言葉を商売にするアナウンサーも、近頃はボキャ貧で困ります。アナウンサーの卵たちの研修でのことです。
講師が「君たちがマイクの前でニュースを読めるのも、現場記者が原稿を書き、録音、照明、音響係などたくさんの方のおかげなんだよ」と言って聞かせたら、T大学出の若者が感激して「その方たちのことを、『緑の下の力持ち』と言うんですね」と言ってきた。
「バカヤロウ、字をよく見ろ、字を。縁だろ、縁」と、どなつたら「縁って何ですか？」ときた。
「お前、縁側も知らんのか？』「ヒラメですか？」「いや、そうじゃない。家の縁側」と言って、ハッと気がついたのです。
マンション育ちの世代は、縁側を見たことがないです。
いつのまにか、当然知っていると思ってた言葉が伝わらなくなっていました。
建売の住宅展示場で、若い社員が『ゆかのあいだ』という言葉を連発していますが、お客さんの方は、今いちよく分かりません。
がハッとひらめきました。
なんと、若い社員が言ってたのは「床の間」のことでした。京都にだって、えげつない言い方があります。「御室のさくら」という表現です
。京都人しか分からしまへん。京都の仁和寺にある御室さくらは、普通の桜と違います。
普通の桜は見上げるもんでつしゃろ。ところが、御室さくらは、地べたからいきなり枝別れして花が咲いていて、花が目の高さにあります。つまり、
「はなが低い」。
花と鼻をひっかけてるわけでらしい、京都以外の人では御室のさくらは知りませんから、言われた人もけなされているとは思いませんよね。
有名な京の茶漬け「ぶぶすけでも」と言うのと同じついでに電機メーカー「オムロン」の社名の由来を知っていますか。
立石電機が京都の御室に疎開し、女性のカール用電気へアイロンなど女性用商品の開発を始めたとき、京言葉の柔からい風情と地名にちなんで命名されたということでした。
「京都の言葉はやくざ言葉と言わはった方がおります。」「なんでやねん？」「『そうドス』言いますやろ。ドスのきいたやくざ言葉だといことドス」
こんなふうに、いろいろと連想ゲームのように、話のネタにひろがっていきます
。
これに、自分の体験やそれぞれの人のふるさとの食らしい言葉など加えていくと、ますますおもしろいものになるでしょう。
HPhttp://airmitsuo.jimdo.com
