プロ野球のキャンプ前に行われている合同自主トレ。今年も間もなく自主トレのニュースが聞こえてくる時期になりました。
1月中旬に多くの選手が集まり、まとまって練習します。しかし、今年から中日ドラゴンズでは、この光景が見られなくなります。ドラゴンズ選手会は例年1月にナゴヤ球場で行っていた合同自主トレを、今年から実施しないことを決定しました。これは、昨年まで選手会長を務めていた福田永将選手が、「僕の方からみんなに話をしました。各自でしっかり考えてやった方がいいと思って」と、選手個々で狙いやテーマが異なることにも配慮し、それぞれの自主性に重きを置くためと説明しています。
選手会合同自主トレには、多くの選手が参加し、キャッチボール相手はもちろん、スタッフもいるためブルペンキャッチャー、バッティングピッチャーなどにには不自由ありませんでした。一方で大人数で行うこと、メニューがある程度決まっていたりしていることもあり、「やりたい練習が思うようにできない」という意見もあり、前からなくした方がいいという声もあったとのことです。
合同自主トレは、ニュースなどを見ても分かるように、ジャージー姿。これは、この時期はまだユニフォームを着て練習してはいけないからです。ユニフォームを着ての練習が許されるのは2月1日から秋季キャンプ(秋季練習)までと決められています。また、1月中の練習では、監督・コーチが選手を指導してはいけないため、合同自主トレにはチームのキャプテンもしくは選手会長が中心になって、練習を行います。
集まったからといって集団行動を義務付けられることはないはずですが、やはり、同じ場所で練習することもあって、ある程度、メニューが画一化されてしまうことは仕方がないものです。例えるならば、「今日は”餃子の王将”で食べたいなぁ」と考えていたにも関わらず、お付き合いで、”スシロー”で食べるようなものなのです。
では、なぜわざわざ集まる必要があるのでしょうか。自分で調整して2月1日のキャンプインに間に合わせればいいのでしょうけど、集まるにはそれなりのメリットがあると考えられます。まず挙げられるのは、1人で練習するよりも複数の選手で行った方が刺激になり、練習を妥協しなくなるということです。また、充実した施設を利用出来ることなどがあります。まあ、受験勉強のようなものですよね。
さらに、新戦力が早くチームに溶け込めることができる、という点もあります。キャンプインからの合流になると新人選手の場合、緊張でまともなコミュニケーションも取れないままに時間が過ぎていってしまうことがあるでしょう。移籍してきた選手も同様で、勝手も分からないまま、キャンプインするよりはいいと思われます。そういう点でも合同の自主トレは、チームにとっては大きなメリットがあるでしょう。
それでも、MLBでは、合同自主トレはなく、キャンプまでは個人個人でトレーニングしてキャンプに集合してきます。今回、ドラゴンズ選手会が合同自主トレを廃止したことが、今後のNPBでのトレンドになって行くかどうか。また、今シーズンの成績にどう影響していくのか、注目されていくことでしょう。
今や他球団の選手とも交流しながら合同トレを行うのが主流の中、若手選手が自分に合ったメニューなどを考えるのは、簡単ではないかも知れません。でも、考えてやっていかないといけないようになっていくことでしょう。
個々での自主トレではあるものの、ただ、一つだけ合同であるのは、すべてはチームが強くするという目標であることは、変わりません。
でも、新人選手については、勝手もわからないこともあり、合同自主トレは実施されます。
(2019年の新人合同自主トレ)
2019年の新人合同自主トレでは、注目された根尾選手が右ふくらはぎを肉離れ。一軍スタートが内定していたキャンプは二軍に変更となり、大きく出遅れたことがありましたので、今年は、より慎重に進められると思います。
新人合同自主トレではすべてのことにおいてしっかりとアピールしたいと思われますが、ケガをしないのが一番です。