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チェルノブイリ原発事故は、1986年4月26日に、チェルノブイリ原子力発電所4号炉で起きた原子力事故である。国際原子力事象評価尺度では深刻な事故を示すレベル7に分類された。そして、2011年3月11日14時46分頃発生・東日本大震災による福島第一原子力発電所事故も、レベル7に分類されています。
驚いたのは、ロベルト・ユンク著『未来は既に始まった』が、1954年(昭和29年)に発行され、その当時の危機意識が、後のチェルノブイリ原発事故や福島第一原子力発電事故となって現実のものとなってしまったということでした。訳者あとがきにあるように、「未来」は、題名の示すとおり、「すでに始まった」未来なのであり、現実となった未来なのである。
『未来は既に始まった』・地獄の一断片のリチランドのハンフォード・プルトニウム工場がその後どうなったか検索してみました。
ハンフォード核施設は1940年代に建設され、1987年まで核兵器用のプルトニウムを製造。その間、大量の放射性廃棄物を放出し、周辺の環境を汚染。ハンフォード核貯蔵所は、アメリカで最も汚染された地域だ。その地下には、5600万ガロン(約2億1200万リットル)もの処理を必要とする放射性廃棄物が埋められている。ハンフォードは、第二次世界大戦で長崎に投下された原爆「ファットマン」や冷戦中にアメリカが備蓄した核兵器に使われたプルトニウムが作られた場所だ。とありました。
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再び、「地獄の一断片」より。
機械をときおり修繕することは、ハンフォードのプルトニウム工場でも、他の工場と同様に避けられない。およそ人間と名のつく者だと、どんなに厳重に防護服に身をかためても、原子炉のなかへ入るなんてことはできるものではない。だから、故障した部分は、遠隔操作の掴取機によってはずしとられ、それから特に修繕の目的のためにつくられたいわゆる≪密封区域≫へもってゆかれなくてはならない。
機械の故障した一部が事実上修理不可能だということになれば、すぐその場で、その周囲を壁でかこまなくてはならない。ハンフォード工場の≪危険地帯≫の随所に、しかも、部屋のまんなかに、雑然と、鉛のカワラで出来た、小さなモグラの盛土みたいなものを見かけるのは、そのためである。その壁に向かって、なおきわめて≪活発な≫原子の微粒子と放射線とがぶつかっているのだ。それらの微粒子がその呪うべき力を喪失するには、幾千年の歳月を要するのだろう。
・ロベルト・ユンクの『未来は既に始まった』の「地獄の一断片」は、福島第一原子力発電事故が起こる半世紀も前に、放射性廃棄物の怖さを警告していたのです。福島第一原子力発電事故により発生している、高濃度の放射性物質を含んだ汚染水の処理水について、ときどきニュースで耳にしますが、このロベルト・ユンクの「地獄の一断片」を読み、その深刻さを改めて思った私です。
でも、怖がっているだけでは話は進みません。それでも、一人一人が、核の怖さに気づくことが平和な地球に暮らすことの意味を改めて知ることになるのでは・・・・。一冊の本。1954年発行。ロベルト・ユンク著『未来は既に始まった』を読んでの感想です・・・・。