野球小僧

第66回 全国高等学校定時制通信制軟式野球大会 決勝 天理高(東近畿1・奈良) vs. 八王子拓真高(東京1)

第66回全国高等学校定時制通信制軟式野球大会の決勝が8月17日に、明治神宮球場で行われ、天理高(東近畿1・奈良)が8-3で八王子拓真高(東京1)に勝ち、13年連続16度目の優勝を飾りました。

天理   200010302|8
八王子拓真000000003|3

全国高等学校定時制通信制軟式野球大会は日本の定時制や通信制高校生を対象とした軟式野球の全国大会です。今年(2019年)は8月13日~17日(雨天順延あり)の期間で、明治神宮野球場、江戸川区球場、府中市民球場、大田スタジアム、稲城中央公園野球場 葛飾総合スポーツセンター野球場で、各都道府県・各地区代表1校(ただし、東京都および前年度優勝校の都道府県・地区は2校)の計22校が集まって開催されました。

「もうひとつの甲子園」や、全日制の軟式野球大会に続く形で、「二つ目の甲子園」とも呼ばれています。

全国高等学校定時制通信制体育大会としては軟式野球大会は一番古い歴史があり、第1回大会は1954年に、参加校6校で開催されました。最初は定時制のみの大会でしたが、第15回大会に高松高通信制が参加して以来、定時制通信制高校の野球大会として開催しています(大会名が「定時制大会」から「定時制通信制大会」に変更になったのは第21回大会から)。

人数不足を補うためなどから、全日制の男子硬式・軟式大会と異なり、女子生徒も選手として登録・出場が認められています。

定時制独自の大会が存在しなかった1953年当時、群馬・藤岡高の定時制野球部は全日制同様、群馬県の高野連軟式野球大会に参加し、見事県予選大会に優勝しましたが、定時制四年生の二次予選の出場資格が認められませんでした。結局二次予選に出場したのは全日制の前橋商業高となった事に対して、「働きながら学ぶ定時制生徒に青春時代の喜びと希望を与える事ができない」と考え、藤岡高と同じ定時制の高崎商業高の先生を中心に定時制高校独自の大会を企画し、1953年秋に県内で初めての定時制高校独自の軟式野球大会が開催されました。

翌年1954年に1都8県の定時制高校主事協会から大会開催を呼びかけ、集まった1都4県の6校で、現大会の第1回大会として開催されました。その後、参加県は増え、後に現在の全都道府県参加の大規模な大会となった、まさしく定時制高校の先生たちの手作りで始まった全国大会です。

その年の参加校数によって異なりますが、ここ数年は参加校数の多い東京都は予選大会の優勝と準優勝の2校と茨城県、千葉県、兵庫県、埼玉県、京都府、福岡県、大阪府、神奈川県、北海道、沖縄県の道府県から各1校の出場となります。その他の県では参加校が少ないため各県の予選大会後(場所によっては開催されずそのまま)、13の地区で二次予選大会を開催し、各地区で1校の代表を決めます(参加校数により区分けが変更される場合もあります)。

1977年に天候不順のため、大会が途中で中止になったというニュースがありました。このとき、この大会を知ったタレントの萩本欽一さんが、翌年からテレビ朝日系で放送されていたTV番組の「欽ちゃんのどこまでやるの(欽どこ)」で大会を毎年継続的に取り上げ、全国に知られるようになりました。その影響もあって、一時期は明治神宮球場の内野バックネットスタンド一階席をほぼ埋めつくすほどの観客を集めたこともありました。覚えていられる方もいると思います。

また、夕方のニュース特番などで当大会に出場する代表校のドキュメンタリーで大会が取り上げられることもあります。

通常、定時制高は夜間の開校が多く、全日制と定時制を設置している高校では定時制の生徒のみでカリキュラム、部活動が構成されていたりします。昼間は全日制による施設の使用のため、部活動の練習時間は通常の全日制の部活動と比べると少なく、放課後の部活動時間は1~2時間程度しか取れないことがあります(近年は昼夜に開校する多部制・単位制などもあります)。通信制高でも月数回のスクーリングが中心のため、練習できる日数も限られ、その他野球練習ができるグランドがないという高校もあります。

2010年代にかけて数年間連続出場していた広島県代表の師友塾高(現在は閉校)は、定通大会では珍しく、地元などの在校生含めた大応援団が遠方から集結し「かっとばせコール」や手拍子などで応援をしていました。また、2012年度東京都代表の八王子拓真高では、当校のブラスバンド部が合奏し、全日制の高校野球のような応援風景もみられました。

今年は開会式に17年ぶりに東京都立の定時制高3校の吹奏楽部員10人と、卒業生や教員など10人で構成された連合楽団が参加しました。ファンファーレや入場行進の曲を演奏し、大会を盛り上げ、球児らは引き締まった表情で行進しました。

定通制は、年齢層が広く、仕事や家庭を持ちながら勉学に勤しんでいる生徒が多く、部活動は練習時間の確保などに困難があります。野球部や吹奏楽部など、道具や楽器をそろえる予算が乏しい上、教えられる先生も少なく、活動自体が難しいとされていますが、野球にかける情熱は変わらないものだと思います。


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