戦前にも膨大な数の水子・童男童女の御霊が存在したのですから、早くから彼らが「悪鬼霊」とやらに変化し日本を壊滅させようとしていたはずですが、開祖は生前そんな話はされてません。
3月例祭で『開祖霊諭』とやらが発表され、其の中に大意次のような話が出てきました。
“戦後に大量発生した水子と幼少期に亡くなった「童男童女」の霊が供養を受ける事なく放置された結果「悪鬼霊」に変化し日本を壊滅させようとしている”のだそうです。
(前略)
(中略)
(中略)
戦前は人工妊娠中絶による水子は比較的少なかったでしょうが、貧困等を理由とする所謂「間引き」の御霊や先天的障碍児の御霊を含む乳児期・幼児期に亡くなった阿含宗で言う所の「童男童女の御霊」は戦後よりずっと多かったわけです。現在と比べ衛生環境や医学が未発達で免疫力の低い乳幼児は死亡率が高かったですからね。いま戦後80年ですから、仮に同じ80年だけを遡り幕末期から考えてみても、戦後の水子の数に匹敵する相当な数でしょう。幕末期よりも前の時代までずっと遡って行ったら、戦後の水子どころの騒ぎではありません。
今回の『開祖霊諭』とやらで語られた其の話が仮に本当だとしたら、戦後80年を待たず、とっくの昔に戦前の水子・童男童女が「悪鬼霊」となって日本を壊滅させようとしていたはずです。霊視能力など1ミリも無い私には本当の所は判りませんが、「未熟ながら霊性が備わってきている」という程度の水子よりも、幼いとは言え完全な一人の人間としてこの世の中に生まれ出て、且つ、水子同様に「大人のような分別も覚悟も無い」童男童女の方が強い霊障を発すると考える事も可能です。この「開祖霊諭」とやらでのリクツを素直に理解するなら、戦前の多数の童男童女が「悪鬼霊」にならなかったとは考えられません。当然、生前の本物の開祖は其の事実を指摘し警告されていたことでしょう。しかし、私は開祖がそんな話をされたのを聞いた事が有りません。
それとも、“戦前の水子・童男童女は何十年も何百年も何千何百年も途方もない年月をジッと我慢して来て、この昭和100年近くになってとうとう耐え切れなくなり戦後の水子達と一緒に「悪鬼霊」になった”とでも言うのでしょうか?だとしたら、「大人のような分別や覚悟が無い」にも関わらず大変な忍耐をしてきたことになりますね(笑)。有り得ません。
宗務局は戦前は「童男童女の御霊」が戦後とは比較にならないくらい多かったという事実を忘れているか、下手をするとハナから知らないのでしょう。戦後になって急に水子・童男童女の御霊が激増したと、何となく、フンワリと、思い込んでいるのです。そして、歴史的事実と辻褄が合わず、また、「霊障」というものについての生前の開祖のご指導とも全く整合性が無い話を語っているわけです。
生前の開祖が仰った所の不成仏霊の「霊障」は、所謂「祟り」とかいうモノとは違います。御霊が抱く苦しみとか怨念とか強い悔恨とか其れソノモノの塊で、特定の親族や子孫に害を与えようなどという意思は其処には有りません。阿含宗でよく話題に上がる「破滅のカルマ」に“この世の中を破滅させよう”という人間の意思のようなモノは無いのと同じです。(勿論、親族の誰かを強く恨んで亡くなったとかいう場合は別です。)特定の誰かを云々と言う以前に、そもそも自分自身が死んだ事への自覚も、自分が何処の誰なのかという認識も無いのです。そういう或る意味“純粋な”負の霊的エネルギーが身近で縁の有る親族に様々な形で悪影響をもたらす場合があるという事です。特定の誰かに対して意図的に怒りを向け「死んでしまえば良い」とか「壊滅してしまえば良い」などと考えたりはしません。もうお判りでしょうが、そもそも、改めて“怒る”とか、“考える”とかいう事も出来ないのです。
一歩というか、千歩も一万歩も譲って、仮に其の話が本当だとしても、誰が見てるか分からないネット中継で大っぴらに公言してはいけない話です。考えてみてください。水子や童男童女の親御さんが此の話を聞いたらどう思われるか。
「私達の子供が『悪鬼霊』とやらになっていて日本を滅ぼそうとしている?阿含宗は何でそんなヒドい事を言うのかっ!?」
“産んでやれなかった”、“立派に大人になるまで育ててあげられなかった”という親御さんたちの心の傷に塩を擦り込むような事を公然と言い放つ神経が判りません。
「それそれ!開祖は生前ちゃんと『悪鬼霊』のことを判っておられたけど、親御さん達への配慮からそういう話はされなかったんですよ!」
じゃあ、開祖は仏陀になったとたんに親御さん達への思い遣りや気遣いを捨て去り「開祖霊諭」とやらでペラペラと放言するようになったということですか?開祖も、仏陀ではなく、「悪鬼霊」とやらになられたんでしょうか?
“「悪鬼霊」に変化した水子の御霊を、此の4月6日(日)に柏原聖地霊園の神仏両界御霊屋に奉安される釈迦山准胝堂鬼子母神様のお力で「救済」し三身即一の阿弥陀如来様のお力で「成仏」させる”とのことですが、私には全く意味不明ですね。
釈迦山准胝堂鬼子母神様による「救済」って何ですか?「成仏」して頂く以外に霊障の御霊にとって何か別の「救済」が有るのですか?
“釈迦山准胝堂鬼子母神は釈尊の成仏力と准胝尊の解脱力を備えている”としていますが、如来ではなく、仏教の四階層の一番下「天部」に属していると思われる鬼子母神様に何で成仏力・解脱力が有るのでしょうか?もし其れが有るなら「神」ではなく「如来」でしょう。本当に有るというのなら其の力で正体不明の「救済」とやらではなくサッサと「成仏」させたら良いではありませんか。三身即一の阿弥陀如来様の出る幕は有りません。
それと、仮に“「悪鬼霊」になってしまった水子の御霊を今回御霊屋に奉安される釈迦山准胝堂鬼子母神様のお力で「救済」し三身即一の阿弥陀如来様のお力で「成仏」させる”という話が本当なら、これまで阿含宗で50年近く続けて来た「水子解脱供養」では「悪鬼霊」とやらになってしまった水子の御霊は解脱成仏させることは出来ていなかったという事になりますが、それで良いのですか?
“どんな霊障の御霊でも「解脱供養」「水子解脱供養」で解脱成仏させ冥界までは必ず送り届ける”と開祖は自信を持って断言されておられたはずです。宗務局はそれを否定するのですね?
“是迄も「悪鬼霊」になった水子・童男童女を成仏させる事は出来ていたがそうでない御霊より少し時間が掛かっていた。此れからはより疾速に解脱成仏させられる”と言う事なら、一応、問題は無い事になりますが、「悪鬼霊になってしまった水子・童男童女を救済できるのは(中略)鬼子母神様しかないのである」と言い切ってしまってますから、そういう言い訳は出来ません。
もう、滅茶苦茶ですね。
水子・童男童女をお祀りし御供養する「廟」の建立については賛成です。
“水子の御霊を放置したままでいると其の霊障が子供達の深層意識に悪影響を及ぼす可能性がある”というのが開祖のご指導でした。逆に懇ろに御供養し手厚くお祀りすれば日本の将来を担う子供・若者達を守護する存在になって頂けるかもしれません。
私も喜んで参加させて頂きます。