囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

猫の妙術 / 上

2019年04月10日 | 雑観の森/芸術・スポーツ
 
「日本版トムとジェリー」に学ぶの巻】
 
■「空前の猫ブーム」である。
 
■評論家はあれこれ分析しているようだが、今も昔もマイブーム「猫バカ」のわたくしには「いまさら感」が強い。転勤生活で関西、関東、北陸、四国を行ったり来たりで飼えない時期が長かったから、ようやく「春が来た」なのだ。
 
■雄のスコ「マリリン」、そして先輩の雌アメショ「ジュリア」である。ノホホ~ンとしているマリリンとは対照的に、ジュリアは大阪ことばで「はしこい(すばしっこい)」。子どものころからツンデレで、抱かせてくれない、寝床に入ってこない。それはそれで魅力だったが、心臓と腎臓を悪くしてから丸くなってきた。このところ、わたしに背中を見せ「よかったら、なでさせてやるよ」。
 
          ◇
 
■猫の言葉が分かるサムライと若猫・古猫の話を一つ。仙人の如き古猫が勝負の奥義を説く「猫の妙術」。あらすじをどうぞ。
 
主人公は江戸の街外れに道場を構える剣術者。腕前は「中の上」か「上の下」で、剣の奥義をとは何ぞや、と悩む日々を送っていた。
 
ある日、朝の出稽古から屋敷に戻ると、座敷のスミに「大ネズミ」がいる。飼い猫の「白猫」が追い払おうとするが、大ネズミに顔を噛みつかれる。そこで隣家の「黒猫」に退治を頼むが、全く歯が立たない。米屋の「虎猫」も追い払われ、長屋の「灰猫」も首を噛まれ、降参する始末。最後に「武神」の噂がある「古猫」に御出ましを願うと、いとも簡単に大ネズミをくわえて外へ運んでしまった。
 
剣術者と若猫たちは、古猫に「なぜ難敵を退治できたのか」を尋ねると――。
 
古猫はおもむろに説き始めた。
勝とうとしないことが勝つための唯一無二の方法である
 
続けて言うには
技の見かけは妄想と知れ。技の修行を通じ、そこに『隠れた道理』こそを我がものとせよ
道理に合った『気』こそが相手を打ち負かすのだ
心の内なる道理の声に耳を済まして待て。待てば、勝手に『感』が動き、おぬしらを動かすことになる
 
最後に
自分の心を省みて、そこに答えを見つけるしかない
どんな優れた師でも言葉によって説くしか出来ぬ
その言葉を導き手として、己の心に隠された確かなものを見つけ、我がものにすること
これを禅では、悟りの境地としているようじゃ。悟りとは妄想の夢が覚めること。さすれば心の中の道理を見つけることもまた、妄想の夢から覚めることかも知れん
 
こう言い残して、古猫は姿を消した。
 
(つづく)

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