バント(Bunt)とは、野球や(ファストピッチ)ソフトボールにおける打撃方法の一つ。ルールでは「バットをスイングしないで、内野をゆるく転がるように意識的にミートした打球」と定義されています。
この基準に基づいて、通常の打撃なのかバントなのかの判断は審判員によって行われます。また、プレーの結果として犠牲バントを記録するかどうかの判断は公式記録員によって行われます。
スイングバントとはハーフスイング時などでバットにボールが当たり、結果としてバントのような打球となるものです。2ストライク後にファウルになった場合、審判員が「(バントではなく意思を持って)打ちに行った」と判断すれば三振とはならず、バントと判断された場合、3バント失敗でアウトになります。
プッシュバントはバットを押し込むようにバントを行い、意図的に強い打球にするバントです。
バスターとはバントの構えを見せておいて、相手ピッチャーの投球後に通常の構えに切り替えてヒッティングすることです。
さて、公認野球規則ではカット打法についての規制はありません。しかし、高校野球には特別規則があり、その17項目にある「バントの定義」で「バットをスイングしないで、内野をゆるく転がるように意識的にミートした打球である。自分の好む投球を待つために、打者が意識的にファウルするような、いわゆるカット打法は、そのときの打者の動作(バットをスイングしたか否か)により、審判員がバントと判断する場合もある」というものです。
この特別規則17項のきっかけが1972年夏の東洋大姫路高(兵庫)と習志野高(千葉)の一戦だと言われています。東洋大姫路高の九番バッターは、今回話題になった花巻東高(岩手)のバッターと同じく、ファールで粘ってフォアボールを選ぶカット打法。地方大会(12打数無安打10四球)からバントか否か議論されていたそうです。
そして、習志野高との一回戦で初回2アウト一・二塁から二度カット打法でファール。このとき、一度目に習志野高のキャッチャーが「バントだ」とアピール。二度目に球審から「フォロースルーをするように」と警告されたという。
これを機に17項が設定されたそうです。
その後、1983年選抜準々決勝の東海大一高(静岡;現・東海大翔洋)-享栄高(愛知)戦で東海大一高のエースが右肘痛に見舞われ、享栄高が球数を投げさすためカット。球審から注意を受けています。
1992年選抜決勝の東海大相模高(神奈川)-帝京高(東京)で東海大相模高のバッターが2ストライク後にカット。スリーバント失敗に取られ、三振の判定を受けています。
なお、NPBでは1974年6月13日安井智視さん(近鉄バファローズ)と1981年9月16日冨田勝さん(中日ドラゴンズ)が14球のファールボールで18球粘ってフォアボール。
一打席で多くの球数を放らせたとして1947年11月11日松井信勝さん(太陽ロビンス)13球のファールボールで19球粘ってフォアボール、さらに、2012年7月7日明石健志さん( 福岡ソフトバンクホークス)が乾真大さん(北海道日本ハムファイターズ)から15球のファールを打って、19球粘ってフォアボール、つい先日の2013年8月24日に鶴岡一成さん(横浜DeNAベイスターズ)が山口鉄也さん(読売ジャイアンツ)から 14球のファールボールで19球粘って三振という記録があります。
また、MLBでは1940年にホワイトソックスのルーク・アプリングさんが30球粘ってフォアボールを選んだ記録があり、このときはファールがなんと24球だったそうです。
ちなみに、17項のきっかけの習志野高のキャッチャーは現・読売ジャイアンツの阿部慎之助選手のお父さんです。