囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

大衆は怠惰で無責任か

2021年07月04日 | 雑観の森/政治・経済・社会

 

反対派には二種類ある

永遠の反対派と

その場限り対立派だ

 埴谷雄高「深淵」(昭和32年)

 

 

 

 

諫言を見極め、評価し、採用するか否か

 事程左様に意思決定は難しい の巻】

 

 

第二次世界大戦の開戦準備として

フランスは、ドイツとの国境線四百㌔に

軍事技術の粋を集めた「マジノ線」を構築した

 

地形を巧みに利用し、鉄筋コンクリート製の

砲塔式砲座や対戦車壕などを組み合わせた

難航不落の「地下要塞線」である

 

最高のシンクタンク(頭脳集団)といわれた

ドイツ軍参謀本部は、攻略はムリとして

オランダ、ベルギーの中立国を迂回する

別の侵攻作戦を練っていた

ヒトラーに「マジノ線の突破は不可能」

と進言したのである

 

名家出身の秀才が集まる参謀本部に

ヒトラーは劣等感を持っていた

低い階級の家庭に生まれ育ち

第一次大戦で伍長だったという過去

 

たまたまヒトラーは「名案」を耳にする

マジノ線の手薄な陣地帯の突破は可能

とのマンシュタイン将軍の作戦である

 

参謀本部を無視し、その作戦を決行し

マジノ線を突破し、パリを電撃的に占領し

世界中をアッといわせるのである

 

この成功体験により

劣等感は優越感に変わる

それどころか

自分は軍事の天才だと

思い込んでしまうのだ

そして独善はエスカレートし

狂気へと変わっていく

 

参謀本部を意のままに動かそうと

ヒトラーの口出しが始まる

ロシア戦線で作戦が二転三転し

冬将軍の到来とソ連軍の大攻勢にあって

ドイツ軍は大敗を喫してしまう

 

もしヒトラーの口出しがなければ

開戦1年目にモスクワが陥落し

戦局は決定的に違っていたといわれる

 

独裁者の独善的なひらめき

作戦参謀への不当介入がなければ

世界地図は全く違ったものになったろう

 

採り入れるべき諫言を無視

感情的で不合理な意思決定により

ヒトラーはピストル自殺へと

追い込まれるのである。

 

 

  *  *  *

 

 

卑近な例だと、わたしの属する百人碁会でも

ひとりひとりがさまざまな考えを持っている

しかし運営には常に一定の選択を迫られる

ポピュリズム(大衆迎合主義)では回らない

この時勢にあってはとりわけ

選択と集中は妥当なものでなくてはならない

 

 

  *  *  *

 

 

人類と微生物との大戦争が収まらない

各国の参謀たちは百家争鳴である

誰の進言を採り入れるべきか

耳を貸すべきでない者は誰か

世論の受け止めと対処はいかに

権力者たちの見極めの是非・巧拙により

世界地図が変わるのである

そして世界制覇の野望が見え隠れする

 

 

弱者を従えていくよりも

強者に引っ張っていって

もらいたい

大衆とは

そのように怠惰で

無責任な存在である

     アドルフ・ヒトラー

 

 

 

▲武力制圧の力による独裁者がまたぞろ出現

権力は蜜の味、支配は甘い快楽であるか ――

 



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