koshiのお部屋2

万年三歳児koshiの駄文のコーナーです。

真田丸-第2回「決断」

2016年01月17日 22時17分08秒 | TV&エンターティメント

う~ん,期待してビデオを回したのですが,何か緊張感のない逃避行シーンと見え見えの小山田勢登場と,昌幸の救援・・・。
あのような逃避行が果たしてあったのかどうかも疑問ですし,おそらく新府城から信州佐久郡へは信玄が築いた棒道が有ったのでしょうし,佐久郡はまだ織田軍の支配下には無かったかと思われます(滝川一益が厩橋城に入るのは,甲州の仕置が済んでからでしょう)。佐久郡から岩櫃城のある上州吾妻郡に行くには,浅間山の東側-つまり現在の軽井沢から長野原・草津方面へ・・・というルートを取るでしょうし,吾妻郡の入り口たる羽根尾城は,前年に昌幸が城主の羽尾兄弟を謀殺して奪取していますから,あのような逃避行が有ったとも思われないのですが・・・。


信玄が2度も登場したのは,はっきり言ってぶっ飛びました。
ま,演出の1つではあるでしょうけど,どうかな・・と,思いました。
勝頼一行の終焉の地は,田野の景徳院の辺りだったと思われます。
日川を血で染める凄惨な戦いの果てに,勝頼一族は自害しますが,あれだけ立派な陣幕と,御旗(無かったな)楯無を持って歩いたのかどうか・・・。
介錯は土屋惣三だったと記憶していますが,同時に命を絶った嫡男の信勝や北条夫人は一切出てきませんでしたね・・・。
いずれにしても,髷と甲冑,騎上姿が一番似合っていたのは,平岳大演じる勝頼でした。大河の主役を務めた父の薫陶でしょうか・・・。


この頃の真田の立ち位置というのは,結構微妙であったのかも知れません・・・。
郡内(東甲州)を治める小山田信茂が,真田は後背定かでないと言い,岩殿城に勝頼を誘うと見せかけて裏切る・・・というのは,その通りとは思いますが,小山田とて武田家譜代の家臣・・・というより,緩い同盟関係にあったのが信玄の代に臣従した訳でしょうから,真田と極めて似た立場とも言えるのかも知れません・・・。
この辺りは,人物叢書等の参考文献や新田次郎の「武田信玄」,「武田勝頼」を読み返す必要に駆られます・・・。
真田が武田氏に仕えたのは,昌幸の先代である幸隆の時代です。
信州北部の豪族たち-例えば村上義清を筆頭に,井上某に高梨某,屋代某とかは,武田氏に南から圧迫され,越後の上杉を頼ります。
上州吾妻郡から信州小県郡を押さえた真田は,その中でも唯一武田に従った・・・というか,武田勢を手引きして砥石城や葛尾城といった村上氏の諸城を落とすのに大いに働きました。
その辺りが,山県,馬場,甘利・・・といった武田家譜代の家臣と共に真田幸隆が信玄二十四将に入ることになった由縁でしょう。
信玄麾下の秀才若手官僚として,昌幸はゆくゆく武田家を支える1人として,将来を期待されていたことと思われますが,信玄亡き後,勝頼の信頼を得たのは跡部勝資と長坂長閑斎でした(長坂は出てきませんけど・・・)。
そうした中にあって,昌幸は鬱々としていたことでしょうし,主家と運命を共にしなかった理由も,そのあたりに有ったのかも知れません・・・。
そうそう,昌幸はそもそも真田の家督ではありませんでした。
・・・というのは,先代幸隆の長子信綱(晴信の一字を貰ったのでしょう)と次子昌輝は,長篠の戦いで討ち死にしています。
そのような経緯で回ってきた家督を,昌幸はしっかりと引き継いで,強固な領国経営を行ってきたということになります。


それにしても,信幸・信繁兄弟の性格分けをくっきり出そうとしているのでしょうけど,何かそれがしっくりいっていないような気がしてなりません。
信幸-慎重,信繁-果断・・・という単純な分け方ではない筈ですし,それだけでは上手く描ききれないと思います・・・。
何かとにかくやたら軽くて,展開が見え見えだし,数々の歴史ドラマを見て感じてきた重厚さと緊張感が殆ど感じられないのが残念です・・・。
それに,あんなに打ち物を取って戦うのも??です。
どうも最近の大河の主人公は,かねたんにせよ龍馬にせよ,はたまた清盛と官兵衛にせよ,やたら初っ端からポテンシャルが高すぎるような気がします・・・。


最後に疑問を1つ。
「甲府が落城しました」
という台詞がありましたが,甲府という地名はいつから定着したのでしょう・・・。
駿府という呼称はありましたが,現在の甲府市は,当時新しく築城した新府に対して,古府中と呼ばれていたのではないかと想像されます。
多分甲府という名前が定着したのは,柳沢吉保の時代以降ではないのでしょうか・・・。だとしたら,
「甲府が落城・・・」
というのは,考証的にどうよ・・・と,なります・・・。
ま,信玄の父信虎が,現在の石和から躑躅ヶ崎城館に移った際に命名した・・・と言われているらしいですが・・・。 


またこういうことを書くと,今回の大河を楽しみにしておられる方々から,お叱りを受けるかもしれませんが,やはりしっかりした時代考証の下,私のような素人に突っ込まれないような良い作品を製作して貰いたいと思います。
どうも「坂の上の雲」に,エキスを吸い取られたのでは・・・という私の危惧が,これ以上現実にならないことを望みたいです・・・。


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