忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

一家4人で960回不正申請、9.6億円受給関与かコロナ給付金

2022年05月30日 | 忘憂之物




職場のアルバイト。就活生も少なくないが、中には変わったのが何人かいて、私にもいろいろと聞いてくる。面接の際に気をつけること、採用基準のこと、避けたほうがいい就職先の特徴などだ。以前は卒業論文を読まされて、どうですか?、もいた。いくつかダメ出しをした記憶もある。

社会に放り出される直前、若者はなにかと不安なんだろうと思うが、いずれにしても雑魚臭い。性格がネジくれている私などは、どうせ貴様らなどひと山ナンボ、吐いて捨てるほどいる盆暗が、贅沢抜かさずに一生、死ぬまで頑張って幸せに生きればいい、とこっそりと蔑んでいた。

しかし、今年はなにかあったのか、マシな質問がいくつかあった。その中でも最優秀賞がこれだ。

「仕事をしてきて楽しいと感じるときはいつですか」

もちろん、もうすぐ世に出て納税者となって、我が老後を支えてくれる若者は「うん、やはり、ノルマを達成したときかな」とか「チームで目標を設定して、それに向かって全力で突き進んでいるとき、あの一体感は最高だね」みたいな答えを期待していると思ったが、そんな雑魚なら私に質問しなくても、社内には高学歴エリート様もいるし、現場でデキる奴として出世コース驀進中の猛者がいる。そんな面白くもない答えを求めているなら、そんな面白くもない雑魚な連中はそこらにいる。

こんな毒にも薬にもならず、社内の軋轢と摩擦の中をひょうひょうと、敵も作らず味方もおらず、出世コースから外れるどころか、正規のコースから外れに外れ、もう、どこがコースだったのかも忘れてしまった50過ぎ。業界の大海原を無難で卒なくあと10年、適当に泳ぐだけの「令和・無責任男」に問うことなど何もないはずだ。それは自信をもって言えることだ。なのになぜ、私に聞くのか。

いや、マテ。もしかすると、この若造はそれを見越して、このおっさんはいったい、ナニが楽しくて毎日毎日過ごしているのか、と馬鹿にする目的で問うているのかもしれない。失礼な。私は私なりに「至って幸せな人生ですが、なにか?」というつもりで生きている。こんな若造に舐められてたまるか、とムキになり、突き放すように応えてやった。「そんなもんない」。

馬鹿垂れ。美味しい薬がないように、そんなに楽しいなら仕事じゃない。「好きこそものの上手なれ」は半分嘘だ。上手になるから好きになってくる、つまり、わかってくるから面白くなる、気がつくと本気で好きになっているときがある、それだけだ。「石の上にも3年」だ?阿呆か。最低5年だ。その石に10年、20年と上に乗ってみろ、もう苔が生えて同化しているはずだ。

結婚と同じだ。ンなしょうもないこと考えてないで、日々を大事に、人を大切に、すべてテキトーに励みなさい、と視線を外したが、若造はまだ「なるほど」とか言ってそこにいる。すごく迷惑だ。私は今日、届いたばかりの「月刊Hanada」が読みたい。仕事中に隠れて読みたいのである。橋下(笑。


ンで、まだ、なにか、あるのか。

「仕事していくうえで、いちばん、大事にしていることはなんですか」

若造よ。教えてやってもいいが、金はあるんだろうな。なにが悲しくて社会で30年以上、死ぬ思いで働いてきて、いま、ぼかぁ幸せだなぁ、と感じている「人生のプロ」がだ、なぜに貴様如きに無料で、その超がつく秘密を教えて差し上げねばならんのか。世の中、そんなに甘くない。ヤクルトで顔を洗って出直してくるか、いま、日本円で20円払え。この乳臭い餓鬼めが。

「コーヒー奢りますから」

・・・相場の6倍か。ま、まあ、いいだろう。私も先立つモノは必要だしな。

いいか、何度かしか言わんからよく聞け。大事にしている「コツ」はな。




「後ろ暗いことをしない」だ。


もちろん、人間のすることだ。自分が未熟で「してしまう」こともある。そのときは反省して後悔して「もう、二度としない」と決める。これを繰り返す。何度も何度もだ。決して無くならないが減らすことは可能だ。これを死ぬまでする。何度も何度もだ。すると「なにが後ろ暗いか」わかってくる。それを「成熟」という。「後ろ暗いこと」を未然に避けることができるようになる。

仕事なんかできなくてもいい。ただ真面目にやればいい。正直にすればいい。努力や工夫をしていればいい。結果など後からついてくる。ただ「後ろ暗いこと」はしないこと。これがわからないと矜持が失われる。誇りが持てなくなる。人間、これが本当に怖い。私は「そんなの」を何人か見てきた。本当に取り戻せないとこ、引き返せないとこまで行く。絶対に気をつけたほうがいい。

ところで、コーヒーは無糖を買ってこい。糖尿がもう。





―――そういえば少し前から、ワイドショーは「誤振り込み」ばかりだった。実に健全だ。コロナ関連の支援金、四千数百万円が誤って24歳の盆暗に振り込まれて返してくれないとか、身の丈に合った番組内容だった。俳優やタレントをずらりと並べるワイドショーは、背伸びして国際情勢やら政治経済やらしなくていい。こういう阿呆な事件やら天気予報、動物の赤ちゃんと行列ができるラーメン屋特集とか、そういう世論に影響しない内容を発信すべきなのだ。

この24歳の阿呆は「ですよねー。びっくりしました」と返せばお仕舞だった。たぶん、町長から感謝もされた。マスコミのインタビューも来ただろう。そこでワイドショー向けに「いえ、町役場の人も困っているだろうと思いますし、そもそも、ボクのお金じゃないんで。え?惜しいと思うか?いえいえ、ぜんぜん、世の中、お金だけじゃないんで。あ、それじゃあ、仕事がありますので。今日、忙しいんですよねー」とかやれば1週間くらいは人気者になれた。逮捕もされず、職場でも社長が誉めてくれただろうし、バイトの女の子にもモテたかもしれないし、親も喜んだに違いない。まったく、阿呆の極みだ。


私は若者に対し、以下のような質問をすることがある。回答は私の主観だ。

Q1:駐車場に1万円札が落ちていた。どうする?
Q2:公園の茂みの中にバッグが。中には新聞紙に包まれた札束が。
Q3:宝くじに当選。前後賞合わせて10億円。


回答↓



A1:無視する
A2:無視する。茂みとか入らない。虫怖い。
A3:宝くじは買わない



よくあるのは金なら「警察に届ける」。宝くじなら「寄付する」だ。これはダメ。先ず、面倒臭い。落ちている金など知らぬ顔していれば、必ず、どこかの誰かが見つけて拾う。そいつがネコババしようが、警察に届けようが知ったことではない。とりあえず、可能な限り関わらない、を選択する。

宝くじは交通事故と同じ。買ってしまえば、今回は当たるかもしれない、と怯えて暮らさねばならない。年収が数百万家庭にいきなりの10億。もしくは田口翔(24)に100億でもいい。この阿呆が一生、不労収支を得るだけのことだ。いやたぶん、騙されるか、殺されるか、欲に潰されるか。いずれにせよ、碌なことはない。

人間は「自分で稼いだ(稼げる)金しか使えない」。これを「器量」という。

(真っ当な手段で)100億円稼げる人は100億円で物事を考える。いずれ100億円を稼ぐ人は、いま、20万円しかなくても「100億の使い道」が頭にある。つまり「100億円の器量がある」が、実際に稼ぐまでは使わない(使えない)のと同じだ。小遣い5万円のサラリーマンは、毎月毎月、その5万円を基準にして「使い道」を考える。べつに悪いことじゃないし不自由でもないが、しかし、これがなんの根拠も脈略もなく、いきなり2千万円になると、そこには支障しかない。3歳児に10万円持たせて「初めてのおつかい」なら「ちゃんと買って家に帰れるかな」以外の心配事が急増するのに似る。

その典型と言って差し支えないのが、例えば、この記事にある一家だ。普通に働いて一家4人、旦那の給料だけじゃアレだし、というなら嫁がパートに出てもいい。まだ40代後半だ。選ばねば仕事は腐るほどある。長男と次男も20代。大学に行かずとも働くか、まだ、バイトでも頑張っていれば、父親が海外逃亡して、残る家族3人が逮捕されることもなかった。せっせと阿呆みたいに、結果も考えず、目先の欲に駆られて、960回も不正申請してバレるよりはマシな生活、マシな人生、マシな子育てだったのではないかと誰でも思う。

当たり前だが、幸せ=お金持ちではない。べつに昨年の4月からイーロン・マスクが「世界一幸せ」になったわけではない。総資産は世界一、というだけのことだ。べつに、ふつうに生きるならあんなにいらない。みんながみんな、人類の生活に変革をもたらす、とか考えなくていい。あなたはあなたの大切な人と穏やかに過ごすだけでも十分、というか、それはもう勝利宣言だ。

金や権力に振り回されると、承認欲求のお化けみたいになり、自分を客観視することも出来なくなる。結果、金に使われ、権力に踊らされる。なにが正しくて、なにが間違っているのか、本当に判断がつかなくなる。

その生きた見本のひとりが大阪選挙区の「特命担当」になった。

この御仁はウソかホントか、2010年の総理時代、総資産は2241万円とのことだ。それに厚労大臣やら財務大臣を歴任して「元総理」である。現在でも公党の最高顧問だ。「政治家」としてのキャリアは文句なしだろう。それに鳩山由紀夫だ。総資産は14億円とされていた。こちらも「歴史的な政権交代」を成し遂げた偉大なリーダー、もちろん、ちゃんと「元総理」だ。




思い出そう。

ポイントは「後ろ暗いことをしない」だった。



―――さて、こうなりたい、と思う人はいるか。







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