大層なご馳走で旨かったと。
大阪からみなで出雲大社のマチに疎開した。なかでも、お父君がご商売されていて裕福なお家の子息もいて、ご両親が月に一度は疎開先まで汽車に乗って訪れてきてくれたらしい。たくさんのお土産をもって。
「ツボイ、今日は一緒にご飯食べよう!うちの親が来るから!」と、その度に誘ってくれた。「私ハ、当時おとなしい子供だったからか、友だちがいつも何かにつけ誘ってくれた」と、ツボイは当時を回想しながらしみじみと言った。
ところで、当時のすき焼きは今のすき焼きと同じだったか訊ねると、ちょっと違ったらしい。昨今より肉が厚切りだったと。で、輸入肉など皆無。
先生に、肉野菜を玉子につけて食べましたかと訊ねると、
「そら、もちろんや。玉子につけて食べた。それがすき焼きやろ」と言った。
親元離れた寂しからの夜泣き、オネショなど頻発し、世話役の女学校出の若いオネェサンたちには今でも頭が上がらない思いらしい(笑)