雨が降っていた。
最近、雨ばかり。
警報が出ているこの降雨の中、いつものように原付きで帰った。
ルート246。
知っている人間であれば、深夜に246を原付きで帰ったりしない。
トラックの往来が凄い。
当然、他の車も、とんでもない速度で走っている。
正直、怖い。
でも、他にルートを知らない。
そのために原付きにナビを搭載しているが、そもそも方向音痴の上難聴で、地図の見方もわからなければ、道案内の音声も聞こえない。
とりあえず、土砂降りの雨の中帰宅した。
着ていた雨具をいつものようにハンガーにかけ、玄関にかけた。
毎度の如く入浴したりエサを喰ったりの後小便をもよおし、居間の扉を開けた。
すぐ前に見える玄関に、ニンゲンが立っているように見えた。
酔っていることもあり、雨具と見間違えかと思った。
だが、違う。
確かに、オンナが立っている。
にらみ合いになった。
酔っていることもあり、思わず「殺すぞ」といった。
「とっくに死んでるわ」と返って来た。
やはり霊だった。