所用により、久しぶりに「署」に赴いた。
「警察署」だ。
毎度ながら、気分が落ち着かない。
いつもの調子で昼間から酒臭い息を発していることで、「まさか、それだけでパクられることはねーだろう」と自分に鼓舞しながら行った。
署に入るなり、思わず壁の指名手配犯のポスターに視線が行った。
「知らん間に手配がかかってねーだろうーな」
と思いながら、写真を確かめた。
そもそも、単に免許証を紛失し、再発行の手続きに行っただけだ。
そうこうしている間に、ひとりの男が引っ張られて来た。
その様子から、クスリをキメている奴だとわかった。
そいつが、オレの顔を見るなり、「コイツから買った」と来た。
コッチもクスリではないが酔っているだけに訳がわからず、一瞬、「オレが売ったのか?」
と思った。
クスリを扱ったことはない。
ただ、いろいろと世話になっている官公署だけに、一気に「お前ならやり兼ねん」みたいなノリになり、「白状すれば自主ということにしてやる」みたいなノリになった。
とりあえず誤解を解き、解放されたものの、より警察に対する不信感は広まった。