠 / 創設年月
出羽海部屋 / 初代出羽ノ海 (前1・出羽海) / 11代出羽海 (前2・小城ノ花) / 1800年頃
春日野部屋 / 8代春日野 (横綱・栃木山) / 11代春日野 (関脇・栃乃和歌) / 1925年
玉ノ井部屋 / 13代玉ノ井 (関脇・栃東) / 14代玉ノ井 (大関・栃東) / 1990年1月
入間川部屋 / 16代入間川 (関脇・栃司) / 15代若藤(前4・皇司) / 1993年1月
山響部屋(前:北の湖部屋) / 一代北の湖 (横綱・北の湖) / 20代山響 (前1・巌雄) / 1985年12月
式秀部屋 / 8代式守秀五郎 (小結・大潮) / 9代式守秀五郎 (前9・北桜) / 1992年4月
木瀬部屋 / 11代木村瀬平 (前1・肥後ノ海) / 13代稲川(小結・普天王) / 2003年12月
尾上部屋 / 17代尾上 (小結・濱ノ嶋) / 不在 / 2006年8月
藤島部屋(前:武蔵川部屋) / 14代武蔵川 (横綱・三重ノ海) / 18代藤島 (大関・武双山) / 1981年8月
武蔵川部屋 / 15代武蔵川 (横綱・武蔵丸) / 17代雷 (小結・垣添) / 2013年4月
境川部屋 / 12代中立 (小結・両国) / 13代境川 (小結・両国) / 1998年5月
二所ノ関部屋(前:松ヶ根部屋) / 12代二所ノ関 (大関・若嶋津) / 19代北陣 (関脇・麒麟児) / 1990年2月
佐渡ヶ嶽部屋 / 11代佐渡ヶ嶽 (小結・琴錦) / 13代佐渡ヶ嶽 (関脇/琴ノ若) / 1955年
尾車部屋 / 8代尾車 (大関・琴風) / 不在 / 1987年3月
鳴戸部屋 / 15代鳴戸 (大関・琴欧洲) / 不在 / 2017年4月
片男波部屋 / 12代片男波 (関脇・玉乃海) / 14代片男波 (関脇・玉春日) / 1961年5月
田子ノ浦部屋(前:鳴戸部屋) / 13代鳴戸 (横綱・隆の里) / 15代田子ノ浦 (前8・隆の鶴) / 1989年2月
高田川部屋 / 8代高田川 (大関・前の山) / 9代高田川 (関脇・安芸乃島) / 1974年4月
峰崎部屋 / 7代峰崎 (前2・三杉磯) / 15代花籠(関脇・太寿山) / 1988年12月
芝田山部屋 / 12代芝田山 (横綱・大乃国) / 不在 / 1999年6月
時津風部屋 / 一代双葉山 (横綱・双葉山) / 16代時津風 (前3・時津海) / 1941年5月
湊部屋 / 22代湊 (前2・豊山) / 23代湊 (前2・湊富士) / 1982年12月
荒汐部屋 / 8代荒汐 (小結・大豊) / 不在 / 2002年6月
伊勢ノ海部屋 / 不明 / 12代伊勢ノ海 (前3・北勝鬨) / 1757年以前(1942年5月再興)
鏡山部屋 / 7代鏡山 (横綱・柏戸) / 8代鏡山 (関脇・多賀竜) / 1969年7月
井筒部屋(前:君ヶ濱部屋) / 8代君ヶ濱 (関脇・鶴ヶ嶺) / 14代井筒 (関脇・逆鉾) / 1972年7月
陸奥部屋(前:井筒部屋) / 7代井筒 (横綱・初代西ノ海) / 9代陸奥 (大関・霧島) / 1900年頃
錣山部屋 / 20代錣山 (関脇・寺尾) / 19代立田川 (小結・豊真将) / 2004年1月
追手風部屋 / 11代追手風 (前2・大翔山) / 不在 / 1998年10月
中川部屋(前:春日山部屋) / 15代春日山 (大関・名寄岩) / 15代中川 (前14・旭里) / 1955年5月
高砂部屋 / 初代高砂 (前1・高砂) / 7代高砂 (大関・4代朝潮) / 1880年頃
東関部屋 / 12代東関 (関脇・高見山) / 13代東関 (前10・潮丸) / 1986年2月
錦戸部屋 / 10代錦戸 (関脇・水戸泉) / 20代千田川(小結・闘牙) / 2002年12月
九重部屋 / 11代九重 (横綱・千代の山) / 14代九重 (大関・千代大海) / 1967年1月
八角部屋 / 8代八角 (横綱・北勝海) / 19代陣幕 (前1・富士乃真) / 1993年10月
伊勢ヶ濱部屋(前:安治川部屋) / 3代安治川 (関脇・陸奥嵐) / 9代伊勢ヶ濱 (横綱・旭富士) / 1979年4月
友綱部屋(前:高島部屋) / 8代高島 (前4・八甲山) / 11代友綱 (関脇・旭天鵬) / 1922年
宮城野部屋(前:吉葉山道場) / 一代吉葉山 (横綱8・吉葉山) / 12代宮城野 (前13・竹葉山) / 1958年1月
浅香山部屋 / 15代浅香山 (大関・魁皇) / 不在 / 2014年2月
朝日山部屋 / 19代朝日山 (関脇・琴錦) / 不在 / 2016年6月
貴乃花部屋(前:二子山部屋) / 10代二子山 (横綱・初代若乃花) / 一代貴乃花 (横綱・貴乃花) / 1962年9月
大嶽部屋(前:大鵬部屋) / 一代大鵬 (横綱・大鵬) / 17代大嶽 (十4・大竜) / 1971年12月
阿武松部屋 / 12代阿武松 (関脇・益荒雄) / 12代不知火 (小結・若荒雄) / 1994年10月
立浪部屋 / 4代立浪 (小結・緑嶌) / 7代立浪 (小結・旭豊) / 1915年
千賀ノ浦部屋 / 19代千賀ノ浦 (関脇・舛田山) / 20代千賀ノ浦 (小結・隆三杉) / 2004年9月
なお、1990年代前半にSWS(スーパー・ワールド・スポーツ)は、メガネスーパーがスポンサーとなり天龍源一郎さんを核に全日本プロレスと新日本プロレスなどから選手を集めて作られたプロレス団体がありました。SWSでは相撲にちなんだ部屋別制度を採用し、この部屋同士の対抗戦をカード編成の主体としました。部屋として3つが置かれました。
<レボリューション>
天龍源一郎(道場主、理事会長、選手会長、取締役、代表取締役社長)
ザ・グレート・カブキ(選手会編成部長、マッチメーカー)
石川敬士(選手会会計、マッチメーカー)
阿修羅・原、サムソン冬木、北原辰巳(現:北原光騎)、北尾光司、ウルティモ・ドラゴン(旧:2代目ザ・タイガー、EMLL極東担当)、安良岡裕二、折原昌夫、平井伸和、中原敏之
<道場「檄」>
将軍KYワカマツ(道場主、選手会管理部長、選手会副会長、取締役)
ケンドー・ナガサキ(選手会編成部長)
谷津嘉章(選手会議長、2代目道場主、2代目選手会長)
鶴見五郎(道場主代行)、仲野信市、高木功(現:嵐)、畠中浩(現:畠中浩旭)、川畑輝(現:川畑輝鎮)、維新力、山中鉄也
<パライストラ>
ジョージ高野(道場主)
高野俊二(現:高野拳磁)、ドン荒川、アポロ菅原、新倉史祐、佐野直喜(現:佐野巧真)、大矢健一(現:大矢剛功)、片山明
しかし、この部屋別制度が派閥争いを招き、事実上単独エースだった天龍さん率いるレボリューションと、それ以外の部屋とで主導権争いが生じ、他にもトラブルが続き、短期間で崩壊を迎えてしまいました。結果として、その後設立したWARの活動停止後、現在のインディー団体乱立の遠因になりましたが、部屋別制度は違うスタイルのプロレスラーが対戦することから、現在のユニット対抗戦の先駆けになりました。
なお、1974年3月10日に発売された布施明さんの「積み木の部屋」というシングル曲があります。
1974年の第16回日本レコード大賞で歌唱賞を受賞し、この曲で第25回NHK紅白歌合戦へ8年連続8回目の出場を果たしています。オリコンチャート上の売上数は、58.2万枚を記録。これは布施さん自身唯一のミリオンセラーを達成し、更に翌1975年末の「第17回日本レコード大賞」など数々の音楽賞でグランプリを獲得した「シクラメンのかほり」に次いで、2番目のヒット曲です。
貧しくても、愛し合った二人。しかし、別れは積み木が崩れるように突然やってきます。
詞:有馬三恵子
いつの間にか君と 暮らしはじめていた
西日だけが入る せまい部屋で二人
君に出来ることは ボタン付けとそうじ だけど充ち足りていた
やりきれぬ淋しさも愚痴も おたがいのぬくもりで消した
もしもどちらか もっと強い気持ちでいたら 愛は続いていたのか
リンゴかじりながら 語り明かしたよね
愛はあれからどこへ
貧しくても、目標を持った同志。しかし、お終いは積み木が崩れるようにちょっとした事で突然やってきます。