昏睡状態から4日後に目覚め、“ママ”になっていた18歳女性(英)
妊娠に全く気付かないまま出産する女性の話題をこれまでにもお伝えしてきたが、このほどイギリスで18歳の女性が妊娠に気付かないまま、発作を起こして昏睡状態になった間に出産、目覚めた4日後には母親になっていたという驚くべきニュースが『Manchester Evening News』『The Sun』などで報じられた。
グレーター・マンチェスターのオールダムに住むエボニー・スティーヴンソンさん(18歳)は昨年12月2日、酷い頭痛に襲われた。
午後10時頃にエボニーさんから具合が悪いことを聞かされた母親シェリーさん(39歳)は、嘔吐し出したエボニーさんを浴室へ連れて行くと、突然エボニーさんが床で発作を起こした。これまでにそのようなことは一度もなかったためシェリーさんは慌てて999へ緊急通報し5分後に救急車が到着したが、エボニーさんは5回も発作を起こしたという。
「救急隊員は娘が妊娠しているかと尋ねてきたので、まさかと否定したのですが、そのお腹を見てショックを受けました。激しい発作により赤ちゃんが動いたので、急にお腹の膨らみが目立ったのではと救急隊員は娘の妊娠を確信したようでした。」
母親が驚くのも無理はない。というのもエボニーさんはその時まで腹部の膨らみはおろか、つわりも全くなく、生理も定期的に来ていたからだ。エボニーさんはその後、ロイヤル・オールダム病院へ搬送され、検査を受けた。するとやはりエボニーさんは妊娠しており、子癇前症が原因で発作を起こしたことが判明した。医師はエボニーさんを医療的に誘導して昏睡状態にし、すぐに赤ちゃんを取り出す必要があることをシェリーさんに伝えた。
12月3日の午前1時32分、最初の発作から3時間あまりでエボニーさんは緊急帝王切開により昏睡状態のまま3,459グラムの女児エロディーちゃんを出産した。何の準備もないまま娘が出産し初孫を抱いたシェリーさんは、なんとも不思議な気持ちになったと話す。
「孫が健康に生まれてきてくれて何よりですが、一方で娘が昏睡状態になっているのでとても心配でした。」
母シェリーさんと祖母ジェラルディンさんに付き添われていたエボニーさんは、12月6日に昏睡状態から目覚め、出産して母親になったことを聞かされ困惑した。
「胸に赤ちゃんを置かれて、看護師から出産したことを告げられたんです。今思うと酷い態度だったと思うのですが、あまりにも困惑して渡された赤ちゃんをどかせてほしいと頼みました。なにかの間違いだろうと思ったんです。でも母から事情を説明されて、看護師がもう一度赤ちゃんを胸に抱かせてくれた時、驚きと恐怖はありましたが、初めて娘をきちんと抱っこすることができました。」
エボニーさんは、3,000人に1人の確率で発症するとされる完全重複子宮だったそうだ。これは子宮が完全に2つに独立した状態で、エボニーさんの場合は片方の子宮のみが卵子を運ぶ卵管を持っていた。2つの子宮のうち1つは背中側にあったことから、その中で胎児が育っていてもお腹に膨らみとして現れず、もう1つの子宮では通常通り月経が促されていたために妊娠に全く気が付かなかったようだ。エボニーさん自身のみならず、母のシェリーさんも初めてその事実を知らされ、医師からは「重複子宮の女性は妊娠が困難、もしくは妊娠しても臨月まで胎児が育つ可能性が低いために、この出産は奇跡だ」と言われたという。
その後しばらくICU(集中治療室)で過ごしたエボニーさんとエロディーちゃんは12月13日に退院し、エロディーちゃんはエボニーさんのきょうだいである12歳、8歳、3歳、2歳のおじとおばに自宅に迎え入れられた。マンチェスターのミドルトンにあるホップウッド大学の学生だったエボニーさんは、子育てが落ち着いたら再び大学に戻る予定をしており、その間はシェリーさんがエロディーちゃんの面倒を見ることになっているそうだ。シェリーさんは「娘は母親としてよくやっています。孫は本当に可愛いものです」と目尻を下げており、新米ママのエボニーさんはこのように話している。
「目覚めた時には出産して母親になっていたことを知り、それはもう驚きました。少なくともこの先10年は子供を望んでいなかった自分が、18歳で母親になるなんて全く予期していませんでしたから。娘に初めて会った時は非現実的な気持ちになり、事実を受け止める間もなく母親になって、このままでは娘との絆が築けないのではと不安にもなりましたが、今では何をおいても娘は私にとって大切な存在です。毎朝起きて娘の顔を見られることが大きな喜びで、とっても幸せです。娘の誕生は本当に奇跡です。」