120分に及ぶ激闘の終わりを告げる笛が鳴ると、多くの選手がピッチに突っ伏した。悲願の初優勝。最後方でゴールマウスを守り続けた主将のGKカシリャスは人目もはばからず、号泣した。歓喜の輪は大きく広がり、選手に胴上げされ、デルボスケ監督が誇らしげに宙に舞った。
亡き友に捧げた決勝ゴールとイエローカード イニエスタ
延長後半11分、セスクのパスを受けたイニエスタは右足を振り向いた。シュートは遠かったオランダのゴールに突き刺さり、イニエスタはそのままスタンドに駆け出しながらジャージーを脱いだ。規定から、イエローカードは覚悟のうえだった。アンダーシャツには「ダニ・ハルケ いつも一緒だ」と書かれていた。警告を受けても、どうしてもこれを見せたかったのだ。彼に。
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ダニエル・ハルケはバルセロナ出身。エスパニョールの主将や、21歳以下のスペイン代表としても活躍した。だが、昨年8月、遠征先のイタリア・フィレンツェのホテルで急死した。急性の心臓疾患、26歳の若さだった。同じバルセロナを本拠地にするエスパニョールの中心選手として、イニエスタやシャビ、プジョルには、おなじみの仲間だった。
決勝ゴールとなる延長後半の得点を決めると、イニエスタは躊躇なくジャージを脱いだ。主審は当然のように、笛を吹き、イエローカードをかざした。イニエスタには覚悟の警告だったのだろう。カードが飛び交った激しい決勝戦で、イニエスタは1枚も警告を受けていなかった。これが2枚目で退場となったなら、イニエスタもジャージーを脱ぐことはなかったろう。
いや、激しいゲームの中で、このアンダーシャツをみせるために、彼はファールを自重していたのかもしれない。それぐらい、冷静なプレーと、熱いハートを平気で共存させることができる選手だ。
シャビとともに、所属のバルセロナでもスペイン代表でもパスサッカーの中核をなし、時にドリブルで、時に意表をついたミドルシュートで常に相手を脅かしてきた存在。スペインが熱望していたW杯を手にするとともに、友へのメッセージも送ることができた。イニエスタには、思い通りの決勝を戦って「マン・オブ・ザ・マッチ」に輝いたことになる。
ところでW杯の賞金って?
気になったので調べて見た。
優勝したスペインに3000万ドル(約26億7000万円)
準優勝のオランダには2400万ドル(約21億6000万円)
ちなみに3、4位は2000万ドル(約17億8000万円)で同額のため、3位決定戦で勝っても獲得賞金額は変わらないことになる。
また8強進出の賞金は1800万ドル(約16億200万円)
決勝トーナメント進出は900万ドル(約8億100万円)で、1次リーグ敗退でも800万ドル(約7億1200万円)を手にする。