【「日本版トムとジェリー」に学ぶの巻】
■「空前の猫ブーム」である。
■評論家はあれこれ分析しているようだが、今も昔もマイブーム「猫バカ」のわたくしには「いまさら感」が強い。転勤生活で関西、関東、北陸、四国を行ったり来たりで飼えない時期が長かったから、ようやく「春が来た」なのだ。
■雄のスコ「マリリン」、そして先輩の雌アメショ「ジュリア」である。ノホホ~ンとしているマリリンとは対照的に、ジュリアは大阪ことばで「はしこい(すばしっこい)」。子どものころからツンデレで、抱かせてくれない、寝床に入ってこない。それはそれで魅力だったが、心臓と腎臓を悪くしてから丸くなってきた。このところ、わたしに背中を見せ「よかったら、なでさせてやるよ」。
◇
■猫の言葉が分かるサムライと若猫・古猫の話を一つ。仙人の如き古猫が勝負の奥義を説く「猫の妙術」。あらすじをどうぞ。
主人公は江戸の街外れに道場を構える剣術者。腕前は「中の上」か「上の下」で、剣の奥義をとは何ぞや、と悩む日々を送っていた。
ある日、朝の出稽古から屋敷に戻ると、座敷のスミに「大ネズミ」がいる。飼い猫の「白猫」が追い払おうとするが、大ネズミに顔を噛みつかれる。そこで隣家の「黒猫」に退治を頼むが、全く歯が立たない。米屋の「虎猫」も追い払われ、長屋の「灰猫」も首を噛まれ、降参する始末。最後に「武神」の噂がある「古猫」に御出ましを願うと、いとも簡単に大ネズミをくわえて外へ運んでしまった。
剣術者と若猫たちは、古猫に「なぜ難敵を退治できたのか」を尋ねると――。
古猫はおもむろに説き始めた。
「勝とうとしないことが勝つための唯一無二の方法である」
「勝とうとしないことが勝つための唯一無二の方法である」
続けて言うには
「技の見かけは妄想と知れ。技の修行を通じ、そこに『隠れた道理』こそを我がものとせよ」
「道理に合った『気』こそが相手を打ち負かすのだ」
「心の内なる道理の声に耳を済まして待て。待てば、勝手に『感』が動き、おぬしらを動かすことになる」
「技の見かけは妄想と知れ。技の修行を通じ、そこに『隠れた道理』こそを我がものとせよ」
「道理に合った『気』こそが相手を打ち負かすのだ」
「心の内なる道理の声に耳を済まして待て。待てば、勝手に『感』が動き、おぬしらを動かすことになる」
最後に
「自分の心を省みて、そこに答えを見つけるしかない」
「どんな優れた師でも言葉によって説くしか出来ぬ」
「その言葉を導き手として、己の心に隠された確かなものを見つけ、我がものにすること」
「これを禅では、悟りの境地としているようじゃ。悟りとは妄想の夢が覚めること。さすれば心の中の道理を見つけることもまた、妄想の夢から覚めることかも知れん」
「自分の心を省みて、そこに答えを見つけるしかない」
「どんな優れた師でも言葉によって説くしか出来ぬ」
「その言葉を導き手として、己の心に隠された確かなものを見つけ、我がものにすること」
「これを禅では、悟りの境地としているようじゃ。悟りとは妄想の夢が覚めること。さすれば心の中の道理を見つけることもまた、妄想の夢から覚めることかも知れん」
こう言い残して、古猫は姿を消した。
(つづく)