
「仮想通貨」と名付けたのが誤解を生んだ最大の理由だった 識者たちが語る、FinTechの過去と未来2018年6月17日、ベンチャー経営に関わる起業家を中心としたメンバーが一堂に会する「G1ベンチャー2018」が開催されました。第3部分科会の「仮想通貨の課題と未来の可能性」には、ビットバンク廣末紀之氏、京都大学公共政策大学院の教授・岩下直行氏、弁護士の増島雅和氏が登壇しました。福岡市長の高島宗一郎氏をモデレーターに、「通貨圏の次の一手」になり得る可能性を持つ仮想通貨の今後について語り合いました。仮想通貨にどんな未来があるのか
高島宗一郎氏(以下、高島):仮想通貨の分科会でございます。よろしくお願いいたします。元気に始まったものの、もう心は不安でいっぱいです。
(会場笑)
G1ベンチャーで仮想通貨について語ります。例えば地方自治体によるICOなんてことも、最近話に聞きますし、また、「FinTechという観点では、どんな可能性があるのか」を勉強したいと思っていたところで、モデレーターになったと。そういう意味で、私は本当に理解不足な中で、堀(義人)さんはそういった、あえて知らない人が語ることによっての化学反応を期待するということですから。もうダメだったら、これは堀さんのせいであって、私のせいではないです(笑)。
(会場笑)
私は仮想通貨についてぜんぜんわからないのですが、「通貨」を辞書で引いてみると、「モノやサービスと交換ができる貨幣」と書いてあるわけです。
じゃあ、今後の仮想通貨って、本当にそうしたものになっていくのか。それとも、「いやいや、それはBtoBの世界の話で、国際的な金融をスムーズにするためなんだ」とか。どういう未来になっていくのかというイメージ図が、そもそも私は、はっきりとわかってないわけですね。
これからお話しいただくみなさんは、こんな素人の私には本当にもったいない、日本を代表する仮想通貨の分野の第一人者のすばらしい方々です。「仮想通貨にどんな未来があるのか」というところを、みなさんの中から1人ずつ聞いてみたいと思うんですが。岩下さんは、どういう未来があると見ていますか?
岩下直行氏(以下、岩下):はい。京都大学の岩下でございます。私は、仮想通貨に関する研究や、仮想通貨よりも前に普及した電子マネーなどに関する研究を、かれこれ二十数年やってきておりまして。(ビットコインを提唱した)サトシ・ナカモトよりも、たぶん長く研究している人間の1人でございますので(笑)。
(会場笑)
仮想通貨は交換媒体として機能する
岩下:仮想通貨には特別な思いがございます。仮想通貨がこれだけ人々に注目されるようになったということは、長年研究していた人間としては、大変うれしいことではあるんですが。一方で、私自身は長いこと日銀に勤めて、今は金融庁の参与という仕事もやっております