残光の艦
宇宙戦艦ヤマト完結編サイドストーリー
回遊惑星アクエリアスは、新たな敵と成った「ディンギル帝国」の仕掛けた地球壊滅的作戦により、強制的ワープ、地球を水没させようとした。
それを打破せんと宇宙戦艦ヤマトは、水の惑星アクエリアスから地球目掛け伸びる水柱を断ち切り、地球を地球人類を救うため、弾頭と成り、自沈、その水柱を断ち切る事に成功した__。
時に西暦2203年、宇宙戦艦ヤマトは再び長き眠りについた__。
数週間後、宇宙戦艦ヤマトをその内部に抱き抱えたまま、月と地球の間に漂うアクエリアスの水は、氷塊と成り、地球の衛星の如く、その場に留まり浮遊する__。
数ヶ月後、地球と月の引力に挟まれ、自転する事もなく、その場に留まる氷塊「アクエリアスの月」と名付けられた。
元ヤマト技術長=真田の発案で、そのアクエリアスの月を観測基地として利用使用する事と成った。
着工から半年、真田発案の「観測基地」は、ようやく完成の目処が立った。
同じ頃、古代 進と愛を育んだ森 雪は、女の子を出産した__。
そんな中、この奇妙な事件が起きた・・・
何処からともなく、それは"射ち"込まれた__。
「ドン!!」と短く太い音と共にそれは氷塊の大地に突き刺さる。
微弱な地震を感じる。
計器類は、震度四くらいの地震をも思わせる数値が、観測された。
「お、おい。今、揺れたよな!?」観測士の一人が告げた。
「えっ!?何も感じなかったぜ。」
「気のせいじゃないのか?」右隣のもう一人の観測士が返事を返した。
「ん!?」
「何だ!この数値!」
「俺も感じはしなかったが、この数値からすると、震度四クラスだぜ。しかも一秒にも満たないほんの一瞬だけ。」左隣の観測士が、後を追うように告げた。
「だけど、デーダーは残るし、真田局長に説明しなくてならない。」
「調査した方が良いんじゃないか?」
「それなら、大丈夫だ。」
「地震は無かった。デーダーは削除改ざんしちゃえば、証拠は無い。」
「それに俺と矢澤が、全く感じていないんだ。」
「大体、元から在る小惑星でもないんだ。地震なんて起きる訳無いだろう。」
「空間に浮いた大陸みたいなものだ。自転もしなければ、軌道も持たない浮遊大陸だ。」
「ちょっと考えれば解るだろう!?」
三人の観測士の内、二人の観測士が微塵も揺れを感じていない事から、計器の故障だろうと、話は纏まった。
だが、これが誤りの始まりだったのだ__。
地球時間、深夜二時を過ぎた頃、それは動きはじめた。
遮蔽シールドを解除し、氷原に突き刺さる二つの物体が姿を現した。
その形状は空間魚雷のような形をしていた。
六分儀座に母星を持つセイレーン軍・特務工作兵の二人が、姿を現した。
「ここに伝説の艦(ふね)が眠っているのか。」カナーン特務少尉が呟くように言った。
「歴史通りならですが。」特務少尉の呟きに応えるキヒラ伍長は、軽く嫌みを混ぜた。
「フッ。」鼻で笑うカナーン少尉。
◆◆◆◆
同じ頃、地球では真田を中心とした極秘の調査、回収チームが、藤堂長官のみが、見送る中、アクエリアスの月を目指し、地球を出発した。
極秘の調査、回収とは、ヤマトマスターコンピュータに組み込まれている"ブラックボックス"の回収である。
このマスターコンピュータ・ブラックボックスには、簡単に言ってしまえば、"ヤマトの記憶"である。
・イスカンダルへの航海、ガミラス戦争。
・白色彗星帝国ガトランティス戦争。
・デスラーガミラスとの共闘。
・暗黒星団帝国(デザリアム帝国)戦争。
・ガルマン・ガミラス帝国及びボラー連邦戦争。
・ディンギル帝国戦争。
その各航海デーダー・戦闘デーダー等、クルーたちのその都度の健康、精神状態等も、全ての"記憶"=記録がインプットされている。
ー地球連邦防御軍:宇宙探索艇サザンクロスー
このサザンクロスは、白色彗星帝国ガトランティス戦、テレザート解放作戦時に使用された上陸用舟艇を改良した宇宙艇である。
元々が強襲揚陸艇をコンセプトに造られた宇宙艇である。
その為、悪路にも対応され、重火器を装備している。
真田的には、非武装でも良かったのだが、あまり改装に時間を掛けるのも、得策では無いと判断、敢えて武装解除は、しなかった。
改良点では、広域レーダーと地中探索レーダーを増設したくらいである。
ー火星宙域アステロイド・ベルトー
【アメシス・ブローネ】
「艦長。まだ特務隊から連絡は、入らんのか?」
「ハッ。申し訳御座いません。アメシス様。」
「何せ、偏狭の太陽系(ち)に存在する惑星(ほし)ですので。」
「艦長。忘れたか!?ここは、あのヤマトが眠る地。」
「私の父上を追いやった地球が存在する地。」
「そして、我々セイレーン連邦が100年もの長きに渡り、戦争している敬意を払うべき相手だ。」
「アメシス様。お言葉ですが、敬意ですか!?」
「艦長。頭が固いな。」
「情報は、まだなのだな。下がってよし。」
◆
「艦長。これで全カリキュラムを終了しました。」
「うむ。」
「航海長。進路を月面基地へ。」
「船務長。月軌道まで交代で、休息を取らせよ。」
「了解。」
アメシスの座乗艦とは、反対側の同アステロイド・ベルトにてテスト航海中の次期地球連邦防衛軍宇宙艦隊旗艦:開発ネーム「紀伊」は、現時点を持って全テストカリキュラムを終了、母港と成る月面基地へ進路を合わせた。
後編へ
つづく。
◆
次期地球連邦防衛軍:宇宙艦隊旗艦・戦略戦闘指揮艦:超ヤマト型紀伊(試作艦)
艦種:超弩級宇宙戦艦
識別番号BBY-111
全長:560.00m
艦体幅:50.00m
最大幅:61.77m(安定翼展開時:87.72m)
艦体高:94.54m
最大高:99.47m
最大速力
(通常航行時)亜光速
乗員:33名(テストプログラマーを除く)
主機関:改・ロ号艦本イ400式次元波動缶(通称:波動ツイン・エンジン)
副機関:艦本式コスモタービン改(74式推進機関×8基・2軸(核融合推進方式)
兵装
次元波動爆縮放射機(200糎口径、通称 波動砲)×1門
主砲:52糎単装 波動カートリッジ衝撃砲塔×10基(10門)
副砲:15.5糎三連装陽電子衝撃砲塔×4基(12門)
魚雷発射管×12門(艦首および艦尾両舷)
八連装ミサイル発射塔×1基(煙突部)
ミサイル発射管×32門(両舷側・艦底部)
94式爆雷投射機(マスト付け根)
12.7糎四連装高角速射陽電子砲塔×8基
8.8糎三連装高角速射陽電子砲塔×4基
12.7糎連装高角速陽電子砲塔×8基
7.5糎連装高角速射陽電子砲塔×10基
7.5糎三連装速射陽電子機関砲塔×4基
司令塔近接防御火器×2基
艦載機
試作コスモゼロ20(零式宇宙艦上戦闘機20型)×3機(予備機及び開発機(後続機21型)を含む)
※将来的にはブリッジクルーのみで運航、八隻を就航予定。
一隻の指揮艦でフルオート戦闘艦三十隻のコントロール・指揮を担う。
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この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト完結編》の二次創作です。
一部、公式より引用。
使用している画像はイメージです。