三年生の夏の大会は 敗けたら引退となります。
本格的な高校限りで終える選手も多いと聞きます。ですから、高校に入ってから、ともに汗を流してきた仲間と一日でも長く野球を続けたいと思って臨んでいます。
また、部員の多いチームでは背番号を付けてベンチ入りできるのは、地方大会の場合には20名と決められています。
ですから、どれだけ努力しても、ベンチ入りを外れてしまう三年生もいます。
毎日選手と顔を合わせてきた選手にとっても思いは複雑です。
もちろん、こうした話は高校野球に限ったことではありませんが、注目度の高い高校野球では大きく取り上げられたりしますので、ニュースなどでも見ることがあったりします。
ですから、試合に出場する選手たちはベンチに入れなかった仲間をはじめ、周囲の人たちの思いを胸にグラウンドに立ち、一生懸命で全力のプレーをします。
どんなに点差が開こうとも、諦めない。だから、劇的な試合もあるのが、高校野球の面白さでもあります。
先日の長野高対飯田風越高の試合後です。
球場の外で二日連続・この夏三回目の補助員の太郎が来るのを待っていました。
すると、試合に負けた飯田風越高のユニフォーム姿の選手とマネージャーが手に千羽鶴などを持って、私の目の前をとおり、勝った長野高校の選手たちがいる一塁側へ向かっていきました。
そして、千羽鶴などを長野高の選手らに手渡ししました。
私の目の前をとおるときには主将と背番号5の選手の目にはまだ涙があり、渡した後にも、涙はほほを伝わり、抱えられるように歩いていく姿は、夏の高校野球の風物詩とはいえども、見ていて切ないものがあります。
二年後には、どのタイミングで自分に来るのか・・・
しかも、この手渡ししていた千羽鶴は、ほんの数十分前まではスタンドの最上段で選手たちを応援していたものです。
それを思い出すと、私もちょっと切ないです。
また、この後、私の左側で飯田風越高のあいさつ、右側で長野高のあいさつがほぼ同時にはじまりました。
対照的なあいさつの様子でした。
べたな言い方ですが、この日流れた涙は無駄にはならない。
無駄にしてはいけないと思います。
それは、これからの生き方で答えが出るものです。
高校野球を過ごした時間を無為にしないように。
「魂結邁進 ~刻め 風伝説~」
これからの一人ひとりの未来が素晴らしいものでありますように。