「ピン・ポン」といえば、日常的には家屋などの玄関に取り付けられている電気式の「呼び鈴(ドアチャイム)」など俗称を指します。これは、その「ピン・ポン」という音からいわれているものです(諸説あると思いますが)。また、このピン・ポンの応用として、「ピン・ポンダッシュ」というものがありますが、これは用もないのに他人の家屋の呼び鈴を鳴らして即座に逃げるという、非常に迷惑ないたずら行為になります。
さて、最近、訳があって電車通勤しているのですが、以前から気になっていたのが駅構内でよく流れている「ピーン・ポーン」という、ちょっと間延びした音が繰り返し流れていることがあります。
前々から疑問に思っていたのですが、この音は「盲導鈴」「誘導用電子チャイム」などと呼ばれています。これは、目が見えない人を安全に建物の入口などに誘導するための案内で、道路の横断歩道での「カッコー・カッコー」や「ピヨッ・ピヨッ」などと同じ役割になっています。
実際に気が付いていない場合もありますが、空港ターミナルビル、市役所、病院など、多数の人が出入りしている大きめの公共施設にも設置されています。
実際に設置されたのは、1976年に阪急電鉄での駅といわれており、その後、全国各地に普及していきました。ただし、施設や機器メーカーなどが独自に考案したものだったため、音の種類や大きさも統一されていませんでした。
場所によっていろいろな種類があったりする場合、便利なものである反面、その音が本当に誘導のための音なのかどうか、わからなくなってしまいます。そこで、2000年に「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(通称:交通バリアフリー法)」が施行され、音声と音による案内の統一を目指すことになり、2002年に「旅客施設における音による移動支援方策ガイドライン」が制定され、案内の統一を図ることが示されました。
現在では交通バリアフリー法を発展させた「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(通称:バリアフリー新法)」に基づくガイドラインが制定され、音を使った案内の方法が定められています。
・駅の改札口:「ピン・ポーン」またはこれに類似した音響
・エスカレーター:「(行き先)(上下方向)エスカレーターです」
・トイレ:「向かって右(または左)が女子トイレです」
・プラットホームの階段:鳥の鳴き声を模した音響
・地下鉄入口:「ピン・ポーン」またはこれに類似した音響
など
ちなみに、ガイドラインでは「ピン・ポン」ではなく、「ピン、ポーン」です。また、ポタっとホームの階段は、鳥の鳴き声を模したものですが、私は今のところ、「コケッコッコー(にわとり)」「ホー・ホー(ふくろう)」は聴いたことはありません。
なお、「ピン・ポン」といえば、「卓球」がすぐに想像されると思います。ただ、卓球の正式な英訳は「テープるテニス」であり、「ピンポン」は一般的にいわれている用語になります。
卓球は19世紀後半の英国で当時、テニスが大流行しており、それを室内のテーブルの上でやろうとしたのが卓球の始まりだと考えられています。そのときは、シャンパンのコルクを丸く削ったものをボールにして、タバコ入れの蓋をラケットにしていました。1890年には卓球セット「パーラーテーブルゲームズ」が販売されましたが、まだテーブルテニスという呼び名は定着していませんでした。
テーブルの上でやるテニスだからテーブルテニスなのですが、サイコロを振ってテニスの真似事をするボードゲームがあり、これも「テーブルテニス」として売られていました。そもそも卓球自体が普及しなかったため、名前も定着していませんでした。
1900年になって、英国のジェイクス・アンド・サン社がセルロイド球(現在のピンポン球)を使った卓球セット「ピンポン(PING PONG)」を販売し、これが大ヒットし、日本も含めて世界中に広がりました。
そのときに、テーブルテニスと呼ばれるようになりましたが、卓球セットのピンポンという呼び方についても同じ意味で使われるようになりました。これは、たとえば、「エスカレーター」「ホッチキス」「セロテープ」などと同じく、商標が普通名詞化されたのです。
そして、1922年に英国ピンポン協会が結成され、「ピンポン大会」を開催しようとしましたが、ジェイクス・アンド・サン社が商標権を理由に「ピンポン大会を開くならすべての競技に当社の製品だけを使うべき」と主張しました。そこで初めてピンポンが登録商標であることがわかったため、ピンポン協会は解散し、改めて「テーブルテニス協会」を結成されました。それが現在の国際卓球連盟(International Table Tennis Federation)の母体です。
よって、現在でも同連盟はピンポンは絶対に使わないとのことです。
なお、日本にもピンポンとして伝来し、当初はこの呼び名でしたが、1918年に宗教大(現;大正大)の千々和宝典さんが、「卓上(テーブル)」で行うことと、「卓越」という良い字にもつながるということから、「卓球」と名づけました。
これは、「ピン・ポーン!(正解)」ですね。
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