野球小僧

動き続けた時計の針を、1度止めるだけ…

11月24日のことですが、BCリーグの福島ホープスは貴規選手の引退による退団を発表しました。

貴規選手は東京ヤクルトスワローズ・佐藤由規選手を兄に持ち、2010年の育成ドラフト3位で仙台育英高から入団。2011年には二軍とはいえ打率と安打数ともにチーム1位でした。2014年にも二軍ながら85試合、打率308の成績を残したものの、支配下契約を果たせないまま2014年シーズン後に戦力外通告を受け、自由契約となりました。
その後、12球団合同トライアウトを受けましたが声はかからず、BCリーグの合同トライアウトを受け、福島からドラフト2位指名を受けて入団しました。NPB復帰を目指して2015年も12球団合同トライアウトを受けるも、契約出来ず、2年目のBCリーグを過ごして、今年も3度目の12球団合同トライアウトに挑戦しました。

BCリーグでは2年間で通算177試合に出場、打率.319、ホームラン11本、85打点、47盗塁という通算成績を残していましたが、3度目の12球団合同トライアウトでは7打数1安打3三振という成績に終わりました。

11月22日のツイッターで「トライアウトから一週間…。どこもオファーなし。これが僕の実力です!!これからの事はこれから決めたいと思います。応援ありがとうございました。」とあり、24日には「動き続けた時計の針を、1度止めるだけ…」と綴っていました。

実際、プロ野球という世界は各世代を代表するような、一般人からしてみての怪物的な選手が集まっています。現在での筆頭は北海道日本ハムファイターズ・大谷翔平選手でしょう。大谷選手とまでいかなくても、プロ野球の世界にいるというだけでも、私たちからしてみればスターであり、その野球技術においては、比較にならないほどの技術を持っています。その技術はプロ野球の世界に留まるための生命線でもあります。しかし、その生命線である大事な技術が、ちょっとしたきっかけですべて消え失せてしまうことがあります。

それは突然、野球選手にとって当たり前のはずの「ボールを投げる」という動作が出来なくなることです。一般的に「投球イップス」とも呼ばれるものです。プロ野球選手のでも、自分の投げ方がわからなくなってしまう選手は少なくないそうです。

実際、育成としてでも、二軍での実績を考えれば貴規選手は再契約の可能性もあり、2015年秋に開催されたトライアウトで7回打席に入って4安打と参加者中、一番多くヒットを打っていました。ただし、貴規選手にとってはバッティング前に難関がありました。

貴規選手がスワローズ時代にファームで好成績を残しても育成選手契約だった理由は、スローイングにあったのです。
昨年のトライアウトでは、シートバッティングが始まる前のシートノックで、センターのポジションについた貴規選手は捕球までは普通の動作だったものの、スローイング動作に入ると突然、動きが遅くなり、自分の右腕の通り道を確認するように大きくテークバックを取り、不自然にトップをつくって腕を振っていたそうです。そして、送球は何度も抜けたり、引っ掛かったりと、安定しなかったとのことです。これを見ていたNPBのチームからは声がかかりませんでした。

3度目の挑戦となるトライアウトでも、やはり守備面が課題になることは間違いなく、トライアウトを受けるまでの1ヶ月間、ずっとスローイングをメインとして練習していたそうです。「僕のなかでスローイングは気持ちの問題が大きかったので、まず技術以前に考え方とかそういうところから直していこうと取り組みました。そうすれば自信もついて変わってくるのかなと」とのことで、長兄の史規さんが毎日練習に付き合ってくれ、ノックを打ってくれたり、ほかに協力してくれる人もいたそうです。

そして、気持ちの問題が大きいと考えつつ、技術的にも改善を試みました。その結果、今年はシートノック時には、ぎこちなさは残っていたものの、捕ってから投げるまでのスピードが速くなり、無難にこなしていたそうです。少なくとも、1年前のようなことはありませんでした。

そして、今後について「僕のなかでは、今回のトライアウトが最後というつもりで受けたので。オファーをいただけることが一番いいんですけど、そうでなかったときは野球を引退しようと思っています」と答えていました。

キャッチボールはコミュニケーションの比喩として使われることがあります。お互いにひとつのボール投げ、捕るという単純なことですが、それだけでも相手からいろいろな情報が伝わって来ます。このキャッチボールが出来なくなってしまうと、野球がつまらなく感じられてしまうでしょう。もちろん、他人との関わり合いも、面白くなくなってしまうでしょう。

でも、いつの日か青い空に向かって、思い切りボールを投げられる日は来ると思います。

1度止まった時計の針が、再び動き出すことが出来るように…

コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。
うーん、この落ち考えていたのですが、先に使われてしまいました。

私もありました。ナイターソフトをやっていた時ですが、ボールを投げることできなくなってしまいました。
その後は、守備でも「飛んでくるな~」の一点でした。

そういえば、昔トップスのチョコが流行りましたなあ。
eco坊主
おはようございます(*Ü*)ノ"☀

イップスですか~
野球選手がボールを投げられないのは辛いでしょう!
精神的なものが原因とされていますし克服されたスポーツ選手も。

私は「仕事イップス」ですが、何か!?
別名『怠慢』とも言いますが(笑)
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