早朝よりの来訪。
朝七時、いきなり玄関のピンポンが鳴った。
てっきり、昔の稼業の刺客かと思った。
魚眼レンズを覗いたものの、なにも映らない。
毎度の如くその時間近くまで飲んでいたこともあり、「勝負してやる」と、ドアを開けた。
立っていたのは、警察御一行様だった。
新年のあいさつか、と思った。
いきなり、「なんの話かわかるよな」ときた。
過去の、様々な悪事が、一瞬脳裏を過った。
一瞬、「あの件か、この件か?」
とべらべらと喋りそうになった。
どれも、法的にクリアできそうなノリで興したモノばかりだ。
例えば「殺し」は別だが…。
何かと思ったら、結局は、近所での下着泥棒の話だった。
新年早々、そんなのが出没したようで、目撃者の話から、オレがクローズアップされたようだ。
笑った。
確かに、貧乏している。
だが、他人の下着を盗むまでの貧乏はしていない。
そう話すと、警察が唖然としていた。
よく知る警察は、笑っていた。
後で知ったが、そのよく知る警察だけがオレを擁護していたというか、「アイツは、性犯罪をするような奴じゃない。テロみたいなノリだと平気でやるが」と、語っていたようで、確かに、よくオレを知っているだけある。
とりあえず、オレの犯行じゃない。
だいたい、選択済みの下着に価値はない。
「脱ぎたて」がいいんだろう?
…って、オレの犯行みたいだが。
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