顔面整形に430万円かけ「整形口コミアプリ」立ち上げた24歳起業家
西山 里緒
日本では美容整形を公表する人はまだまだ少ないが、そんな「整形に批判的な日本社会をアップデートしたい」と立ち上がった24歳がいる。「顔面にレクサスCT以上のお金をかけた」と自らの整形も公開する起業家に、話を聞いた。
美しくなるのはコスパが良い
「『美容にすごく詳しいんでしょう』とよく言われるんですけど、私はズボラ。化粧品にも、そこまで興味がないんです」
川井優恵乃さん(24)はそういって、白い歯を見せて笑う。
「顔面にレクサスと同じだけのお金がかかっている」
そんなパンチ力のあるプロフィールを持つ川井さんの起業のきっかけは、誰もが感じたことがあるようなありふれた不満から始まった。
「高校の時から、可愛い子はトクだなって思っていました」
街を歩いても、友達だけが声をかけられる。同じことをしても、可愛い子だけが褒められる。川井さんはそんな状況を自分の手で変える決心をした。大学1年生の時に、初めて二重の手術をした。キャバクラやラウンジで働いてお金を貯め、その後も、目頭切開、あご、頬骨、目尻切開など、総額430万円をかけて自身の顔を整形した。
周りからの評価は見違えるように変わった。整形をしたことについては「プライスレス」だったというが、ドラマチックに語ることもなく、あくまで淡々と川井さんは答える。
「だって、『ああ、今日二重じゃない……』って一生思わなくなる。1日分で考えたら、コスパは良くないですか?」整形のリアルな口コミを探せるアプリ「Meily」を立ち上げたのは2017年。だが、もともと起業をするつもりは全くなかった。
きっかけは、あごの手術をしたときに2カ月腫れが引かなかったことだ。
「治らなかったらどうしよう」
結局腫れは引いたが、この経験が川井さんを動かした。「他にも困っている人がいるはずだから、良い先生がいれば紹介できるサイトをつくりたい」と、韓国の美容整形情報が集まったサイトをワードプレスでつくることにしたのだ。
韓国での整形は病院数も多く費用も安いために人気だが、自分にあった病院を探すのは大変だった。
「整形の情報サイトのレポートを書いてくれませんか?」
TwitterのDMでフォロワーに呼びかけると、30人以上から集まった。「こんなに反響があるんだ」と驚き、次はアプリを作ってみようと思い立った。だが、友達に相談しても、アプリを作れる人はなかなかいない。
その時出合ったのが、マッチングアプリのTinderだ。プロフィールを眺めていると、ふと「職業」を記載する欄があることに気づいた。
「あれ、エンジニアって書いてある人がいる」
急いでスーパーライクをし「アプリを作ろうと思ってます!」と自らを売り込んだ。そうして出会ったのが、いまの共同創業者である龍鶴元さん(23)だ。人が人を呼び、チームが作られていった。2017年11月、7人で整形のクチコミアプリを運営する「Meily」を創業した。
ビジネスについては初心者だったため、活用したのがパパ活アプリの「paters」。有名企業の社長とマッチングすると、親身に相談に乗ってくれたという。