ー勝利へ導く敗軍の将ー
宇宙戦艦ヤマト2202火星沖海戦外伝
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「波動砲口大破!波動エンジン出力、五分の一に低下!」
「更に低下中!!」
「被害甚大!艦体の損傷が七十パーセントを超えました!」
「艦長!このままでは、我がアンドロメダは白色彗星の重力場からの脱出が極めて困難に!」
矢継ぎ早に慌ただしく山南の耳に届く報告は、自身への戒めの台詞(ことば)に変換されてゆく・・・
「力を過信する者は、力によって滅ぼされると知れ!」俺は天に向かって唾を吐いたようだ・・・
そう山南は心の中で呟いた。
「くっ。」
「もはやこれまでか……。」
「回頭、左百八十度!!」
「副長!ドレッド・ノート九番護衛艦"ディアナ(ダイアナ)"、三十六番艦"ネバダ"に打診、本艦の両舷側に固定、緊急離脱に入る!!」
「急げ!!」
重力アンカーによって大破したアンドロメダの両脇に固定されたドレッド・ノート級二艦、その二艦をブースターとし、推力低下のアンドロメダは窮地を救われる形で、白色彗星の重力場から離脱した。
重力場に捕らえられ、沈みゆくヤマト。
そののヤマトを祈るしか出来ない自身の不甲斐なさを噛み締める山南。
歯を食い縛り、握った拳を震わせる。
辛うじて地球圏に撤退したアンドロメダは護衛艦二隻と別れ、単艦にて"時間断層工場"を目指し、降下した・・・
◆◆◆◆
「山南一等宙佐。前衛武装艦隊艦隊司令の任を解く。」当然かと目を伏せる山南。
「新たに貴官を宙将補に任命する。」
「先頃、建造されたドレッド・ノート級及びアンドロメダ級で編成された強襲型自立戦闘艦で編成された艦隊を率いり、火星沖へ出撃を命じる!」その言葉に山南は「カッ!」と目を見開き、真顔を覗かせる。
地球防衛軍総司令部に呼び出された山南は、芹沢軍務局長直々に司令を受けていた。
山南は辞令書を受け取り、司令部をあとにした。
その山南に近づきの耳元でもう一つの命令を告げる藤堂。
「山南宙将補。私からもう一つ命令を伝える。」
「消息不明と成ったヤマトを、宇宙戦艦ヤマトの所在を突き止め、発見せよ。」
山南宙将補佐官は、言葉を発する事なくまた、振り返る事なく制帽を深くかぶり直し、軽く口角を上げて見せた。
それだけで、藤堂長官には伝わっていた。
三日後、時間断層工場で修理、改装されたアンドロメダ一番艦は"ネメシス"と名付けられ、その姿を表した。
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※山南宙将補ディアブロ艦隊旗艦
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◆◆◆◆
死闘を繰り広げる火星沖。
「全カンテイ、ワープアウト。」
「作戦ニ移行スル。」味気無い報告が山南の耳に届く。
指揮A.Iとされるアナライザー型が告げる来る。
そんな中、山南は何時でもこのA.Iをカットオフ出来るよう、艦長席に広がる計器類が並ぶ、席に一番近い右上のスイッチに右手人差し指を置く。
「ここから先は、俺の判断で。」との心の現れなのかも知れない。
凄まじい程の集中砲火が飛び交う中、山南は車で言うトップギアに入れ、アクセルを全快にした状態で、まるで戦闘機を飛ばしているかの如く、改装された"改アンドロメダ・ネメシス"を操る。
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だが、そんな山南率いる自らが名付けた"ディアブロ艦隊"を自滅型攻撃艦イーターⅠの群れが襲いかかる。
※ディアブロ(diablo)はスペイン語で、またディアボロ(diavolo)はイタリア語で、いずれも「悪魔」の意。ボローニャの方言ではディアベル(diavel)
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「あの自滅型か。」
「お前らごときに沈む訳に行かんッ!」
「ヤマトを見つけるまでは、いや、ヤマトを救出するではッ!!」
ブリッジの天井を突き抜かれでも尚、山南は、突撃を敢行する。
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憎悪渦巻く中、山南はヤマトを発見する。
「緊急回線!!我、ヤマトを発見!!」
「ヤマトは生きているッ!!」
「繰り返す!ヤマトは生きているッ!」
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「うおおおおーーーッ!!」
◆◆◆◆
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~fin~
あとがき
あまりにも製作者側の幹部である小林誠氏のTwitterでの発言に、ショックと怒りを覚え、書いた外伝です。
※「時間断層工場にて緊急修理並びに大規模な改装を施したアンドロメダ一番艦。」が、「あれは廃艦で試作艦を……割愛…」の発言に。
私の解釈と設定が混ざった宇宙戦艦ヤマト2202の外伝的二次創作の物語りでするm(__)m