【歴史は繰り返すというが
~ 何が変わったのか、何かが進歩したのか
~ 「民主主義の神話」考
~ キーワードは「うやむや」 の巻】
■時事クイズ
日本の国会議員は713人
このうち刑事事件の被告にもなっているヒトは
何人いるでしょうか?
氏名・肩書・経歴・選挙区など、
どれか、ちょっとでも、ご存知ですか?
推定無罪だけどね
(答えは、ご自分で調べてください)
◇
戦後まもなく「昭電疑獄」が起こり、
元首相の芦田均や元副首相の西尾末広らが
次々と逮捕されるに至った。
実のところ、戦前から伏線があった。
軍閥 華やかなりし頃には、
軍服の左腕に「公用」と書いた布を巻き
営門から外出しては、密かに公用ならぬ
要領かましの私用・享楽をやる者があった。
ところが戦後は
何事にも統制や割当で
官公吏のハンコひとつにより
有利にもなり、不利にもなったので、
勢い業者たちは官公吏のご機嫌を、
あの手この手で取り結ぶようになった。
官公吏の中には、それをよいことに、
巧みに業者や不良政治家と結託し
不正に手を染めるような者も少なからずいた。
高級料亭に「官公庁の用件だ」
と、カサにきて出来りする。
そうした者どもを、
民間会社の「社用族」にならい
「公用族」と呼んだのである。
公用族の横行は目に余り、
昭電疑獄にまで発展するに及び
腐敗は頂点に達した感があった。
しかし、それは第一幕であって、
公用族と政治家は得意の法知識により盲点をつき
同僚組織に網を張っているために
「小者ばかりが検挙され、大物は挙がらぬ」という具合。
証拠が残りにくい宴会やら、密室の現金授受が主であり
例え捕らえられても、証拠不十分であった。
そうして捜査は、せいぜい課長止まりで
それから先は もみ消されるのである。
その後、「イトヘン」「カネヘン」の景気に続き
「サンズイヘン」つまり「汚職景気」という
流行語が生まれるようになった。
官庁の高級車が三万代の番号を付け、
築地や赤坂の料亭に列を作った。
唾棄すべき有様だった、
と識者は指摘している。
さすがのお人好し国民からも非難が起き、
ワンマン首相、吉田茂も動かざるを得なかった。
しかし汚職のタネは無尽蔵で、
公用族は河岸をかえて、素人宅で
カケ碁会やらカケ麻雀やらに興じ、
飲み食いにふけるという体たらくぶりーー。
このカネは、国民の血税が元である。
いつの世にも悪は絶えない。(鬼平犯科帳序文)
伏魔殿の真相はどこなのか、
官公庁の組織・因習も複雑を極め、
一朝には粛清の法が見つからぬまま、
うやむやになり、そして
今日に至るというワケである。
昭和電工事件 戦後間もない1948(昭和23)年におきた贈収賄汚職事件。昭電事件、昭電汚職、昭電疑獄とも呼ばれる。復興資金として復興金融金庫からの融資を得るために、大手化学工業会社「昭和電工」社長が行った政府高官や政府金融機関幹部に対する贈収賄事件である。GHQも関係し、大規模な疑惑に発展した。大蔵官僚・福田赳夫(後の首相)や野党・民主自由党の重鎮・大野伴睦(後の自由民主党副総裁)の逮捕に始まり、やがて政府高官や閣僚の逮捕にまで及んだ。栗栖赳夫経済安定本部総務長官、西尾末広前副総理が捕まり、芦田内閣は総辞職をもって崩壊し、民主自由党の吉田内閣の成立をもたらした。その後、前首相であった芦田自身も逮捕されたが、裁判では栗栖以外の政治家は無罪となった。
「茶番は終わりだ」
そういう粋なセリフを一度、聴いてみたい