鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

滅びの惑星(ほし)オルタリアー宇宙戦艦ヤマト2199外伝ー

2018-09-15 04:14:43 | 宇宙戦艦ヤマト2199外伝


滅びの惑星(ほし)オルタリア
ー宇宙戦艦ヤマト2199外伝ー


西暦2199年8月


宇宙戦艦ヤマトがイスカンダル星を出発して3日が過ぎ、サレザー太陽系と別れを告げた。
そのヤマト艦内で起こった1つの些細な喧嘩が、思いもよらない事件を引き起こしてしまう。



「もういいよ。」

「星名は鈍いんだよ!」

宇宙戦艦ヤマト船務科所属で第一レーダー士:森 雪の交代要員の岬 百合亜:准尉は、戦死したヤマト保安科隊長:伊東 真也(二尉)の後任を任された星名と恋人である。
その星名は岬 百合亜と口論となり、百合亜は一人、ヤマト第三格納庫へ向かった。

「何よ!意気地無し!」

「百合亜を追って来てくれるかと思ったのに……」

「星名のバカ……」

百合亜はそう心の中で呟いた。

ヤマト第三格納庫。
そこには現在、二機の百式空間偵察機のみが、整備され格納されている。





「右舷第三格納庫ハッチ開いています!!」

第一レーダー士:森 雪の慌ただしい声が第一艦橋内に響き渡る。

「百式空間偵察機、一機、発艦!!」

「何ッ!!」

「だれが乗っている?」

森 雪の声に直ぐさま反応を示す古代。
本来、艦長不在時は副長である真田が指揮を取るのだが、技術長を兼任する為、イスカンダルから受領した《コスモ.リバース・システム》の起動プログラムのテストを技術科のメンバーたちと行っていた為、戦術長である古代にヤマト(ふね)の指揮を任せていた。

ヤマト第三格納庫:整備室に問い合わせる古代。
そこから返ってくる以外な言葉。
「船務科の岬 百合亜」と「アナライザー」が『亜空間ゲート』調査の為との理由で発艦したとの事であった。

勿論、岬は、そんな命令を受けてはいないし、古代もまた、命令は出していなかった。
岬 百合亜の、一時的な感情の爆発的行動である。
懲罰を覚悟で岬は、星名に自分を連れ戻してほしかったのだ。

「ミサキさん。ソロソロ戻られた方が、ヨロシイかと。」

「……アナライザー。ヤマトから追いかけて来る航空機とかは感知してないの?」

「ハイ。今のトコロ。」

「ン!?」

「イヤ!待ってクダサイ!」

「微弱ナガラ、救難シグナルをキャッチ!」

「救難シグナル?」

「でもアナライザー、レーダーには何も映ってないよ!」

「ハイ。空間デハアリマセン。」

「あの惑星カラ発せられてマス。」

アナライザーが検知した、救難シグナルを追って、惑星オルタリアを目指す百合亜たち。



《惑星オルタリア》

大小マゼラン銀河内に存在すると推測される。
青い海や雪山、森林を有しており、その外観は地球に似ている。
ガミラスに併合された惑星で、表面上は自治権を認められていたが、他星からの移民が多く行われており、実態はガミラス人の総督が統治する植民地のような状態となっている。
原住民族が反乱を起こすが、その後ギムレー率いる親衛艦隊によって、惑星間弾道弾を多数投下され、さらに加えて数十隻のポルメリア級航宙母艦のレーザー攻撃と、メランカによる爆撃を見舞われ、惑星全体が焼き尽くされた。

《オルタリア人》

オレンジ色の肌で、顔にペイントが入っている。
平野部に住む一般市民や山岳地帯に住む民族などが存在する。
ヤマト問題の露見に伴って一般市民の民族主義者が蜂起し、首都を制圧することに成功するが、親衛航宙艦隊によって反乱に加担しなかった非民族主義者や他星からの移民者もろとも殲滅された。



「見たところ文明は既に滅んでしまったみたいね。」

「アナライザー。本当にこの惑星(ほし)なの?」

「間違いアリマセン。この惑星デス。」

百合亜たちの眼下には焼け野原が何処までも続き、時折、都市を発見するも、やはり廃墟化しており、人一人、見かける事はなかった。
暫くそんな風景が続く中、アナライザーが再び反応を示す。

「岬サン。あの岩山ノ中腹アタリヲ見てクダサイ。」

岩山の中腹に横たわる物体が目に飛び込む。
超大型の戦闘艦らしき物体が横たわっているのが確認できた。
惑星オルタリアの北西部にそびえる岩山。
その中腹に降り立つ百式空間偵察機。
岬 百合亜とアナライザーは、その中腹に横たわる超大型戦闘艦へと近づいた。
外観はかなり傷みが激しく、朽果てた所まである。
全長1.000メートルくらいでヤマトより約3倍の超大型戦闘艦。
救難シグナルは、その中から発せられていた。

「ミサキサン。分析カラしても廃墟と成ったノハ、つい最近ノようです。」

「最近?」

「ハイ。最近デス。」

「ソレモ、人工的に破壊サレタ形跡ガ伺えマス。」


「動くな!!」

突如、百合亜たちの頭上から大きな声で百合亜たちに向かって、静止するよう命令口調で叫ぶ、一の人物がいた。
見上げる岬の目には旧時代のローマの戦士のような"女戦士"に見えた。
その声を聞き付けた、岬たちの頭上から命令口調の言葉を発した女戦士の仲間がぞろぞろと姿を表し、岬たちを取り囲んだ。

「お前たちは、何者だ?」

「ガミラス人ではなさそうだな。肌の色が違うからな。」

「ガミラスの手先か?」
"女戦士"の長と思われる者から問われる岬たち。

「私たちは地球人。たまたま、この惑星から救難シグナルが発せられていて立ち寄っただけ。」
百合亜はガクガクと震える身体を押さえ質問に答えた。

「地球人?お前たち!地球と言う惑星(ほし)をを知ってるか!?」
戦士長と思われる者は仲間に問いかけた。
首を縦に振る者は居なかった。

「お前たち。ガミラスの手先のザルツ人に似ているな。」
百合亜たちを取り囲む、"女戦士長"=オルタリア旧警務隊隊長マンロウが百合亜を上から下までジロジロと見ながら問いかけた。
百合亜は無言のまま、ただ様子を伺うだけであった。
そんな中、マンロウの言葉に、百合亜の答えに疑問の声も上がった。

「まぁ、どちらにせよ拘束しておけ!」

オルタリア旧警務隊に囚われる岬 百合亜とアナライザー。


ーオルタリア難民ベース(超大型戦闘艦内)ー


「お前たちは救難シグナルをキャッチしたと言ってな。」

「あの飛行機じゃ長距離は非行出来まい?」

「この恒星系に、お前たちの言う「地球」と云う惑星(ほし)は無いからな。」

「本隊は何処にいる?」

「ガミラスの手先なのだろ?」

「救難シグナルをキャッチしたと言うのは嘘で、生き残った私たちを殲滅しに来たのだろ!?」
マンロウは、矢継ぎ早に問いかけて来る。
百合亜は怯えるだけで、答えられないでいた。
疑いが益々、深まった。
構わずマンロウは質問を続けた。

「つい先月、このオルタリアは、ガミラスの高官でデスラー親衛隊が焼き尽くした。」

「反乱分子が生き残っていた。では後々、面倒だからな。」

「そうなんだろ!?」

百合亜は今にも泣きそうな気持ちを押さえ、必死に「地球人である事を説明した。

「私たちは、イスカンダルからの帰路の途中で、たまたまこの宙域を非行中に救難シグナルをキャッチし、私たちが立ち寄っただけ。」

尋問したマンロウの部下ラヴジュは"イスカンダル"の言葉に強く反応した。

「お前、今、イスカンダルと言ったな!!」
そばて聞いていたマンロウの部下の一人ラヴシュが大きな声で百合亜に詰め寄った。

「イスカンダルに行ってだと!!」
尋問するマンロウもまた、百合亜に詰め寄った。

「えぇ。イスカンダルからの帰路途中です。」

マンロウは思わず、百合亜を強く揺さぶり、イスカンダルの事について詳しく話を聞こうとした。
強く揺さぶられ、顔をしかめる百合亜。

「すまない。少し興奮してしまった。」

「イスカンダルは、イスカンダルはまだ健在なのだな!!」

「えぇ。イスカンダルで私たちは『星を元の住める星にするシステム』を譲り受けて来た帰りです。」

「そうか!イスカンダルは健在か!」

「荒手な真似をして済まなかったな。」

「お前たちの本隊をこの惑星に呼んでくれないか?」

「それは良いけど……」

「良いけど……何だ!?」

「いえ。ごめんね。今、呼ぶわ。」

「アナライザー、ヤマトとの交信を。」

百合亜に云われ、ようやく壊れたふりをやめたアナライザーは、ヤマトとの交信を開始した。
ヤマトがこの惑星オルタリアに到着するまでの間、マンロウたちは、受け継がれる大昔の話を百合亜たちに聞かせた。



今から2520年前・・・

水の惑星と呼ばれる伝説的惑星アケーリアスが、この惑星オルタリアの直ぐ脇を通過すると云う事態が起きた。
そのアケーリアスの軌道を変える術はなく、1ヶ月以上もこのオルタリアに雨を降らせた。
その降り注ぐ雨で全ての植物は腐り、動物たちは餓えて死滅。
大地や都市は水没し、僅かに生き残ったオルタリアの民はこの岩山が最後の砦。
この岩山が水没すれば、死滅するだけとなった・・・

そんな時、伝説のように語り継がれてきたイスカンダル。
そのイスカンダルの当時のスターシャは、このオルタリアに一隻の艦(ふね)を派遣した。
その艦(ふね)に装備された"波動砲"によって"回帰の水柱"と言い伝えられる水柱を絶ち切った。

二週間後、アケーリアスのもたらした"試練の水"はすっかり引き、水没した都市や大地は姿を表した。
イスカンダルの派遣したこの艦の活躍によって、オルタリア人の死滅は間逃れた。



「と云う訳だ。」

この話を聞いている間、アナライザーはヤマトとの交信を完了していた。

だが、このアナライザーとヤマトとの交信が、傍受されていたのだ。


◆◆◆◆


「ヤマトがオルタリア星に向かっているだと!?」

「これはチャンスと捕らえるべきだな!」

「デスラー総統に反旗を翻し、現政権を手中に納めたディッツを倒すチャンスが、こんなにも早く巡って来たと云う事だ!」

「艦長!全艦隊をオルタリアへ向け発進させよ!!」

「我がガミラスの旗を掲げよ!!」

「ザーベルク!!」

デスラー政権が崩壊し、宇宙を彷徨、元デスラー派残党が動き出した・・・





◆◆◆◆




「アナライザーから連絡のあった惑星はあれだな。」

古代が口を開いた時であったコスモレーダーを監視する森 雪が慌ただしく告げて来る。

「レーダーにワープアウト反応多数!!」

「艦種識別:ガミラス!!」

「臨戦体制!!」

「何だって!?」

「ガミラスとは和平が結ばれたはずじゃ!?」

森 雪の報告に島が疑問を投げる。

「確かに結ばれたが、まだ全体には浸透していないのかも知れない。」
島の質問に応える古代。

間髪入れずに雪が告げて来る。

「ガミラス艦隊、発砲!!」


◆◆◆◆


「お姉ちゃん=(マンロウ)!!なんか、お宇宙(そら)の方でヤバい事になってるよ!!」

「レーダーがピカピカいっぱい光ってる!!」
マンロウの妹、イヴが教えた。

その言葉に急いでマンロウは、百合亜たちを連れ、ブリッジへ上がった。
レーダーを覗くマンロウ。
レーダーには未確認物体の文字とガミラスの文字が多数、点滅していた。

「野郎ッ!!ガミラスがまた来やがった!!」

「マンロウさん。またって以前もガミラスが来たんですか?」

レーダーを見つめながら、マンロウはまだ此方に降りて来る様子が伺えない事から、百合亜にガミラスが襲来して来た事を語り始めた。

「あれは忘れもしない……」

「1ヶ月前の事だ……」

「私たちオルタリアの民は、ガミラスからの独立を目指していたんだ。

私たちの住むこのオルタリア星は、ノルド大管区 とガミラスから呼ばれ、惑星ノルドを主星とした太陽系の第三惑星がオルタリア。

それで、ノルド大管区を納めていたガミラス人のウゴン総督って云うチンケな野郎が酔った勢いで
、暴露したんだ!」

「イスカンダル主義なんてもんは、ガミラス親衛隊長官が、でっち上げたんだ!!とね。」

「大統合を成し遂げる為のでっち上げだとね。」

「そんな時、何処の銀河系か分からないけど、別の太陽系の《テロン》と云う惑星から《ヤマト》なる艦(ふね)が、ガミラスに反旗を翻しイスカンダルを目指していると耳にしたんだ。

「その話をきっかけに私たちオルタリアの民は、立ち上がった。」

「だけど、そんな矢先、ウゴン総督の泣きが入り、ガミラス親衛隊が、わんさか押し寄せ、一夜にしてオルタリア星は焼け野原、壊滅したんだ。」

「……親衛隊の容赦無い虐殺は正に鬼畜だった……」

「女、子供、老人、無差別だったよ……」

「このイスカンダルの艦(ふね)は、ガミラスが支配する以前に隠して見つからずに済んだんだ。」

悔しげに拳を握るマンロウ。

「あの時……あの時、この艦(ふね)が健在で、動いたなら……」






◆◆◆◆


一方、オルタリア星上空では・・・



「全艦、火力をヤマトに集中せよッ!!」





「ヤマト航空隊は全機発艦せよ!!」

「繰り返す。航空隊は全機発艦せよ!!」

「此方、ヤマト航空隊隊長:加藤!」

「指揮へ意見具申!」

「この集中砲火を静めてくれ!
死にに逝く訳じゃ無いんでね!」

指揮に不馴れな古代に対し、航空隊:隊長:加藤は皮肉混じりに具申した。
加藤の具申は最もであった。
この加藤の具申に、冷静さを取り戻した古代は、砲雷戦を今よりも先行させ、改めて発艦命令を下した。






「ヤマト航空隊、全機発艦する!!」

「一番隊は俺に続け!!」

「二番隊は篠原に続け!!」

「ラジャー!!」



「艦底部に被弾ッ!!」

「ダメージコントロール追い付かないッ!!」

「此方、波動エンジン制御室!!出力32パーセント低下!!」

被害報告が、ヤマト第一艦橋内を渦巻く。

途切れる事の無い悲痛な叫び声。
ドメル戦並みの死闘であった。

「ガミラス艦載機スヌーカータイプ、数機抜けて来ます!!」
雪が告げて来る。

「弾幕、張り続けろッ!!」
即座に対応する古代。

「しまった!一機、抜けられた!」


「きゃぁぁぁぁぁーーーッ!!」

「お姉ちゃん……」

ガミラス艦載機スヌーカーによる機銃掃射に、命を落とすマンロウの妹イヴ。

「……イヴ…………。」

「よくも、よくもイヴを
ガミラスめぇーーーッ!!」

マンロウは本能に身を任せ、イスカンダルの超大型戦闘艦に装備された唯一、稼動する三連装波動衝撃波砲(第三砲塔)をデスラー派残党旗艦バードラ艦目掛けて撃ち放った・・・・

「これでも喰らえーーーッ!!」


◆◆◆◆


どれくらいの時間(とき)が過ぎたのだろうデスラー派残党との闘いは、終わりを告げていた・・・・

「岬。また逢おう。」

「今度、逢う時は争いや憎しみが無い平和で、このオルタリアもかつてのように緑豊な惑星(ほし)に成っている事だろう。」



「百合亜。コレを持って行け。」

「もう、私たちはこのイスカンダルの艦(ふね)を動かす事は無いからな。」

「明けの明星が昇った。妹のイヴも見送っている。」

「無事な旅を。」

涙を堪え、溢れる笑顔で応える百合亜は、別れを告げた。


◆◆◆◆


ヤマトに帰投した岬 百合亜。
その百合亜を出迎えた星名。


「お帰り百合亜。」

「ただいま星名。」



~the.end~


《回遊惑星アケーリアス 》

「水惑星」とも呼ばれる。
特定の軌道を持たない回遊惑星。地球より若干大きく、星の構成要素はほとんど水であり、中心部で重水が起こす核融合によって淡く光っている。
周囲に3本の氷の環が存在すし、惑星表面は全て水に覆われており、山や湖、森を有した多数の浮遊大陸が存在している。
大陸に遺跡があることから、過去には文明が栄えていたようである。
近づいた惑星に重力の関係から大量の水を降り注がせており、地球にも過去に幾度か水が降り注いだ。
降り注いだ水には生命の"芽"が含まれており、それが銀河系の多くの星々の生命の起源となっている。
地球の生命もそこから進化していったことになっている。
また、逆にアクエリアスから降り注ぐ水は、試練としてその星の文明を根こそぎ洗い流すこともある。

アケーリアス(英語の綴りはアクエリアスと同じ「aquarius」)と呼ばれる先史文明が存在する。
非常に高度な科学力を有し、バラン星を中心とした超空間ネットワークを構築。
さらにそれを利用した亜空間ゲートを宇宙の各所に設置した。
現在では滅び去っており、残された亜空間ゲートはガミラスの手によって運用されている。






◆◆◆◆


使用している画像はイメージです。

この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2199》の二次創作です。

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