私が寝込んでいる間に,北京五輪が進みつつある。
ああした場に於いて,如何に平常心で臨み,自分の力を発揮できるかが,多分勝負の分水嶺となると思うのだが,それに関しては何も言うまい。
マスコミがああだこうだと,面白おかしく言ったり,書き立てたりしているのを鵜呑みにしないことを願うだけだ・・・。
寝込む前日の8日夜,見るつもりはなかったが,勢いというか成り行きで開会式を見てしまった。
チャン・イーモウ監督が演出を担当したという,中国が国威をかけて挙行した一大スペクタクルが眼前で展開された。
古代中国の太鼓の演奏に始まり,紙の発明や明代の大航海時代等,中国の歴史が如何に素晴らしいものであるかを全世界に発信したものであった。
その開会セレモニーは約1時間強。
はっきり言って,私は飽きた。
チャン・イーモウ監督の映像作品との出会いは,数年前に見た「初恋のきた道」(2000)だったが,アジアンビューティーとも形容されるチャン・ツィイーの演技と美貌にやられてしまい,その後「至福の時」(2002)とか「あの子を探して」(1999)といった作品で,庶民の生活の中に垣間見るヒューマンな感性を生き生きと描く類い希な監督,と思ってきたのだが,ジェット・リー 主演の「HERO(英雄)」(2002)を見てがっかりした記憶がある。
まあ,内容が内容だが,並のハリウッド活劇になり果ててしまったような感があり,各紙誌絶賛,私の周囲も皆絶賛なのは何故??(お前の感性がおかしい,と言われればそれまでだが)となつた覚えがある。
今回の演出もそんな感じがした。
1万数千人を超える出演者(9,000人が軍属らしい)によつて壮大さ・豪壮さが打ち出されれば,それだけ空疎なものを感じてしまった・・・。
だから,1時間は長すぎた。
毎度毎度楽しみなのは,その後の入場行進である。
今年は,漢字の画数順だそうで,一体次に何処が出てくるか分からないという一種の楽しみはあった(瑞西の次が瑞典で納得したり)。
ただ,やはり国際的にも認知されたアルファベット順の方が分かり易くて良いと思う。
それまでは閉会式のみだったが,開会式の入場行進も選手が思い思いに歩くようになったのはシドニー五輪からだっただろうか。
手足を揃えた数列縦隊による行進は,ミリタリズムの象徴ということで,もう二度と見られないのだろうか・・・。
私なんか,映画「東京オリンピック」(65)を見たせいか,整然とした行進に心惹かれるのだが・・・。
アフリカや中南米の国々の選手団は,色とりどりの民族衣装を纏って登場するが,それを見て楽しむのも一興である。
戦火の地,旧ユーゴやスペイン,中央アジアに中部アフリカ,そして中東の選手団が入場するのを見ると,改めて根深い戦争の原因を思う・・・。
中国当局の発表によると,中国国内のTV視聴率は83%(だったか??)とかいう,とにかく驚異的な数値だったという。
ま,それの信憑性はともかく,あの国威をかけた一大スペクタクルを見て,我々が何を感じ,何を思うかが肝要だろう。
国際情勢とか,その後の有り様に関してはまた後で・・・。
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