忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

敗戦国外交の極み

2009年12月14日 | 過去記事
社長マンと話していると、決して今、「それどころではない」はずなのだが、よほど話すことがないのか、呑気に「北朝鮮のデノミ」がどうしたこうしたと言い出した。

この人と政治や歴史、社会や経済について話し合うことは無駄極まりないので、付き合う気分でもなかった私は愛想なく「はぁ・・」と返すだけだったのだが、それが悪かったようで、久しぶりに「嬉しそうな見下した目つき」になった。要するに「デノミ」という言葉が新鮮だったのだろう。もしくは、この御仁のことだ、知らなかった可能性も十分ある。だから「使いたくなった」だけなのである。おまえ、デノミって言いたかっただけちゃうんかということである。まったく、相変わらず物差しが短い男だが、問題は「己の使用人ごときが、己よりも長い物差しを持っているはずがない」という決めつけだ。もうとっくに慣れたが実に不快である。

ンで、例のごとく、嬉しそうに「デノミ・・・やで?え?・・・え?」とか言い出した。実に下らん男だ。私はすぐ、この御仁の悪意に気付いたから「デノミネーションでしょ。子供でも知ってますよ。通貨呼称が変わることを言いますね」と返したが、やはり、ちょっと残念そうだった。心底、下らん男だ。

極めつけの阿呆さ加減は「日本もわからんで?」である。日本も北朝鮮のようにデノミでタンス預金が消えるかもと言うのである。もはや付き合い切れん。


ま、もう愚痴ることもなくなるだろうが(おいおい・・)、ともかく、北朝鮮が大変だ。


北朝鮮の「両江道」というところでは、債務者が「旧紙幣で支払う」と言ったら債権者に殴り殺されるという事件もあったらしい。市場価格は従来の20倍にも達し、新貨幣交換における限度額が10万ウォン(約3千円)ということで、さすがに将軍様に文句を言う人民も出てきた。期間内にタンス預金を使ってしまわないと残りは「紙くず」になるわけだから、なんとか喰い物や着る物に変えようとするのだが、売るほうも限度額以上の旧紙幣なんぞ持っていたって仕方がない。仕方がないからモノの値段が阿呆みたいなことになる。


ンで、こんな阿呆みたいな国にミサイルを飛ばされ、国民を拉致されて取り戻すこともできないもっと阿呆みたいな国がある。何とも情けないが、それは日本という国だ。



私が生まれた昭和46年。鹿児島の園田一さん(53)と奥様の敏子さん(43)は、正月休みで帰郷する次女を迎えに出掛けて、同年12月30日、そのまま行方不明になった。いわゆる「特定失踪者」である。500名以上が疑われ、そのうち70名以上が「拉致濃厚」とされる。この日本という国は、娘さんと正月を過ごそうとしただけで拉致される危険があるわけだ。つまり、園田さん夫妻はもう、38年間も娘さんと正月を過ごしていない。

産経新聞の記事によれば、その少し前の同年10月2日の未明、園田さん夫妻が住んでいた鹿児島県曽於郡大崎町付近の海岸で、ゴムボート2隻で上陸する6名の不審者が釣り人に目撃された。消防団員が捜索したところ2名を発見。残る4人はボートで逃げた。

ボートの逃げた先には不審な漁船があった。通報を受けた海上保安庁が追いかけたが、草垣島西方の海上で見失ってしまう。日本では「止まりなさい」と言ったら止まってくれるという前提で法整備しているのに、北朝鮮の不審船は止まってくれなかったわけだ。ならばもう日本は手も足も出ない。また、捕まえた2名は朝鮮総連の幹部だった。九州の地図と新紙幣で71万円の現金を所持、トランジスタラジオやハングル文字のメモなどを持っていたが、「逃げたゴムボートなんか知らんニダ。アーアー聞こえないスミダ」で押し通され、鹿児島県警の指宿署は「取り調べが困難」として、なんと、あっさり釈放した。

北朝鮮からの工作員をやっとこ捕まえても、今の日本で問われる罪は「外国人登録法違反」や「出入国管理令違反」であるから、お茶飲ませて話し込んだら終わりだ。「何もしていないから微罪」ということですぐに釈放される。虫唾が走るほど呑気な国だ。

今年、いよいよ行ってみようかと思っている対馬など、あれほど国境の島だとか、国家防衛の水際などと言われながら、密入国船の「燃料補給ポイント」となっているらしい。年間、4万人しか住んでいない対馬に3万人以上の韓国人が押し寄せるわけだから、同じ言語を話す工作員が紛れ込んでいる可能性も高いだろうに、未だに生体認証システムは空港だけだ。表玄関である「空の入り口」だけで、年間千人近い不法入国者が日本から送り返されているのに、こんな便利な「裏口」から不法に入り込む犯罪者が少ないはずもない。

さすがに福岡の入管も、ようやく、東京入管新潟出張所の「北日本機動班」に続き、今年の10月に「西日本機動班」を設置した。「遅きに失する」どころの話ではないが、ともに密入国者を取り締まる専門の機関であるのは結構なことだ。が、しかし、この西日本機動班の職員は8名。対馬沿岸をパトロールするのは2~3カ月に1度ということだ。いくら日本の海岸の長さがアメリカの海岸線の約2倍、3万5千キロもあるからといって、これではあまりに頼りない。しかも、先述の通り、取り締まる法律がないから捕まえても何もできない。これでは北朝鮮に「拉致は許さん」と言っても詮無いことだ。


今年の衆議院選挙において、

「日本政府は北朝鮮から拉致被害者を本気で取り戻そうとしていない。国には国の道がある。国の使命と責任、それは拉致被害者の奪還にこそ原点がある」

と叫んだのは大阪14区から出馬した三宅博氏だったが、「拉致被害者よりも子供手当」という有権者が多数、無念ながら落選した。代わりに当選したのは民主党、我らが「長尾敬」議員だ。もちろん、長尾議員も三宅氏と同じく、拉致被害者奪還を訴えている。訴えながらも小沢と訪中したから「ネットウヨク(笑)」に非難されている。

だが、ちょっと待ってほしい。(しゃきーん)

いくら小沢チルドレンだと言っても、いくら小沢が「人民解放軍の司令官(のつもりで頑張りマス!)」と言ったとしても、それでも長尾敬議員は民主党の中の貴重な「保守派」である。長尾議員が支那に行って何をして、何を言ったのか。もしくは、日本に戻ってきてから何をして、何を言ってくれるのか。是非とも期待しようではないか。

もう、今から「世界最悪の独裁者」のランキングベスト10の常連である胡錦濤国家主席と握手して記念撮影はしたのだろうか。抗議行動しただけのチベットの僧侶に処刑命令出しまくった人殺しの手は暖かかったのか。そのツーショット写真を事務所に飾るのだろうか。サソリのてんぷらを食べたのか、全身マッサージはしたのかどうか、興味は尽きないのである。


また、超党派の国会議員でつくる「拉致議連」も、この友愛政権になって少し経った11月、なんとも今更「圧力」の確認をしている。これも友愛総理が同月の予算委員会で「対話も重視してあらゆる手段で解決したい」と眠たいことを言い出したからだ。それでなくとも、民主党の新人議員が大量に入り込み、安倍さんは「議連から融和が出ると甘く見られる」と懸念を表明した。議連の会長こそ平沼さんが留任して安心したわけだが、ちゃっかり友愛総理も「顧問」として名を連ねている。本来なら現役総理大臣の顧問は頼もしいはずなのだが、まあ、なんとも情けないが、実に不安だ。



北朝鮮は、いよいよ限界なのかもしれない。崩壊するとか暴発するとか言われてきたが、いよいよなのかもしれない。そんな北朝鮮に、今でも囚われている日本人がそのままだと思えばやりきれない。小沢は「金を払って、何人か返してくれ、とやるしかない」と述べて周囲を凍りつかせたと言われる。何とも情けない話だが、北朝鮮に対する鳩山政権を思えば、実のところ、これしかないのかもしれない。しかしながら無論、その場合は「全員奪還」ではなく、小沢の言うとおり「何人か」ということになろう。そして、拉致被害者も家族も、もう何年も待てないということも事実だ。

日本の「圧力」は効いていると思う。しかし、支那がある限り、北朝鮮は干上がっても崩壊まではしなかった。当たり前の話だが、日本がもし普通の国だったら、とっくの昔に特殊部隊を送り込んで「金一族」を滅ぼしていたはずだ。いや、その前に北朝鮮は日本人を拉致する際、相当な覚悟を要したはずである。これを抑止効果という。

少し前、湾岸戦争でも日本は金だけ出して馬鹿にされた。小沢がごっそりと出して、どこにいったかわからなくなった。それこそ「北朝鮮が何個も買えるほどのカネ」だったが、それでも感謝されるどころか評価もされなかった。最近も、インド洋での給油を止めて、また、日本は金だけ出すと鳩山政権は言う。いわゆる「小切手外交」と言われる日本特有の外交だが、給油の半分を受けるパキスタン政府は「それは困る」と言っている。

北朝鮮国内で人民の暴動が始まったら多くの難民が発生するだろう。新潟の入管、北日本機動班も難民は追い返さない。それが武装難民であってもだ。日本人拉致被害者は帰らないのに、多くの北朝鮮人が日本の土を踏むことになろう。それこそ鳩山政権の面目躍如、今こそ友愛の出番として、また、多くの血税が使われる可能性もふんだんにある。


ちなみに、この「金をたくさん持って行って、何人か返してください、とやるしかないだろう」という「小沢案」・・・金正日が「北の将軍」ならば、こっちは「闇の将軍」と呼ばれる実力者、現政権与党の「大物幹事長」が出した拉致被害者奪還における提案とは、冒頭の社長マンなどと同じ提案だ。いや、そこらの立ち飲み屋のおっさんでも「もう、金で解決するしかないやろ?」と赤い顔して言うだろう。


すなわち、今、この日本を動かしている人も、動かされている人も「そのレベル」にあり、しかも、それが「現実路線」と成り果てているということだ。酒も飲まずに大真面目な顔で、酔ったことを言う人の言うことをきいているのが友愛総理なのだと考えるに、拉致された日本国民は、今年の正月も強制収容所でトウモロコシの粉が浮いた粥を啜ることになろう。拉致されていない日本国民は、暖も取れてウマいメシが喰えるのに、不景気だなんだと文句を言って、政権政党には「早く経済対策しろ」と「早く手当を出せ」とやるのだろう。

日本国に対してよく「一度戦争に負けただけで・・・」と言う人がいる。私もそう思っていた。しかし、現実は「1度ではない」のではないか。アメリカに負け、韓国に負け、支那に負け、北朝鮮に負け、ロシアに負け、オーストラリアに負け・・・実のところ、日本はもう、どこにも勝てない国になったのではないだろうか。

2 コメント

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嗚呼 (二代目弥右衛門)
2009-12-14 14:04:10
悲しいことですね。
現実はもはやとっくに「どこにも勝てない」国なのかも知れません。わが国は。

そして、もっと悲しいことに、当事者である日本人の多くは無自覚ということです。

中国で全身マッサージをしてもらって喜んでいるような議員には一生わからないかもしれませんね。




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Unknown (久代千代太郎)
2009-12-16 12:24:16
>かいちょ


無自覚ですねぇ

「自分のことしか考えない」は論理的に矛盾すると気付かないんですねぇ・・・




んで、かいちょ。


今度、全身ではないですけれども、腰だけマッサージしてあげましょう。私が。(ローションは使いません)
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