忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

「今、」

2008年04月19日 | 過去記事
■2008/04/18 (金) 「今、」1

遅い帰宅ながら風呂に浸かる。「温泉の元」を入れてロックグラスを揺らす。言うまでもなく、湯船に浸かりながら飲るのは格別なのだが、「体に良くない」と妻は嫌がるのだ。その代り、少しだけ「心にとても良い」ということも理解できるようになったらしい。「一杯だけ」と言いながら風呂場に運んできてくれる。

ぼぉ~~っと考えごとにふける。が、気をつけねばならんことがある。それは「考え過ぎる」ことだ。往々にしてネガティブになる。人生、考え込んでしまったら負けだ(笑)。

「昔の出来事」を思い出すのも気をつけたほうがいい。「楽しい思い出」を辿るも、そこに予期せぬ「忘れたい思い出」に出会うこともある。頭の中、心の中に嘘は通じない。自分を誤魔化すことは不可能である。

また、「良い思い出」に混在される「忘れたい思い出」をほじくり返すような、人間が生き抜く上で重要、且つ、優れた機能である「忘却」を妨げるようなことをしてはならん。なにより、それだけを取り出すには相当な客観性を要するし、己の状態によっては危険だし、その労力と比して結果は虚しいものだ。

「忘れたほうがよい」ことは忘れるに限る。不意に思い出してしまうという災難もあるが、そのときは頭をぶんぶんと振ってどこかに吹き飛ばす。映画を観るとか、マンガを読むとか、もしくは、美味い酒でも飲んで寝てしまえばいい。ともかく思考を殺すことだ。

でも、目の前にあることを「熟考する」ことは必要だ。考えねばならんこと、忘れてはならんことは、まさに「今」なのである。明日でもなく、昨日でもなく、今日でもない。

大切なのは「今」だ。
逃げられないことは「今」なのである。

風呂から出ると、更に遅くなった夕食を軽めに・・・と思ったら、妻が牛の死体を、これまた「少しだけ」と言いながら焼いてくれた。予想外の深夜のディナーに、慌てて自室から「ノンカロリー」の発泡酒を持ってきた。いくら深夜でも、麦茶で牛の死体は喰えん。

私の食事の用意を終えた妻は力なく言う。

「あの子、今、なにしてるかなぁ・・?」

「あの子」が娘を指すということはすぐにわかる。

『こんな時間、寝てると思うよ?』

「2」へ

■2008/04/18 (金) 「今、」2

若くして嫁に行った娘は、もう丸1年以上も帰らない。もちろん、帰ってきてはダメなのだが、あまりに若すぎたことからも親としては心配である。それでも、電話もつながるし、その気になれば会いにだって行ける。また、週末には孫も連れてくるだろうし、何より最近、一緒に「USJ」に行ったばかりではないか。だが、心配なのは「今」なのだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080417-00000169-jij-pol
<拉致進展へ連携確認=対北制裁延長受け-各省対策会議>

「家族揃ってささやかに暮らす」というだけのことが、どれほど「ありがたい」のかがわかる。だから、それができないとき、どれほど「心が引き裂かれる」のかも想像しよう。

どれほどの「今」が奪い去られているのか感じてみよう。

そして、それを保障するのが国家であるということも自明である。いや、国家とはそのために存在すると言っても過言ではあるまい。かりそめにも主権国家を標榜するならば、絶対に「護らねばならん」最低の条件でもあろう。国民とは国家の「主権」の根幹部である。これはもう、相手を殺してでも護らねばならないことであろう。

日本国民が拉致されている。

何気ない日常生活の中、ある日突然に襲われ、手錠をされ、足を縛られ、袋をかぶせられて船に乗せられる。家族に何も言えないまま、何も知らされないまま、何年も、いや、何十年も帰れない。その生殺与奪は独裁者に握られ、ずっと死ぬまで操り人形として生かされるだけの人生を余儀なくされる。これを「絶望」と言わずして、なにを「絶望」とするのか。

<(前略)中山恭子首相補佐官(拉致問題担当)は記者団に対し、制裁延長後の北朝鮮の反応について「まだ変化はない」と指摘。その上で「日本との直接交渉は北朝鮮にとっても利益になる」と述べ、北朝鮮に日朝協議の早期再開を呼び掛けた。>

福田政権が誕生してから半年が過ぎて初めて行われる「拉致問題対策会議」で決まったのは「制裁延長」だけだという。無論、安倍前総理が発動させた「経済制裁」は強烈な威力があった。そして、更なる制裁強化を模索している最中、日本中はマスコミに踊らされ「安倍おろし」に躍起となっていたのだ。

「3」へ

■2008/04/18 (金) 「今、」3

「拉致問題の完全解決。日本国民が納得できなければ日朝関係の前進はあり得ない。」と公然と言い放っていた若きリーダーをマスコミは叩きまくり、ワイドショーをみた多くの国民も流れに乗った。

同胞を拉致してふんぞり返り、あまつさえ恫喝外交をもって日本と日本国民を侮辱した北朝鮮に117万トンもの米を送り、国家予算が100億円の独裁者が3000年も生き永らえる資金を送り、その長男が「ディズニーランドに来ただけ」と抜かしつつ不法入国してもVIP対応でお見送りした政治家どもが、なにをもって、今尚、この国の政治家として血税で贅沢三昧しているのか。

一心同体で闘う意思を持った拉致被害者家族が、政府の無意味で無神経な報告に詰めよれば「黙りなさい!」と突き放す老害政治家が、なにをもって、この国の総理大臣なぞをしておるのか。問題軽視からか、それとも人格的欠陥からか、その体を流れる血液に温度はあるのか。総理大臣となり、この期に及んでも「直接対話」などを求めているだけならば、それはもう無能なだけではなく罪悪である。

http://www.rachi.go.jp/index.html
<北朝鮮による日本人拉致問題>

アニメ「めぐみ」の無料上映会が行われている。「無料」ということだが、心ある日本人ならば、もちろんさっそく観に行って財布にある1万円札を放り込もう。家族や友達、職場の人にも勧めよう。ともかく、話題にしよう。

これは「今」のことであるのだ。

言うまでもなく、1秒でも早い解決が望まれることなのである。

心あるマスコミ関係者よ。ゴールデンでバンバンやってくれ。
心ある映画館よ。連日、放映してくれ。儲けは度外視してくれ。

心ある政治家の皆さんよ。

北朝鮮に拉致された日本人を、1秒でも早く、家族の元へ返してやってくれ。

命がけでやってくれ。

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