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鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

二次創作ー宇宙戦艦ヤマトrebornー前編

2020-01-27 22:27:00 | 宇宙戦艦ヤマト:二次創作


二次創作
宇宙戦艦ヤマトreborn前編


プロローグ【悪夢の始まり】


若き宇宙戦艦の士官は躊躇う事なく波動砲の引き金を引いた_。




「波動砲発射ーーーッ!!」

「波動砲弾、着弾まであと三十秒!」

「・・・8・7・6・5・4・3・2・1・着弾!!」

「イスカンダル星、崩壊をはじめました!!」


ーイスカンダル王都イスク・サン・アリア:スターシャの寝室ー


「ハッ!?」物凄い量の寝汗を掻きながら、くるまる毛布を払いのけ、起き上がるスターシャ。
美しい裸体に輝く日射しが優しいく包み込む。
ベッドの縁に腰を下ろし、呼吸を整えた。
呼吸を整えたスターシャは裸体のまま、窓辺に立ち、朝日が射し込む中、眼下を見下ろす。
何時もと変わらない王都イスク・サン・アリアと、この惑星(イスカンダル)唯一のオリジナルの海=マザーの海。
このマザーの海と呼ばれる海だけが、人工の砂浜と海洋生物を除き、惑星が誕生して出来たままのオリジナル海。
八割以上を占める碧く輝く海の星、地球の二倍もの大きさの星。
それが惑星イスカンダル。

「…嫌な夢を見たわ。」
そう呟くと侍女のアンドロイドを呼んだ

人型のアンドロイドで、生きた細胞で人工的に造られた人間的な皮膚で被われた侍女的な役割のアンドロイド一体が現れた。

「シーツと毛布を取り替えて、ベッドメイキングをしておいてちょうだい。」

「かしこまりました。」と右手を胸に当て、腰から上を曲げ、頭(こうべ)を垂れた侍女のアンドロイドは、すぐに作業に入った。

スターシャはそのままバスルームへ向かった。
湯けむりがスターシャを包み込む。
金色(こんじき)に輝く髪を洗い、裸体にへばりつく汗を流し、プールのような広いバスタブに身体を沈めた。

「……正夢にしてはいけないと、教えてくれたのかも知れませね。」そう思うスターシャはバスタブから上がり、全身が映る鏡を見つめる。
透き通るような白い肌、金色に輝く誰もが羨むような長い髪、地球人の年齢に換算して25、6歳くらいの美形の女性だ。

「なんとしても、この身体を維持せねば…永遠に…。」

時に西暦2191年。

イスク・サン・アリアの大広間に自身が造り出した"機械生命体"近衛兵・デスラーを呼び出したスターシャ。
そのスターシャは、命令を伝えた。


デスラー。人工の皮膚細胞を造る段階で配合する分量を間違えた事によって、グレー掛かった青い肌のまま、造られた。
地球人に概算して28歳くらいの年齢だ。
軍属らしく、そして、その長(ちょう)に相応しい高級将校を感じさせる軍服に漆黒のロングマントに身を包む。

「アンドロイド:デスラー。」
「貴方に命令を伝えます。」
「ここから16万8.000光年離れた銀河へ赴き、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星そして太陽この十個の惑星から成る太陽系と呼ばれ、その中で地球と呼ばれる惑星(ほし)を、そこに生息する生命体を絶滅させなさい。」

「惑星(ほし)をまるごとですか?」

「そうです。わたくしを守る為です。」
「貴方に、このイスカンダルの半分を与えましょう。好きに使うがいい。」
「兵を造り、兵器を造り、地球を攻めるのです。」

「かしこまりました。」デスラーは右手を胸に当て、腰から上を曲げ頭(こうべ)を垂れた。

時は流れ_。
翌年、近衛兵アンドロイドとして造られたデスラーは、万を数える程のアンドロイド兵と、千を超える戦闘兵器を造り整えた。

スターシャから与えられたイスカンダル星の半分は、海は埋め立てられ、兵器開発に伴う実験を繰り返したおかげで、大地は荒れ、大気は汚染された。
アンドロイドでなければ暮らす事は不可能なくらいまでに衰退した。
境界線上空には幾つもの大気浄化衛星がA.Iで制御され、浮かんでいた。

「兵士の諸君。機は熟した。」
「我々は、スターシャとイスカンダルを守る為に造られた。」
「私はそのスターシャから銀河系に属する太陽系の惑星(ほし)地球を滅ぼせと、仰せ使った。」
「そして、その時は来た。」
「我々は、古のイスカンダルを守ったとされる神獣ガミラスの名を頂いた。」
「栄光ある神獣ガミラスの名を頂いた!」
「これより、我々ガミラスは銀河系へ赴き、太陽系の惑星地球を侵攻する!」
「兵士の諸君!このデスラーに力を貸して欲しい!」

「進撃を開始せよ!!」

こうして、イスカンダルが造り整えた。ガミラスによる地球侵攻作戦が幕を開けた_。


ー太陽系外縁部・冥王星圏ー


ガミラスを名乗る異星国家軍は、西暦2192年を半ばほど過ぎ頃、太陽系に進出、圧倒的な科学力を見せつける。
戦端から僅か三時間足らずで地球初の外宇宙冥王星基地は、壊滅、陥落した。

「クックックッ。」
「圧倒的ではないか我がガミラスは。」不適に笑うデスラー。

「ガミロイド兵団長ドメルよ。」
「この制圧した惑星を整備、我々ガミラスの最前線基地とせよ。」

ガミラスの長(ちょう)、デスラーは造り出したアンドロイド兵の中でも、優れた戦術能力を有する兵団長ドメルに告げた。

ドメル兵団長。後の占領惑星:バラン星鎮守府の最高司令官=将軍の階級を得る。
体格は造り出したデスラーより、大柄で190Cm以上の身長があり、戦略家的な存在である。
地球人に概算して28歳くらいだ。
自ら戦線に立ち、戦闘を指揮するタイプで、高級感ある将校用軍服より、コンバットスーツを好む。
髪型はデスラーとは異なり、金色ではなく黒の短髪である。

「私は、この太陽系に来る途中で、補給基地に相応しい惑星(ほし)を見つけた。」
「その惑星に大補給基地を造り上げる。」
「完成するまでの間、貴公にこの占領地を任せる。」

「ハハッ。」
「早急に我がガミラスに相応しい前線基地に仕上げてみせます。」
ドメルは右手を肩の高さに水平に上げ、肘から90度に曲げ、手の掌を相手側に向け、ガミラス式敬礼で応えた。

基地を壊滅させたはいいが、資材と成る鉱石等をこの冥王星で採掘、精製、建造するしかなく、予定以上の時間費やす事となった。

「ドメル団長。この占領地(ほし)には資源が乏しく、基地の建設に支障があります。」
「自分が調査したところ、土星と呼ばれる惑星と、その周辺には鉱産物が豊富だと、解りました。」
ドメル団長の右腕的存在のシュルツ兵長が、意見を陳べた。

「うむ。」
「ならば、その土星圏をも我がガミラスの領土し、資源の確保を急がせよ!」

「ハハッ。」

ガミラスが冥王星基地を陥落させてから三ヶ月が過ぎた_。

「これより、我がガミラスは土星圏を確保する為、地球侵攻を再開する!」
「全部隊はシュルツ兵長の指揮下へ入れ!」
こうして、西暦2192年末、ガミラスによる地球侵攻作戦が再開され、それを察知した地球は、火星を絶対防衛線とする対ガミラス戦に移行した。
「第一次火星沖会戦」と地球側は名付け、30日にもおよぶ戦闘の末、地球軍の勝利と成った。
火星宙域までの占領は叶わなかったが、敗れたとは言え、ガミラス側は土星圏までの占領を成し遂げる事と成る。
敗北したシュルツは、名誉挽回を具申した。

「ドメル団長。わたくしシュルツに、もう一度、もう一度だけ地球侵攻のチャンスを!」

「……まぁ。よかろう。」
「資源惑星の確保は叶った。シュルツよ。もう一度だけ、チャンスをやろう!」
「私は、デスラー総統に呼ばれ、惑星バランへ赴く。」
「この冥王星前線基地をシュルツ。貴公に任せる。」
「もう一度だけチャンスをやる。戦果に期待する!」
「それとシュルツ。私は兵団長から将軍と呼称と階級が変わり、貴官は冥王星基地司令で大佐だ。」
「新たな階級は大佐だ。」

「ハハッ。ありがたきお言葉。」
「このシュルツの命に変えても、地球侵攻に勝利、致します!」
シュルツはドメルが、デスラーに行ったように右腕を水平に肩の高さまで上げ、肘から90度に曲げ、手の掌を相手に向け、応えた。

三ヶ月後、体制を整えたシュルツは艦隊を率いり、再び地球侵攻作戦を敢行した_。



だが、「第二次火星沖会戦」と呼ばれた会戦もまた、惨敗で幕を閉じた。
地球軍の奮闘に大敗を喫したのだ。

「…グググッ。」
「一度成らずとも二度までも、地球に、あの猿どもに敗れたとは、ドメル団長にも報告は出来ん!」
「ガンツ!ガンツは居らぬか?」
シュルツは、苛立ちを部下に当てるかのように、呼び出した。

「ハッ!シュルツ兵長。」

「ガンツよ。ドメル団長には地球の艦隊を殲滅、しかし降伏には至らず申し訳ありません。と打診せよ。」
「されど地球人のサンプルを入手、暫くはじわじわと地球を地球人を痛め付けたく思う所存です。」と伝えよ!

「必ずやご期待に添えます。今しばらく楽しみのお時間を下さいませ。」とな。

「…ガンツ。承知致しました。」

「うむ。」

約一年の間に二度も大敗したシュルツは先頃、完成した"反射衛星砲"を用いり、ロングレンジ攻撃に、切り替えた_。

シュルツ。
ドメルからは信頼され冥王星前線基地の司令官として第一線で指揮し、ヤマトの前に立ち塞がったガミラロイド=アンドロイド。
副官としてガンツがいる。
前頭部から後頭部まで禿げ上がった白髪頭が特徴の初老。


時は流れ…
西暦2198年初頭_。


ーイスク・サン・アリア:大広間ー


「総統、デスラーよ。」
「あれから随分と時間が経過したが、未だに地球陥落、地球人類の死滅の報告が上がらんが?」

「ハハッ。」
「スターシャ陛下。地球侵攻を任せたガミロイドシュルツが、何やら余りにも地球軍が弱すぎる為、遊び心で侵攻しているとの報告を受けています。」
「即刻、遊びを止めさせ、死滅させます。」
「大変、申し訳ございません。」片膝を床に付け、深々と頭(こうべ)を垂れ、許しを請うデスラー。

「そんなに弱すぎるのか!?」
「ならばハンデを与えるとしようか。」
「シュルツとやらが、楽しんでおるのなら、好きにさせてやろう。」
「これからは退屈しのぎのゲームとして、地球侵攻と地球人類殲滅を楽しもうと思うが、どうかな!?デスラーよ。」

「ハハッ。それは善きお考えかと。」

「そうと決まれば、デスラーよ。太陽系のシュルツに地球人類の殲滅はするな。と伝えよ!」

「よいな。デスラーよ。」

「御意!」



デスラーが立ち去るのを見届けたスターシャは、新たに造り出した機械生命体を呼び寄せた。
自身に似せて造り出したのか、着用しているビスチェとレオタードそして、ガーターストッキングを組み合わせたようなコスチュームを除けば、透き通るような白い肌、金色の長い髪、目鼻立ちや背格好は瓜二つの容姿だ。
年齢は地球人に概算して19~20歳くらいだ。


「イスカンダロイド・サーシャ。」
「このゲームを面白くするも、詰まらなくするも、お前に掛かっている。」
「この意味、解るな!?」

「ハイ。陛下。」

「うむ。」
「期待しているよ。サーシャ。」

「御意。」


【偽りの使者】


地球から16万8.000光年離れた大マゼラン銀河に属する惑星イスカンダル。
そのイスカンダルより、一隻の宇宙船がサーシャという一体のアンドロイドを乗せ、発進した。
サーシャはイスカンダル唯一の人類、スターシャによって、使者として送り出されたアンドロイドである。

だが、地球に地球人類に使者として信用させる必要がある。
そこでスターシャは、ある策を実行に移させた。


ー西暦2198年初冬・火星軌道ー


「…ん!?」
「此方、監視衛星マーズアルファ!」
「火星基地司令部へッ!!」
「地球のものでもガミラスのものでもない、星籍不明船をキャッチ!」
「……ちょっと待ってくれ!」
「その星籍不明船の後方にガミラスの高機動宇宙艇を二艇キャッチ!!」
「状況からして、追われているようだ!!」

「此方、火星基地司令部!」
「ガミラスを排除!星籍不明船を拿捕せよ!」
「繰り返す!ガミラスを排除!星籍不明船を拿捕せよ!」

「ラジャー!」

「陽電子速射砲、カートリッジ装填完了!」
「何時でも撃てます!」

「うむ。」
「射程圏に入り次第、速射開始せよ!」

「射程圏に入った!」

「撃ちー方はじめッ!!」

青白いパルス状のビームエネルギー弾が連射される。

「はっ、速い!」
「射撃レーダーが追い付かない!」

「クッ!オートから手動に切り替え、撃てッ!!」

「星籍不明船が被弾したもよう!」
「速度が若干だが、落ちた!」

「よし!ガミラス高機動艇を捉えた!」
「・・・3.2.1ビンゴッ!!」
「ガミラス高機動艇を撃破した!」
「しかし、星籍不明船の拿捕は失敗!」
「座標aポイント1654283付近から火星に突入した!」
「基地(そちら)で対象されたし!」

「了解した。」

この様子はイスカンダルから火星圏までシュヘラザードに同行した、ガミラスのデスラーにも見届けられていた。

だが、今の地球に、この事を知る余地はなかった…。

【デスラー座乗戦艦:デスラーズⅠ(ワン)】

「どうやら成功したようだな。」不敵な笑みを浮かべるデスラー。


ー太陽系・火星ー


「座標ポイントからしてこの辺りだ。」
「用心に超したことはない。」
「慎重に捜索にあたれ。」

「それにしても、今日は砂嵐が酷いな。」
いの一番に降り立ったのは昨年、空間騎兵隊小隊長に任命され、火星基地に配属された古代守が口を開いた。

「古代中尉!あれを!」
同隊に配属され、同行した斎藤が告げて来る。
その斎藤の指先に目を向ける古代。

「…人間…!?」
「に、しても美しいな。」そこに横たわるビスチェやガーターストッキングとレオタードを組み合わせたやや、露出度の高いコスモスに身を包む、歳は20前後の金色の長い髪と透き通るような白い肌の女性を見つめる斎藤。

「惚れるなよ。斎藤。」まじまじと見つめる斎藤を冷やかすように古代守が、云った。

「えっ!"アワアワ"!」
「小隊長。そんな事より、不時着した星籍不明船はまだ、使えそうです。」
斎藤は、誤魔化すように話を切り替えた。

「息はあるようだ。誰か担架を持って来い。」
「それと、基地に報告して医療班を待機させておくよう伝えよ。」

「ラジャー。」

小隊長の守は不時着したシュヘラザードを見上げていた。
「この宇宙船の航行能力があれば…。」見上げながら、そう思う古代守の目には希望に満ちた輝きがあった_。

古代守らが基地へ帰投して四時間後、イスカンダルの宇宙船シュヘラザードは、回収された。


ー太陽系連邦防御軍・火星基地解析・開発研究室ー


「これは凄い代物だ。」
「このエンジンさえあれば……」と目を輝かせながら守の同期で科学技術科に席を置く真田史郎が言った。

「やっぱり、そう思うか!?」

「…ん!?古代。」
「何時からそこに?」

「今さっきだ。」
「俺、不時着したこの宇宙船を見て「ピン!」と来たよ。」

「どうしたんだ?今日は非番か?」

「ああ。そんなところだ。」
「オレな。転属が決まったよ。」そう話はじめた守は、どこか浮かない顔を覗かせていた。

「転属!?」

「ああ。転属だ。太陽系連邦艦隊第二駆逐戦隊に転属が決まった。」

「太陽系連邦艦隊…か。」それを聞いた真田の顔もまた曇らせた。

太陽系連邦艦隊。
第一次、第二次火星沖会戦でガミラス艦隊を退け、勝利した誇り高き太陽系連邦の艦隊であったが、勝利したとは言え、艦隊としては壊滅に近い存在に成り下がっていた。
第二次火星沖会戦で古代や真田の同期で、大山敏郎とドイツ人のファントム・F・ハーロックの二人は消息不明と二人の親友を失ったという思いがある。
その会戦を境に、冥王星宙域から飛来する小隕石「遊星爆弾」を撃ち落とすのとは訳が違う。
圧倒的な科学力の差が歴然で、当時は物量にものを言わせ、しかも辛うじて勝利したに過ぎないのだ。
今は物量にもの言わせるだけの戦力は無く、この時期、艦隊配属は「還らぬ人」を意味していた。
守と真田の二人の顔が曇ったのも、それが頭を過ったからだ。

「遊星爆弾を根源から止めるんだと。」
「上層部(うえ)は、奴らが隕石落とししかやって来ないのは、まともに戦闘艦艇が不足しているからでは?と楽観視しているところがある。」
「土星宙域を占領したのは資源の確保で、占領した冥王星基地で艦艇を建造していると睨んでいる。」
「完成させるのに幾ら科学力が勝っていても三年から四年は掛かるとみている。」
「オレも、その辺りは否定しない。が…。」
「第二次火星沖会戦から既に約四年、経つ。」
「つまり、奴らガミラスは艦隊を整えたと考えるのが妥当だろ!?」

「かも知れんな。」
「遊星爆弾も全てを撃ち落としている訳ではない状況だからな。」
「土星圏を取られてから新造してる艦艇は一隻だけだ。」

「真田。オレは…オレは今度の出撃は陽動だと思っている…。」

「陽動?」

「ああ。陽動だと思っている。」
「噂に過ぎないが、新造してる艦艇は「方舟」じゃないかと思う。」
「地球を脱出する為の方舟だとね。」

「その噂なら俺も耳にしたよ。」
「一部の人間と動植物のD.N.Aだけを積み込み脱出すると。」

「……そうか!」突然、真田は声を大きく何かに納得した様子を見せた。

「確か、この宇宙船は大マゼラン銀河に属する惑星イスカンダルから来たと、古代、お前が助けた女性が言っていたと上層部(うえ)が話してるのを聞いた。」
「古代。陽動も含まれているかも知れんが、護衛じゃないのか。」
「「方舟」の護衛だよ。この宇宙船のエンジンは恒星間航行能力を有している。」
「「方舟」に換装して惑星イスカンダルへ移住、移住後、再び地球へ。」
「その為には占領された冥王星基地を奪還しておく必要がある。」
「そう考えれば、辻褄が合う。」
「時間的にギリギリだがな。」

「しかし、真田。大マゼラン銀河まで、光の速さでも168.000光年も掛かるんだぜ。」
「一年以内に往復なんて夢物語りだろ。」

「ああ。確かに。だが、この宇宙船のエンジンなら光の速さを超える事が可能なんじゃないか。」
「ワープ航法だよ。ハイパードライブって聞いた事あるだろ!?」
真田は目を輝かせ、話に夢中に成った。

「古代。胸を張ってガミラスを叩いて来い。」
「大山やハーロックの仇伐ちだ!」
「俺は新造される艦艇が完成するまでに、このエンジンを量産出来るように解析も同時に行う。」
「資源ある内に量産が可能に成れば、地球人類は助かる!」
「もし、間に合わなくでもイスカンダルの援助があれば助かるだろ。」
「古代。頼むぞ。」

「なんか分からんが元気出て来たよ真田。」

二人は大声で笑った。


【第一次・冥王星会戦】


西暦2198年12月25日ー地球・連邦都市跡地ー

この日、地球に本部を置く太陽系連邦艦隊司令部は、全連邦艦隊所属残存艦艇を集結、フル装備を整え、決戦地:冥王星宙域へ向け、出撃した。

アメリカ、フランス、イギリス、ドイツ、ロシア、中国、インド、オーストラリア、日本を中心としたアース(地球)艦隊、ルーナ(月)基地、マーズ(火星)基地そして、壊滅寸前にジュピター(木星)基地を脱出した艦艇から成る85隻余りの太陽系連邦艦隊。
最後の太陽系連邦艦隊である。
総旗艦をアース(地球)艦隊を指揮するアメリカ:ニュージャージーとし、古代守の配属された第二駆逐戦隊は、沖田十三中将座乗艦:霧島を戦隊指揮艦とし、斬り込み隊長艦を古代守少佐艦:雪風とした。
古代守にあたっては、日本艦艇限らず、艦長職を任せたられる人員の多くが、先の第二次火星沖会戦で失われ、不足していた事もあり、急遽、二階級特進させた。
最後の太陽系連邦艦隊の内訳は、次の通りである。
アース艦隊:45隻・マーズ艦隊:20隻・ルーナ艦隊:15隻・ジュピター艦隊:5隻から成る連合艦隊である。
ジュピター残存艦艇は脱出時には7隻であったが、内二隻は損傷も激しく"地球脱出船"の材料とされた。


ー冥王星沖宙域ー


「シュルツ司令!地球艦隊を捕捉!」
「土星圏資源採掘部隊:監視隊の報告通りの艦隊数85隻です!」

「うむ。通信オペレーター。」
「我が方はガンツの艦隊を出せ。」
「手加減しろ。と伝えよ。」

「手加減するのですか?」

「殲滅するなとの仰せだ。」
「撤退に追い込めば、それでいい。」

「了解であります。」

先制攻撃を仕掛けたのは、太陽系連邦艦隊であった。

「この一戦は大事な一戦である!」
「地球の地球人類の未来の為にも大事な一戦である!」
「必ずや勝利し、明日の未来に繋ぐ!」
「諸君らの健闘に期待する!以上だ!」
艦隊総旗艦アース艦隊ニュージャージー座乗のアーチャ・ミズリー提督が攻撃開始を告げた。
第二駆逐戦隊斬り込み隊長:雪風が突破口を開く為、従える八隻のミサイル駆逐艦を率いり、新型対艦ミサイルの雨を降らす。
イギリス艦艇:宇宙空母アーク・ロイヤルからは、コスモタイガーワン・雷撃隊が42機、発艦した。
第一波攻撃機隊だ。
斬り込み艦隊による対艦ミサイルの弾幕は、航空隊の発艦を援護と二段構えの策でもある。

宇宙空間対応型戦闘機は、宇宙空間を高機動力で自由気ままに飛び回る利点はあるものの、航続距離が短いという不利な点も、持ち合わしている。
その為、武装に乏しい空母タイプの艦艇は、敵本隊との距離を詰めなくてはならない。
だが、敵との距離を詰めれば、それだけ沈む確率も高く、母艦としては役に立たない。
そこで格闘能力がそこそこに高く、脚の速さを武器に出来る駆逐艦による護衛的支援が必要と成る。
ましてや、航続距離の長い小型機を開発する余裕など、今の地球には無のだから。

突破口とも言える応戦するガミラス艦隊前衛に陣を敷く巡洋艦三隻を、轟沈に追い込み勢いを見せる太陽系連邦艦隊は、歓喜に沸いた。
そんな中、第二戦隊指揮艦:霧島に座乗する沖田中将は、こう口を開いた。

「…このガミラス艦隊、おそらく前衛部隊に過ぎないであろう。」
「必ず、奥の手を出して来る。」
「総員、監視を怠るな。」

「了解。」

時折、ノイズが入るメインモニタを分割し下面に映し出される完全に修復、改良され、無傷のガミラス冥王星基地。
司令部と思える建造物は確認出来ない。
歯痒さの中、沖田中将は「第二戦隊・主力戦隊へ!砲雷撃戦よーい!」と命令を下した。

「主力戦隊は横一文字隊形を取れ!」
「艦首:四十六糎衝撃砲!初弾、装填!」
「全艦、座標ポイント入力!」
「艦首、下方へ5度修正!」

「閣下!全艦、初弾装填完了!」

「うむ。」
「全艦、艦首衝撃砲、一斉射撃てぃーッ!!」

第二戦隊主力戦隊全10隻による艦首衝撃砲が、一斉に火を吹く。
螺旋を描き光弾はプラズマ波を纏い、真一文字に突き進む。
沖田中将の狙いは艦隊ではなく、射程ギリギリの冥王星ガミラス基地であった。
二本の長く伸びた滑走路と管制施設が、目標であった。
着弾と同時に衝撃砲光弾は滑走路のアスファルトをえぐり、大地をむき出しにした。
また、管制施設は三分の二を蒸発させた。

「全艦、艦首を戻ーせ!」
「機関、逆進いっぱい!」
反撃を予測しての後退であったが、戦果に気を良くしたアーチャ・ミズリー提督は「後退するな!前進し、基地壊滅を!」と打診して来たのだ。

「閣下!総司令より、打診!」
「前進し、基地壊滅を!」であります。」

「バカな…。探りを入れたに過ぎん攻撃だぞ。」と心に思う沖田中将。

その時であった。
予測外からの光弾に、まるで奇襲攻撃されたかのように襲われたのである。

「主力六番艦!轟沈ッ!!」

「なっ!何ッ!?」

「レーダー士!今のは何処からだ!」

「はっ、ハイ!それが零時の方向です!」

「…真上か!?」
「真上に艦影は?」

「あ…ありません……。」

「…ん!?」
「…今度はまっ…真下からです!」

「…艦長!艦隊を散開させよ!」

「了解ッ!」

目まぐるしくブリッジ内には状況報告と指示、命令が飛び交っていた_。



「少し、手加減し過ぎたようだ!」
「反射衛星砲、次弾装填!」
不機嫌そうにシュルツが命じた。


【壊滅の太陽系連邦防御艦隊】


「沖田中将!」
「岩々の間からビーム砲台、多数出現!!」
「奴ら!あんな所に兵器を!」

「…ん!?あのビーム砲台とは別の方角ら先ほどの高出力エネルギー光弾!!」
「4時の方向からです!」
「相変わらず艦影や機影は確認出来ません!」

「イギリス艦艇、航空母艦アークロイヤルに直撃したもよう!!
「火柱と黒煙を噴き上げ急降下して行きます!」
「エンジンにダメージと思われます!」

「ミサイル駆逐艦:不知火に救助に向かわせろ!」

「了解ッ!!」

第二駆逐戦隊指揮艦霧島に座乗する沖田の的確な指示、命令が飛び交う中、全艦艇に衝撃が走る。

それは、総旗艦アメリカ艦艇ニュージャージー轟沈の報告であった。
その報告から僅か五分、地球太陽系連邦艦隊の各艦隊、部隊は"うろたえる"だけで、ガミラス艦隊及びビーム砲台の格好の餌食に成っていた。
だが、不思議な事に七十隻以上が沈んだところで、ガミラスの砲撃は「ピタリ」と止んだ。
この時、事実上、地球太陽系連邦艦隊は壊滅した_。

「山南艦長。現時点で太陽系連邦艦隊は何隻残っている?」

「ハッ。現時点で十五隻です。」

「うむ。」
「副司令のルーズト閣下は何と?」

「ハッ。現状を維持せよ。追ってすぐに指示を出す。との事です。」

「更に高出力エネルギー弾による味方艦、爆沈!!」

沖田中将座乗艦:霧島の艦長山南との会話の合間にも、味方艦艇、爆沈、大破、轟沈の報告が飛び交っていた。
沖田中将が確認を取る度に艦隊残存数は、時計の秒針のように、一刻、一刻、と時が加算されていく代わりに、艦艇の数は、減って行った。
第一波攻撃を仕掛けた航空隊の未帰還を除き、12機の雷撃隊は第二波攻撃隊としてアメリカ艦艇:空母エンタープライズから出撃した48機の雷撃機隊と共に、戦果を上げる事なく、漆黒の宇宙(そら)に散った。

「右舷艦尾に被弾!!」
「シアンガス発生!第六区隔壁閉鎖ッ!」

「ルーズト提督の艦(ふね)ウィスコンシン反転!」
突如、反転する副司令ルーズト提督の戦艦ウィスコンシン。
そのルーズト提督は自分の撤退後、「各個に撤退に入れ。」と命令を下した。
この命令を聞いた沖田は、即座に所属部隊、群隊関係無く残存艦艇に撤退を呼び掛けた。
沖田は思う。
「これが、太陽系連邦艦隊総司令だとはな……。」

「沖田閣下!自分は撤退の支援に移行します!」

「山南艦長。今のは誰か?」

「ハッ。第二駆逐戦隊斬り込み隊長古代少佐です。」

「支援は要らぬと伝えよ。」

「了解。」

「閣下!古代の艦(ふね)加速、隊列より、離脱!」

「何ッ!」
「通信士!古代の艦(ふね)に繋げ!儂が直接話す!」

「了解。回線、繋ぎます。」

「貴艦も貴重な戦力である。明日の地球を地球人類を守る為にも、撤退に専念せよ。」

「沖田閣下。命令違反をお許しください。」
回線はそこで途絶した。
止んでいたガミラス側の砲撃が再開されたのだ。
古代の座乗するミサイル駆逐艦:雪風だけに砲口は向けらた。


ーイスカンダル王都イスク・サン・アリアー


女王の間(ま)に設置されたモニタ。
そのモニタにはガミラス側に設置した監視カメラから捉えた映像が、映し出されていた。

「それにしても、見事なくらい汚染させたものだな。」
「好きに使えとは言ったが、これほどまでに汚染させるとわな。」
スターシャは呆れ顔を覗かせ、呟くように口を開いた。

汚染された大気と荒れ果てた大地に、根を張る毒素を放出する不気味な花を咲かせる適性植物までもが、栽培されていた。

そう。デスラーはわざと地球侵攻に時間を掛けていたのだ。
約四年もの時間を使い、実験を繰り返していたのだ。

地球を地球人類を使って_。

己が宇宙の支配者と成る為の準備をしていたのだ。
いや、今現在も準備していると言った方が、正解である。
自身の主スターシャの忠誠を誓うフリをしてまで_。


【その名は宇宙戦艦ヤマト】


大気汚染の状況から、どの科学者や研究者の意見も、地球人類がこのまま生きてゆける時間は、一年間以内との見解を示していた_。

「藤堂長官。もう、ここまで来たら、あのイスカンダルの女性サーシャさんを信じ、彼女をイスカンダルへ送り届ける。これが最善だと、儂は思う。」
「未だに"ワープ航法"の研究はされてはいるが、それを実現した事はない。」
「だが、彼女サーシャさんの乗って来た宇宙船はそれが可能で、我々は彼女を送り届けるという約束で、彼女の宇宙船のエンジンを譲り受けた。」
「だからこそ、儂はコレ(ヤマト)に賭けてみたいのだ。」
「いや、賭けてるしかないと思う。」
「彼女の話では、地球を再生する事が可能なものが、イスカンダルには存在するとも言っている。」
「ならば、儂は、尚更の事…」

「沖田中将。話の腰を折るようで申し訳ありませんが、」そう切り出したのは、技術将校の真田であった。
真田は、完成しただけで、何一つテストもしていない事を理由に、最低でも、あと一ヶ月はイスカンダル行きを待つべきだ。と主張した。

「私も沖田提督。真田少佐の意見に賛成だ。」
「せめて、まだ人類が成し遂げた事のない"ワープ航法"だけでも、テストするべきだ。」
「イスカンダル行きはそれかでも、ギリギリだが間に合うと思うが。」

「長官。それと真田少佐。お二人のご心配に成る事は、十二分に承知している。」
「だが、テストは航海しながらでも可能だと儂は思う。」

「提督。万が一の時、どうなさるおつもりですか?」
「サーシャさんから提供された今の地球では造り出す事が出来ない"波動エンジン"を失うのです。」
「無論、テストが100パーセント成功するとは言えませんが。」

「ならば、テスト初日に波動エンジンを失う可能性も、否定出来ないという事でもある訳だ。」
「航海しながらのテストと変わらんと、儂は解釈出来るが。」

そんな真田と沖田のやり取りに、オブザーバーではあるが、波動エンジンを提供したサーシャが、意見を述べた。

「サナダ。ワタシが提供した波動エンジンはワープに失敗した記録がナイ。」
「サナダは、自分が設計したヤマトに自信ヲ持てない!?」

「自信が無い訳ではない。ただ、」

「もういいわ。ワタシに波動エンジンを返すか。ヤマトで航海にデルか。トウドウさん。決めてクダサイ。」

「…サーシャさん。」
「真田君、ここは一つ、ヤマトを預ける沖田提督に協力をして欲しい。」
「一日も早く、イスカンダルへの航海は私も望んでいる。」

「……解りました。」

「サーシャさん。ご協力に感謝致します。」
「ですが、あと2日、ヤマトの抜錨は2日後という事で、どうだろうか。」
「最終準備の時間に2日必要なのだ。」

「ワカリマシタ。あと2日待ちます。」

「沖田提督も了承して貰えるかな?」

「分かりました。」

こうして、宇宙戦艦ヤマトは2日後、年明けの西暦2199年1月1日に抜錨する事に成った。
藤堂が2日後にしたのには、訳がある。
即戦力として投入出来る帰還した残存艦艇を護衛にと考えたからだ。
その艦艇の準備に2日必要なのだ。
護衛艦艇としては、ミサイル駆逐艦六隻と高速巡洋艦二隻の計八隻を護衛として、火星軌道まで随行させるとした。


ー西暦2199年1月1日ー


この日、華々しいパレードも、見送る家族もなく選抜されたクルーたちは乗艦を済ませ、抜錨のときを待った。

だが、先の冥王星沖会戦で基地の一部を破壊されたシュルツは、怒りの矛先を地球へ向けた。
新開発された惑星間弾道ミサイルを報復として、地球へ射ち放っていた。

「沖田艦長。ガミラスの超大型ミサイルを偵察衛星がキャッチした。」
「おそらく奴らの報復だろうとの見方が強い。」
「抜錨を急いでくれ。」
「此方では火星軌道までの護衛にと、八隻の艦艇を出撃させたが、衝撃砲搭載艦艇は無い。」
「超大型ミサイルを破壊出来るかは不透明な状況下だ。」

「了承しました。」
「直ちに抜錨に入ります。」
映像通信を終えた沖田はレクチャーを中断し、宇宙戦艦ヤマトを抜錨させた。

「徳川機関長。エンジン始動だ。」

「島航海長。船体を起こせ。」

「古代戦術長。第一から第三主砲の射撃準備を急がせろ。」

「了解。」

艦長に就任した沖田の命令が下され、艦内は慌ただしく動きはじめた。
機関区では補助エンジン始動マニュアルを手に手順を追うクルーたち。
第一主砲塔、第二主砲塔、第三主砲塔内では、初弾発射準備に入った。
陽電子エネルギーと波動エンジン内で精製される波動エネルギーが融合して、初めて"ショックカノン"として撃つ事が出来る。
だが、まだ補助エンジンに火が入ったばかり、波動エンジン始動までは、もう少し待たねば成らない。

「陽電子エネルギー!波動エンジンへ注入開始!」
「エネルギー充填12パーセント!更に上昇!」
「補助エンジン、回転数6.200から8.000へ!」
「波動エンジン内、エネルギー充填40パーセント!」
「補助エンジン回転数8.000から12.000へ!」
補助エンジンに火が入ってから二分が経過した。

太陽系連邦艦隊高速巡洋艦プリンツ・オイゲン
※宇宙戦艦ヤマト護衛艦隊旗艦

「射線上に超大型ミサイルを捉えた!」
「護衛艦隊全艦に告ぐ!目標を捉えた!一斉射撃準備!」

「二番艦、準備よし!」

「三番艦、準備よし!」

「・・・七番艦準備よし!」

「司令!全艦、射撃準備完了!」

「うむ。」
「全艦!一斉射撃てぃーーーッ!!」

「…3.2.1初弾全弾及び対艦ミサイル、着弾!!」

「……目標の超大型ミサイル、健在!」

「……18本の対艦ミサイルとプラズマ粒子圧縮ビーム弾10発がまるで効かない…だと。」
「…全艦!超大型ミサイルとの距離を詰めろ!至近距離が撃ち込む!」
「全艦!二射目準備ッ!!」

「司令!超大型ミサイル加速!」
「砲撃、間に合いません!」
「目標の超大型ミサイル大気圏に突入した!」

「くっ!ヤマトに連絡を!」



「波動エンジン内、エネルギー充填112パーセント!」
「波動エンジン始動まで、あと20秒!」

「…波動エンジン内、エネルギー充填120パーセント!」
「波動コアの起動を確認!」

「うむ。」
「波動エンジン始動!!」

「艦長!護衛艦隊旗艦プリンツ・オイゲンより、入電!」
「我、超大型ミサイルの破壊に失敗。ヤマトの健闘を祈る。」

「古代!ショックカノン撃ち方よーい!」
「目標!落下して来る超大型ミサイル!」

「目標!射線上に乗った!」
「全主砲、一斉射射撃=ショックカノンてぃーーーッ!!」

ヤマトは間一髪のところで惑星間弾道ミサイル=超大型ミサイルを撃破する事に成功した。

「これが…これがショックカノンの威力なのか…。」
呟くように古代は言った。

「そうだ。これがヤマトだ宇宙戦艦ヤマトだ。」
「イスカンダルから技術供与された事で、今までの宇宙戦艦とは桁違いの艦(ふね)それが、宇宙戦艦ヤマトだ。」

宇宙戦艦ヤマトは抜錨した_。
人類滅亡まで、あと360日。


【沖田の決意】


人類滅亡まで、あと360日を残し、地球を抜錨したヤマトは、月軌道に入ったところで、先に護衛として出撃した八隻の艦艇に別れを告げ、テストを兼ねワープを行った。

「艦長。護衛艦隊司令と通信回線、繋がります。」
通信長を勤める相原が告げた。

「うむ。」

「司令。ヤマト艦長沖田です。」
「ヤマトは、これよりワープに入ります。貴官らは地球へ戻られたし。」
「明日の地球を地球人類を頼みます。」

「了解した。護衛艦隊司令ゲルハルト。」

「ヤマト艦内、艦外異常なし。」
「波動エンジン異常なし。」
「ワープ30秒前。」
ヤマト航海長島によるカウントダウンが、開始された。

「…10.9.8.7.6.5.4.3.2.1.ワープ!」

「……ワープアウト!」
「ヤマト艦内、外に異常なし!」
「現在、土星衛星タイタン軌道上!」

「ワープは成功!」

航海長島の報告に続いて解析・技術長の真田による「ワープ成功。」の報告に第一艦橋のクルーをはじめ、艦内では歓喜に沸いた。

歓喜に沸いている中、沖田の命令が飛んだ。
「島航海長。進路を冥王星へ。」

「了解。進路、冥王星…。」
「艦長。冥王星へ向かうと大きく最短航路から外れる事に成りますが。」
復唱の途中で島は沖田に尋ねた。

「ああ。そうだ。」
「だが、たとえ貴重な時間をロスしたとしても、占領された冥王星をこのままにしておく事は、地球に残る者たちに不安を増大させる事に繋がる。」
「儂はこの不安を軽減させたいと思う。」

「ワープを重ねれば、ロスした時間は取り戻せると思うが。どうかね?真田少佐。」

「ハッ。ロスする時間にもよりますが理論上、取り戻せるまたは、かなり取り戻せる事は、間違いありません。」

「了解。進路、冥王星へ転進。」

「古代戦術長。中央作戦室へ来てくれ。」
「冥王星解放の策を練る。」

「了解。」



「ふ~ん。ガミラスの基地、叩くんだ。」
「まぁ。いいか。まだまだハンデ与えておかないと、つまらないからね。」
「のんびり見学させて貰うわ。」
盗み聞きしていたサーシャは独り言のように呟いた。

だが、ヤマトは思わぬ出来事に遭遇してしまう。
ワープは成功を納めたのだが、波動エンジンから艦(ふね)全体にエネルギーを供給する縦横無尽に張り巡らされたエネルギー供給パイプの内、機関区内の供給パイプに不具合が発生、供給用エネルギーが波動エンジンに逆流、波動エンジンをパンク=破裂させる恐れが出始めたのだ。

第一艦橋から緊急報告を受けた機関長徳川は、機関区へ急行した。

駆けつけた徳川機関長も、整備マニュアルを片手に作業にあたるが、原因を突き止め、修理する事が困難に成っていた。
そこで、開発者でもある真田少佐を呼んだ。
十分後、真田は原因を突き止めた。
「…なんとか逆流を今は食い止めたが、あくまでも応急に過ぎない。」
「コスモナイト鉱石が必要だ。」
「加工して修復を終わらせなければ、次に同じ症状が出た時は、波動エンジンが吹き飛ぶ。」
「何処かでコスモナイト鉱石を補給しなくては。」

「真田から艦橋へ。」
「此方、機関区にて波動エンジンの修理をしている真田だ。」
「コスモナイト鉱石を採取出来る場所へ、赴いて貰いたい。」
「今は、応急で対応しているが、このままでは、波動エンジンが吹き飛んでしまう。」

「此方、艦橋。航海長の島だ。」
「現在、艦長は戦術長と中央作戦室におられる。」

「真田。了解した。」

真田は艦内通信を通じて、艦長に報告、許可が出た事で、宇宙戦艦ヤマトは地球連邦政府管理タイタン鉱山基地へ変進した。

「右69度、変進。進路タイタン鉱山基地。」

航海長島は右手で端末機を叩き、コースを入力し、左手で舵を切った。

だが、土星の環に身を潜め、地球艦隊等の動きを監視していた土星圏資源採掘部隊:監視隊所属偵察機に、ヤマトは補足されたのだ。
光学迷彩に機体をコーティングしたガミラス偵察機"スマルヒ"は、スーパーステルス機並みの空間同化していた事で、ヤマトのメインレーダーに捕捉されずに、ヤマトの動向を監視する事が出来たのだ。

「シュルツ司令。」
「土星圏資源採掘部隊:監視隊偵察機"スマルヒ"より、暗号入電!」

「ワレ、地球所属宇宙戦艦を捕捉。」
「我がタイタン基地へ向かっている。との事です。」
「返信、なさいますか?」

「ん!?地球の宇宙戦艦だと?」

「はい。」

「暗号通信には規模などは含まれて無いのか?」

「ハッ。ありません。」

「うむ。」
「返信は、この内容で送れ。」

すぐに暗号通信の返信が、送られて来た。
「新型宇宙戦艦=超弩級クラス一隻。です。」

「超弩級クラス…。」
「オペレーター。偵察機には引き続き超弩級クラスを監視せよと伝えよ。」

「ガンツ。二隻のデストロイヤー級を土星圏資源採掘基地へ派遣せよ。」

「了解であります!」


【タイタンの墓標】


土星衛星タイタンへ進路を変えた宇宙戦艦ヤマトは、ガミラスに占領されているかも知れないと、無人偵察機=ゴーストを射出した。

20分後、無人偵察機=ゴーストから調査データが送られて来る。
時折、ノイズが混ざるものの、映像は感動良好レベルで確認する事が出来た。
鉱山基地に生態反応は無く、施設も無人に成ってから、からなりの年月が経つ事から、所々が朽ち果ているようだった。

「どうやら映像を観る限り、ガミラスに占領されては無さそうですね。」
いの一番に口を開いたのは、戦術長古代だった。

「そのようだな。」
「古代。戦術科からあと二名を選出、それとアナライザーを連れ、コスモナイト鉱石の採取にあたれ。」
「真田少佐。君も同行を頼む。」

「了解。」



古代戦術長を班長としたコスモナイト鉱石採掘班に同行した真田が、タイタンの大地に降りる途中で、キ8宙艇内でパイロットを兼任する古代に話掛けた。

「古代戦術長。少し、話せますか?」

「はい。なんでしょう?真田少佐。」
インカムを通し、古代は返事を返した。

「私の同期に空間騎兵隊出身の駆逐艦艦長に、君と同じ名字の男がいるんだが、君とは関係無いよね!?」

「……真田少佐。その駆逐艦の艦長、古代守と言う名ですか?」
「もし、そうなら古代守は自分の兄です。」

「…まさかと思ったが、やはり守の弟だったか!」
「ヤマト乗艦に選抜された時、名簿を見て、「もしや!」と思ったが、まさかだったとは…。」

「真田少佐と兄が同期だったなんて…これも"何かの縁"というものですかね。」

「……そうか。」
「君の兄、守は立派な最後を向かえたと聞いている。」
「地球が地球人類が今も、こうして希望だけを頼りに、生きてゆけるのは古代戦術長。君の兄、守のお陰だと言っても過言ではない。」

「真田少佐。兄を買いかぶり過ぎです。」
「兄は、生きて帰る事が可能なのに、それをしなかった…」

「……。」

「それより、真田少佐。無人偵察機=ゴーストが、何やら物体を捉えたみたいです。」

「……これは…これは人!?と戦車!?」
「ノイズが酷。」

「妙だな。ゴーストからの情報では、生態反応は無かったはず…。」
「戦術長。警戒した方が良さそうだな。」

「自分も、そう思います。」

そんな中、タイタンの大地に降り立つキ8宙艇。
だが、古代たちの嫌な予感は的中してしまう。
ノイズ混じりではあるが、ゴーストの捉えた"人"と"戦車"は、待機状態のガミラス兵と多脚戦車であった。
ゴーストと古代らが搭乗しているキ8宙艇が、センサーに反応した事で、スリープモードから待機状態にモードが切り替わったのだ。
青い肌のガミラス兵の眼が紅く光が灯る。
その様子は、高度10.000メートル上空で偵察行動中のスマルヒの映像中継により、冥王星ガミラス基地のシュルツの元に届いていた。

「やはり、デストロイヤーを派遣して正解だな。」
「あとは地上に降りた奴らと超弩級の宇宙戦艦の能力の収集だけだな。」
「じっくりと見物させて貰うとするか。」



「真田少佐!無人偵察機=ゴーストが戦闘に入ったようです!」
「それと、先ほど捕捉した多脚戦車が此方に向かっています!」

「うむ。」

「古代戦術長と戦術科の二人で、多脚戦車の方を任せる。」
「私はアナライザーと、最低でも波動エンジンとエネルギー供給パイプの修復に必要なコスモナイト鉱石を採掘する。」

「了解!」

多脚戦車とゴーストが対戦する中、三体のガミラス・アンドロイド兵と対戦する古代ら三名。
青白いパルス状の光弾と蛍光ピンクの光弾が、氷岩を挟んで飛び交う。

「古代班長!ゴーストが無人偵察機=ゴーストが墜とされた!」

「くっ!」

ゴーストが墜ちた事で、多脚戦車の砲撃が加わり、古代らは窮地に追い込まれていた。
だが、同行した戦術科航空隊所属の椎名晶が、キ8宙艇に向かって走り出した。

「…ん!?」
「椎名少尉!何処へ!」

「すみません!キ8を飛ばします!」

「オッ!その手があったか!」
「揚羽!椎名を援護しろ!」
古代はもう一人の同行者で椎名と同じ戦術科航空隊所属の揚羽武に椎名の援護を命じた。

「了解!」

多脚戦車の砲撃が、激しさを増し、ガミラス・アンドロイド兵らは間合いを詰めて来る。
だが、椎名の機転により、キ8宙艇による空爆で多脚戦車の破壊に成功、さらに機銃掃射でガミラス・アンドロイド兵を倒した。

「…コイツら、ガミラス兵は人間じゃない。」
機銃掃射で倒したガミラス兵を確認する為、近づい古代は、胸、頭部から火花を散らす姿に驚きを隠せずにいた。

「揚羽。椎名に降りて来るよう伝えろ。」

無線を聞いた椎名はすぐに降りた。
キ8宙艇に駆け寄る古代。
キャノピーが開くとすぐに無線機をとり、ヤマトに報告を入れた。
丁度、最低量の採掘を終えた真田とアナライザーも、戻って来た。

「此方、採掘班班長の古代。ヤマト聞こえるか?」

「此方、ヤマトの相原。古代戦術長。何か?」

「採掘基地はガミラスに占領されていましたが、全て排除。」
「ですが、ガミラス兵は人間ではなくアンドロイドでした。」
「生態反応が無かったのも、その為だと思われます。」
「また、現在、最低量のコスモナイト鉱石は採取完了。」
「報告を……。」

「すまん戦術長。艦長に報告がまだある。」
報告を終わらせ、無線を切ろうとした古代に待ったを掛ける真田。

「もう一つ報告があります。」
「太陽系連邦艦隊所属ミサイル駆逐艦の残骸を発見!」
「生存者は無し!遺体も…遺体も確認出来ず。」
「艦名は雪風。」

そばに居た古代も、無線の先の沖田も、言葉を失っていた_。

その後、ガミラスの排除が確認出来た事で、予定量よりコスモナイト鉱石を採掘、ヤマトに積み込んだ。

一時間後、宇宙戦艦ヤマトは進路を冥王星に向けた_。

人類滅亡まで、あと357日。


【冥王星奪還作戦】


ーヤマト中央作戦室ー


空間立体モニタに映し出された、先の会戦時に霧島で撮影された映像と戦闘データから作られたガミラスに占領された冥王星基地データ。

「あと、三時間で冥王星に到達する。」
「そこで、艦橋組を中心に、作戦を伝える事にした。」
「土星衛星タイタンに立ち寄る前に、古代戦術長と話をしたのだが、波動砲の試射を兼ねガミラス冥王星基地を叩く事にした。」
「先ず、ガミラス艦隊に対し、試射をここで行う。」
「この一撃でガミラス艦隊を殲滅させ、航空隊による、空爆を敢行、基地を壊滅させた後、ワープを行う。」
「短期決戦で挑まなくては成らない。以上だ。」
「質問はあるかね?」

「はい。」
真田が質問した。

「ガミラス艦隊の規模をどの程度とお考えですか?」
「波動砲の設計者として、申し上げますが、波動砲の使用前と使用中には陽電子兵器は使用不可能です。」
「また、波動砲は艦首方向にしか発射は出来ず、艦隊を凪ぎ払うにしても、波動砲の射線上の艦艇しか凪ぎ払う事が出来ません。」

「うむ。ガミラス艦隊の規模は先の会戦の残存艦艇による艦隊規模と推測している。」
「およそ30隻前後と推測している。」
「そして、その艦隊は冥王星上空に陣を敷く。」

「仮に冥王星上空に陣を敷いていたとして、セオリーから、おそらく基地に対して平行に隊列を組んで来ると思われますが、このままの進路で冥王星突入した場合、艦隊正面に陣を敷く数隻と波動砲発射時に発生する衝撃波で誘爆させたしても、十隻がいいところでしょう。」
「半数近い艦艇を相手にヤマト一艦ではとても…。」
「波動エネルギーが回復するまで十分必要です。」
「それまで、魚雷やミサイルだけで凌がなくては成りません。とても持ちこたえられるとは、自分には思えません。」

「それなら心配は要らん。ガミラスが陣を敷くであろう正面からは航空隊による陽動を行う。」
「そして、ヤマトは艦隊の真横から攻める。」
「マニュアルの上での予測計算だが、30隻を殲滅しても、お釣りが来る計算結果が出ている。」
「儂は十二分にヤマト一隻で、航空隊の戦力を合わせれば、ガミラス冥王星基地の壊滅は可能と考えている。」

「他に質問は?」

「ありません。」

「うむ。」
「では、シミュレーションを観て、作戦を頭に入れておけ。以上だ。」



「ヤマト…ヤマトか。」
「確かに図体だけは超弩級だな。我らガミラス最新鋭艦ハイゼラード級に匹敵する大きさだ。」
「だが、たった一隻で何が出来る?」
「たかだか多脚戦車とガミロイド兵三体を倒し、タイタンの鉱山基地を奪還したくらいで、はしゃいでいるのか?」
「今の内にはしゃいでおけ。すぐにデストロイヤー級二隻とランデブー、跪く。」



「アレだな。ヤマト。」
「歓迎の祝砲を受けとれ!」
「一番、二番主砲、発射ッ!!」

全光弾がヤマトに直撃したかに見えた。
だが、ヤマトはガミラス・デストロイヤー級を捕捉と同時に、弾頭をショックフィールド(電磁プラズマ波)に切り替えた亜空間魚雷を発射、ヤマト周辺で裂く弾、バリアを張り巡らせていたのだ。
デストロイヤー級の撃ち放った陽電子ビーム光弾を弾いていた。
着弾した場所には、青白く電磁プラズマ波が、空間に浮かびあがっていた。
戦術長古代の戦術長としての芽は、ようやく芽吹きはじめたというところだと、沖田は思う。

古代は間髪入れずに主砲、斉射、ガミラス・デストロイヤー級二隻を瞬時に撃破した。

「古代。よくやった。」
「まもなく、冥王星宙域だ。」

「了解。」

「ヤマト航空隊コスモタイガー隊は、全機、発艦準備!」
「第一波、攻撃隊は加藤の指揮に従え。」
「第二波、攻撃隊は山本の指揮に従え。」
「椎名少尉は第一格納庫へ。コスモゼロ・イェーガーに搭乗し、待機せよ。」

戦術長古代の指示にバタバタと慌ただしく航空隊控え室内は、ごった返していた。

【宇宙戦艦ヤマト航空隊隊長:加藤三郎】

宇宙戦艦ヤマト航空隊隊隊長。

直属の上官である戦術長の古代進に並ぶ熱血漢として、彼の性格を最もよく理解するクルーの1人であり、古代とは同期で、階級も同じだったが、「棚ぼた」的、特進に時々、皮肉を言う事も、また対等以上の口をきくこともある。
そういった性格や口調のほか、角刈りにまとめた頭髪に細眉が特徴。
階級は中尉。

【宇宙戦艦ヤマト航空隊副隊長:山本明】

ヤマトが月軌道でワープテストの準備中、ガミラスの高速空母より発進した艦載機を迎撃するべく※コスモタイガーⅠ(ブラックタイガー・チーム機)にて出撃し、交戦中に被弾する。
ワープテスト開始時刻が迫る中、自らの帰還よりテスト決行の優先を進言するが、※戦術長の古代進による着艦指揮のおかげで決行寸前に間に合う。
※また、太陽系連邦月面基地航空隊にて、ガミラス偵察機を迎撃する際に斉藤始に殴り飛ばされて機体を奪われ、彼の帰還後には殴り返して一触即発の状態になりかけた事がある。
コスモタイガー隊(ブラック・シャークチーム)隊長に就き、新たに部下となった坂本茂や椎名晶を指導している。
愛機機首部にシャークマウスのマーキングを施している。それに因んでチーム名をつけた。
階級は中尉。

【椎名晶:宇宙戦艦ヤマト航空隊(コスモ零・イェーガー)パイロット】

※コスモタイガー(ブラック・シャークチーム)の女性パイロット。
坂本茂と同期。
冷静沈着な性格で、お調子者な彼の突っ込み役でもある。
訓練学校では北野と同じように複数の学科を受けており、非常に多才。
元々はレーダー手志望だったが、※ガミラスの襲撃攻撃からコスモタイガー隊に助けられ、それがきっかけでパイロットに転属したという過去を持つ。
※今回、土星衛星タイタンでの機転の利かせ方や行動力を高く評価した古代が、副パイロットだった椎名を本作戦に起用。古代の予備機コスモゼローアルファⅡを貸与、航空隊のバックアップにあたらせた。
コスモ零(ゼロ)イェーガー(狙撃兵)のパイロットと成る。
階級は少尉。



「航海長。第二戦速から第一戦速へ。」

「戦術長。砲雷撃戦よーい。」

「船務長不在の為、通信長はメインレーダー席へ移動せよ。」
「レーダー及び通信を兼任せよ。」

「機関長は機関区の指揮を。」

「佐渡艦医は衛生士の指揮を。」

「真田技術長。波動砲制御室にて指揮を。」

沖田艦長による一斉に命令が下された。
ヤマト艦内全体に緊張が走る。

「冥王星まで、距離10万キロ!」

「ヤマト航空隊コスモタイガー隊は全機発艦せよ!」
「敵艦隊正面より攻撃を仕掛けよ!」
「続いて、コスモ零・イェーガー、射出スタンバイ!」

「射出カタパルトアンカー固定!」
「エンジンパワー、安定に入った。」

「陽電子粒子レーザー、射撃レーダーリンク開始。」
「戦術長。狙撃、何時でもOKてす。」

「此方、戦術長。了解。」

「艦長。航空隊全機発艦完了。及びイェーガー準備完了。」

「うむ。」
「戦術長。波動砲発射準備!」
「航空隊、第一波陽動攻撃後、撃て。」

「戦術長。了解。」

「戦術長!冥王星上空にガミラス艦隊!」
「艦艇総数:42艦種識別に入ります!」
「続いて、航空隊ガミラス艦隊と接触!交戦に突入!」

「島!左舷補助エンジン、後進三分の二!」
「右舷補助エンジン、全速前進!」
「ヤマトをスライドさせろ!」

「椎名!ガミラス艦隊、最左翼を狙え撃てッ!!」

「ヤマト!ガミラス艦隊最右翼と重なります!」
「艦首固定!両舷スラスター噴射!」
「重力アンカー展開!」

「波動砲薬室内、波動エネルギー充填92パーセント!」
「強制注入機作動!」
「波動砲、発射20秒前!」
「航空隊はガミラス艦隊より離脱、ヤマト上空に待機!」

「波動砲、セーフティロック解除!」
「波動砲薬室内、波動エネルギー充填120パーセント!」
「全艦、対閃光、対ショックに備えよ!」
「波動砲発射、10:秒前!」
「ターゲットスコープ、オープン!」
「…7.6.5.4.3.2.1.波動砲発射ーーーッ!!」




「ヤマト!我がガミラス星艦隊、最右翼に捕捉!」
「あっ!?いえ、待って下さい!」

「……これは………これは超高出力エネルギーを検知!!」
「この数値は…この数値は見たことがありません!!」

「一条の超高出力エネルギー!射線上の艦艇を凪ぎ払い、尚も威力を保ち突き進みます!」


後編へ
つづく。

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