古来からの当国の伝統に習い、「大掃除」というのをしてみた。
普段から飲んだくれでまともな生活をしていないが、自慢ではないが掃除はきちんとしている。
だから、さほど大変なことでもなかった。
だが、何を思ったか、「松居一代」プロデュースの掃除用具一式を買い込み、本格的に掃除に入った。
そこまでやろうと思えば、重箱の隅を突く姑の如く、幾らでも「汚れている」となる。
幸いにして独身で姑もなにもなく、ガタガタうるさい奴もいないが…。
とりあえず掃除した。
時刻は、深夜3時。
昨夜、仕事帰りに原付バイクのエンジンがかからなくなり、佐賀県から福岡県まで片道20kmの距離を押して帰った後のことだ。
カイシャの寮住まいであり、もうひとり住んでいるネパールだかどこだかのガイジンがなにもしないことからやった。
とりあえず、疲れた。
そりゃそうだ。
やっているうちにブチ切れ、旧友というか現役で非合法な暴力組織に在籍している、福井市在住の元「舎弟」に「ちょっと来い」と電話した。
「大晦日に福井から九州まで来いって、ヤバイっすわ」とガタガタ煩いから、つい昔の地金が出ていわば脅すと、結局来た。
女を連れてきた。
自慢じゃないが、女を見ただけで射精しているような人間にはキツイくらい、いいオンナだった。
「もっと早く来い」。「幾らアニキが借りてくれたアウディーでも、これ以上無理っすわ」
「ニトロ積みゃいいじゃねーか」。「レンタルにそんなモンどうやって積むんすか」と会話しながら、肝心のバイクをどうにかしてもらおうとした。
舎弟がひとこと、「バッテリー切れっすわ」ときた。
連れの女が吹き出した。
「いちいちこんなモンで呼ぶなよ」のノリだった。
しかも、福井から福岡まで…。
さすがに誤った。
手一杯の「おもてなし」をした。
相手も喜んでくれた。
舎弟も、プライドがあるだろうに…。
ふと、「まともな社会より、昔の非合法な社会の方がオレに合ってるわ」と思った。