忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

2008.12.19 [2]

2008年12月19日 | 過去記事
以前、眠れぬ夜が続いたことがある。妻に泣き事半分すがりつくと「睡眠導入剤」とやらをくれた。「うわばみ」のように呑む私だから効かないのではないかと訝しむ間もなく、コトリと落ちた。▼北九州市にある薬局から、ネットで大量購入して自殺を図った19才がいたというニュースがあった。300錠ほど飲んだらしい。いろいろと規制があったらしいが、誰でも簡単に「楽天市場」で大量仕入れできる状態を許しておいて、どこを規制していたというのか知りたいものだ。▼19才の青年は死にきれなかったが足に障害が残った。父親は「ネット販売を禁止してほしい」と訴える。事実、北九州の薬局は閉店した。厚労省も新たな規制に乗り出すという。▼その「薬」を必要としている人もいる。勝手に自殺に使われて販売規制は納得し難いところだろう。ちゃんと用量を守って服用している人には迷惑な話だ。▼旧聞ながら「硫化水素」を製造できるとして「とある商品」も店頭から消えた。未成年だけだったか、秋葉原の事件からダガ―ナイフの単純所持も禁止されている。▼人間、その気になれば「ロープ一本」「手ぬぐい一本」で死ねる。素手で人も殺せる。しかし、年間に1万人以上殺す自動車は規制されない。▼人は皆、崖をよじ登っている。崖の高さも傾斜も状態も人それぞれだが、登るのを諦めてしまう奴は必ずいる。セーフティネットはない。手を離せば、存外、落ちるのは簡単だ。


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