最初はオークションで落とそうかと思ったのだが,新品も価格が殆ど変わらず,送料もかからないので,思わずAmazonで注文して買ってしまった(こちら)。
ガン系のCDの購入は初めてだが,全編Vガンダムの曲集,そして千住明の作品,しかも海外のフルオーケストラによる演奏,ということに興趣をそそられ,ついつい買ってしまった。
Vガンダムに付けた千住の楽曲が秀逸であることは,先日のエントリで述べたばかりだが,録音用のスタジオオーケストラとは違った(多分)四管編成のフルオーケストラの鳴りっぷりは,精妙にして豪奢な千住の管弦楽法にぴったりである。
演奏しているポーランド放送交響楽団は,ポーランドの古都クラクフ(クラコウ,クラカウ)のオケである。
ポーランド放送のオケは,首都のワルシャワを含めで各都市に有るようだが,その中の一つということだろう。
特別巧いオケ,という訳ではないが,何とも古雅な味わいがある。
適切な例えかどうか分からないが,東欧系の団員が多いとされるドイツのバンベルク交響楽団を聴いた時と同種の感慨があった・・・。
クラクフは,かつてのポーランド王国の首都であり,先の大戦でも奇跡的に戦災に遭わず,旧市街は古き良き時代の様子を留め,プラハと共に世界遺産にも指定されているらしい。
蛇足ながら,ポーランド初のF1ドライバーであるロベルト・クビカは,このクラクフの出身である。
近くにはアウシュビッツの収容所もあり,ワルシャワ蜂起の悲劇同様戦争の爪痕を感じさせる街とも言えるかもしれない。
Vガンダムが放映され,このCDが録音された1993(平成5)年秋といえば,東欧諸国に民主化の波が押し寄せ,ワルシャワ条約機構の解体が進み,さらに隣国の旧ユーゴでは内戦が激化した時期でもある。
Vガンダムの最初の舞台であるカサレリアは,現在のチェコをはじめとする東欧である。
だから隣国のポーランドで・・・といったことはまぁさておき,こうした時期に録音が行われたことは,何とも言えぬモニュメンタルな事実である。
交響組曲第2番と題されたこの楽曲は,9部構成で50分を超える長大な交響曲というより,連作交響詩のような様相を呈している。
スメタナの「わが祖国」のような・・・。
平和な中欧の風物と,迫り来る戦争の恐怖。
美しい野辺の風景と,対照的な軍靴の響きのような重圧感。
輝かしい勝利の楽曲と,平和を希求するような祈りにも似た緩抒部。
千住の楽曲の魅力は,重厚で悲劇的な部分と軽やかに疾走するような輝かしさに満ちた部分の対比にあると思うが,当CDもその魅力が顕在で,買って良かったと思わせる部分が多々ある。
オリジナル・サウンドトラックでも魅力的だった楽曲が散りばめられており,飽かずに聴くことができた。
唯一の不満は,上記サントラで最も魅力的だった次回予告のバックに流れた「野辺の花」なる楽曲が無かったことであるが,考えてみればこれは前期の主題歌である「Standup to the Victory」のアコースティックなアレンジであり,千住のオリジナル曲ではないので当然の結果でもある。
さて,今も作業を進める背後でこの曲が鳴っているが,3種のサントラCDと合わせてVガンベストCDでも編集してみようか・・・。
(画像はCDより)
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