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安倍首相、TPP交渉参加を表明=「経済全体にプラス」―農業の競争力強化に全力

2013年03月17日 | 過去記事


安倍首相、TPP交渉参加を表明=「経済全体にプラス」―農業の競争力強化に全力

<安倍晋三首相は15日夕、首相官邸で記者会見し、米国やオーストラリアなど11カ国が参加している環太平洋連携協定(TPP)について「交渉に参加する決断をした」と正式に表明した。首相は「今がラストチャンスだ。このチャンスを逃すと世界のルール作りから取り残される」と述べるとともに、「全ての関税をゼロとした場合でも、わが国経済全体としてプラスの効果がある」と強調。また「あらゆる努力で日本の農を守り、食を守ることを誓う」と訴え、参加への理解を求めた。
 日本の参加は、米議会の承認手続きに90日程度かかることに加え、先行参加国が7月の交渉会合開催を検討していることから、早くても7月以降になる見通し。先行国は10月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた会合での合意を目指しており、コメなど関税撤廃の例外品目確保に向けた調整や、自動車や保険などをめぐる米国との協議が焦点となる。
 首相は会見で、交渉参加を決断した理由について「世界経済の約3分の1を占める大きな経済圏が生まれつつある。韓国やアジアの新興国が次々と開放経済へと転換していて、日本だけが内向きになってしまっては成長の可能性もない」と説明した。
 また、「経済的な相互依存関係を深めていくことは、わが国の安全保障にとっても、またアジア太平洋地域の安定にも大きく寄与する」と指摘。経済・軍事双方で台頭する中国を念頭に、同盟国の米国はじめ、民主主義や基本的人権などの価値観を共有する参加国との連携が日本の安全保障環境に資すると語り、「交渉参加はまさに国家百年の計だ」と断じた。
 TPPに加盟した場合、影響が予想される農業分野に関しては「攻めの政策により、競争力を高め、輸出を拡大し、成長産業にする」と表明した>








「TPP賛成派」は一枚岩だった。良くも悪くも自由主義、市場主義。競争力をつけて日本が勝ち上がればいい、という獰猛さも共通した。メリットとデメリットを「お金」で換算して天秤で量る。強いところを伸ばして、弱いところは切り捨てる。コレを賛成派は「譲るとこは譲って」「獲れるものは獲る」で行きましょう、というスタンスだった。

それから「対中包囲網」も同じ。軍事力だけではなく、経済でも頭角を現してきた中国に対して、日米間の「絆」を強固にして対処していく。安倍総理もコレは言った。私はそう思わないが、日本国内は少子高齢化で成長が見込めない。また、長年のデフレに円高で疲弊もしている。経済が安定して成長路線に乗るまで、まだもう少し時間もかかる。それなら途上国も含めて「市場」を開放しましょう、他国間競争を「日本国内」でやってもらいましょう。それで「実利」は日本国内に落ちるはず、トータルで日本国民が潤うはず。オマケに支那朝鮮が嫌がる、と。

比して、私を含む「慎重派」というか「反対派」は分裂していた。「農業が崩壊する」とか「国民皆保険が危ない」は左巻きも言った。真っ赤な口から「日本の国柄が壊される」とか、ちょっと信じられない言葉もあった。共産党や社民党、民主党内の左翼崩れと言い分が同じ、例えば、西村慎吾と福島瑞穂が同じ「TPP反対」だったのはそういうことだった。この二人の意見が同じ、などはこの先もうないだろう。非常に稀有な事案だった。

ただし、反対の理由はまったく違った。

安倍総理が「交渉参加」を表明した前日、北京では全人代だった。胡錦濤に代わって習近平が国家主席になった。タイミング的には大当たりだ。また、これは余談だが「反対票」が1票あったとかで、それは誰だろうと取り上げているメディアもあった。とても初心い、と恥ずかしくなった。なんという純真か。

そういえば胡錦濤のときも反対票は3つあった。というか、世界は支那共産党がちゃんと「集計している」なんて信じていない。子分の金正日は「支持率100%」だった。果汁ドリンクじゃあるまいし、そんな数字を信用する阿呆はいないが、それでも一応、この国の正式名称は「朝鮮民主主義人民共和国」。民主主義が機能している前提、国民からの圧倒的支持を得ていることにしなければ具合が悪い。支那共産党が北朝鮮よりもマシだとすれば、この反対票の1票になる。とりあえず「反対もできます」みたいな感じか。つまり、無意味だ。

こんな時代錯誤も甚だしい一党独裁国家が、世界経済に影響し始めて久しい。また、こういう独裁国家は強くなれば横暴をする。国際社会の中で協調性を持って、などできるならば独裁はやらない。とはいえ、民主主義が定着する民度でもない。

その子分もまた、日本海に向けてミサイルを飛ばす。核の小型化に成功したとかしないとか、物騒な話も聞こえてくる。また、日中関係はもちろん、日韓もしっくりいかない。大統領が代わっても反日の旗は降ろせなかった。どころか1000年経っても終わらない、と公言する始末だった。北朝鮮はほっとしたことだろう。

日本のTPP交渉参加を受けて、さっそく支那高官は「新たな冷戦構造」と非難した。安倍総理も会見で<交渉参加は国家百年の計。同盟国の米国などと新たなルールを作ることは、わが国の安全保障やアジア太平洋地域の安定にも寄与する>と述べた。官邸周辺の声として<TPP反対派や反対政党に、親中派や中国に近い勢力が多いのは偶然ではない>との報道もあった。要するに「反対派」の中の左巻き、社民党や共産党、民主党内左派のことだが、これらはズムワルト米国務次官補代理がワシントンで講演した際の<米国を含むアジア太平洋地域の自由貿易の枠組みができる。日本にとっての戦略的な意義があり、それがTPPだ>に反対していた。支那共産党が困るじゃないか、が本音だった。連中からすれば日本の農林水産業なんか、ホントはどうでもいい。「美しい田園風景が」も言ってみただけだ。日本の国柄を護るどころか、ホントは壊したい連中のことだった。

また、普通の「慎重派」は支那朝鮮が困るのに文句はないが、それ以上に日本が困ることになる、が言い分だった。オバマはある意味で正直だった。「アメリカに輸出できると思うな」と最初に釘も刺した。TPP自体も日本の参加がなければ、アメリカにとって旨味はない。米企業は日本国内の市場における需要開拓が必要なのだ。だから日本が不参加のままのTPPなど骨抜きもいいところだ。言うまでもなく、アメリカは日本の参加を前提に動いていたとみるべきであり、それに安易に乗せられたのが管と野田だった。鳩山某の引き起こした出鱈目、それに伴う民主党への失望感、あるいは明確なバッシング、それから壊滅的になった日米関係を修復する意味でも、先ず、菅直人はTPPに飛び付いた。

支那との関係も予想外だった。菅直人や仙谷は一連の尖閣諸島に関する問題でやらかした。あっさり書くと、支那が怒るとは思わなかった。船長も釈放した。ビデオも隠蔽した。支那に魂を売った政治家に「こつんと当たった感じ」だとも言わせた。それで支那は沈静化するだろうと踏んでいた。しかし、逆だった。この流れは尖閣諸島国有化のあとも続く。

野田政権は「石原都知事(当時)に任せておけば何をするかわからない」として国有化を進めた。野田政権における「棚上げ」の意味だった。だから支那共産党も同じ思いだろう、と勝手に舐めていた。しかし、胡錦濤は褒めてくれなかった。支那人民も反日デモで盛り上がった。イオンも燃やされた。チンケな外交で日本は弱り目に祟り目、そこでアメリカに尻尾を振った。だから野田は「ISD条項」も知らずに邁進した。最悪だった。

野田政権の最高の功績は「解散」したことだ。いまでこそ国会で前原とか、参加するなら国益を守れ、と吠えているが、あのまま野田政権が続き、その延長で交渉参加となれば事態はどうなっていたか。ぞっとするのは、あの民主党のていたらく、無知無能だ。なんの戦略もなく、基本的知識も情報もなく、アメリカに泣きついていたら好きなようにされていた。支那は国家戦略としての「挑発」を止めない。今後もエスカレートすることは自明である。慌てて日米同盟を強固に、とすがれば、アレもコレも差し出さねばならなかった。

そういう意味で今回の「安倍外交」は電光石火だった。安倍総理はオバマ大統領とのトップ会談で、自民党の政権公約である「聖域なき関税撤廃」を前面に押し出して交渉した。言うまでもない。日本国民の高い支持率が背中を押した。「世論が政治を動かす」とはこういうことだが、その結果、アメリカから事実上の「譲歩」を引き出した。アメリカも日本に「無理して参加せずとも結構」を本気では言えない理由がある。日本がいるかいないか、では経済規模がぜんぜん違ってくる。オバマが親日かどうかも関係ない。どうせ頭の中はビジネスマン顔負けの実利主義だ。交渉の相手を見て態度を変えることも当然だった。

決定的なことを言うと、日本は参加するかしないか、選べる立場にあった、ということだ。国内を二分する議論が可能だった。とくに経済的な理由においては「見送る」という選択肢も厳然としてあった。これはTPP参加国で日本だけだと思われる。この「強み」をぜんぶ台無しにするところだったのが民主党政権だ。民主党議員が国会で「我々が与党だったときも」とか枕言葉で使う違和感はそこからくる。おまえらがなにをしたというのか?がマトモな日本国民の感想だからだ。

本来、優勢な立場で交渉に臨めるはずだったわけだ。交渉参加が「2年も遅れた。不利だ」という意見もあるが、逆に言うと2年過ぎてもイニシアチブを握ることが出来るのも日本だ。日米が中心になってルール作りを行う、ということも必然的なことであり、ある意味では不可抗力だ。国際社会での交渉事なれば、現実には如何ともしがたい国力というモノがある。どこの国も文句は言わない。

今回、日米は「半分譲って半分取る」をやった。どうせ野党は「譲った部分」だけを取り上げて批判するだろうが、今度はメディアの「応援」はない。テレビもさっそく乳製品が安くなるとか、ケーキ屋さんが喜んでます、と白々しいこともする。うどんやパン、カップラーメンが安くなる、と報じている。馬鹿はどうせ、これで転ぶ。全国紙も足並みそろえた「評価する」「歓迎する」だった。福島瑞穂と朝日新聞の意見が違う。これも稀有なことだった。

福島瑞穂は安倍総理を「ぼっちゃん」と呼んで馬鹿にする。たしかに育ちもよろしいし、ソフトで丁寧な語り口調やニコニコしている風貌はそんな感じか。支那朝鮮がいう「恐怖のタカ派」のイメージとはぜんぜん違うが、中身の評価としては支那朝鮮が的を得ている。

やはり左巻きにとって、この政治家は「恐怖」だ。ニコニコしながら速攻、且つ、力技で物事を進めていく。合理的な「判断」の先には、大いなる責任を伴う「決断」を持ち、それを振るうことに躊躇いがない。大阪の「なんちゃって剛腕」など話にならない。反日記者に喧嘩を売るのが関の山だ。

日本の総理にリーダーシップを感じる。これほどの安心感があろうか。なにか仕事にもやる気が出てきた(笑)。鳩山、管、野田に比してマシ、などとても言えない。そういえば「消去法」など誰も言わなくなった。やはり、それほど圧倒的なのだ。

私は「褒めすぎ」を躊躇しない。日本にとって良いことは素直に称賛したい。しょうもない批判精神や冷笑主義もお断りだ。日本のために必死で戦う姿は、政治でもWBCでも同じだ。そこには感動があるし、問答無用で応援したい衝動を抑える必要もない。








2 コメント

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Unknown (翡翠)
2013-03-19 15:08:43
TPP反対派です。
でも、この記事には大変、共感しました。
どうか、転載させてください。
よろしくお願い致します。
(アメーバ  翡翠のブログ)
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Unknown (久代千代太郎)
2013-03-20 17:47:39
>翡翠さま

まいど、いらっしゃいませ。


どうぞどうぞ。お好きなだけ。


でも、TPPは心配ですね。
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