ファン・ジョンミン(男性)
ハン・ヘジン(女性)
~あらすじ~
男女主人公の日常を映しながら
原題の
「ナムジャ ガ サランハルテ」
(男が愛するとき)を
再現するヒューマン純愛物語
男はある地方都市で高利貸しの
取立てをしている
見てくれは、1980年年代の
チンピラの格好丸だしで
着る物のセンスもなぜか懐かしい
女はおそらく日本で云えば
地方信用金庫だろう
銀行員の窓口役の設定となる
男は乱暴で、荒ぶっているが
心根(こころね)は優しく
人情味を持ち、自分の持ち場である
市場(いちば)の債務者から
慕われている
女は、昏睡状態におちいった
父親を看病しており
その入院費にも窮する状態
そこへ、男が借金の取立てに
出張り、女に月49%のむちゃくちゃ
な利子の覚書に捺印させる
そこから、物語は進んでいく
原題からも推測できるように
男は女に惚れしてしまった
なんとか、助けてあげたい
あげたいが、男の属する
金融屋の社長(男の友人)の手前と
自分の立場もあり逡巡する
ある妙案を思いつき
女にもちかける
女は、初めから男を激しく拒絶し
たがその提案を、借金返済のために
嫌々ながらも受ける
そして、女の父親の死もあり
徐々に男の不器用で純粋な心に
次第に惹かれていく
二人はどうなっていくのだろう
~感想~
韓国映画を観て
皆さんは「ヨグ」(汚い言葉)が
頻繁にでると思いませんか?
語尾に「シー」とつくのは
放送禁止用語ではないので
TVドラマでもよく出てきますよね
邦語にすると「クソ」とか
「ちくしょう」なんかに訳されます
簡単に云うと腹立ったときに
でる言葉です
また、ピカレスク物の韓国映画には
至るところでこの「ヨグ」
出てきます
訳者は苦労するでしょうね
だって、正確に訳する邦語が
ないんですもの…
映画でしか使えませんしね
ファン・ジョンミンさんは
この「ヨグ」を早口でまくし立て
ます
めちゃくちゃ汚い言葉を使いながら
も観ているこちら側を引きつけて
「あ~この人ワルやけど、心底の
ワルとちゃうな」と思わせる演技が
持ち味です
もう一人の主人公の
ハン・ヘジンさんは
どちらかいえば小柄で
鼻筋がピンと通り
額が丸く立体感のある顔立ちで
利発で勝ち気な、苦労人です
全編を通して
食事の場面がよくでます
メシは個人的には重要です
豪華な食事は、まったくでません
家族で食卓を囲む
二人で食卓を囲む
ひとつのスープ(チゲ)を
めいめいが、匙ですくって
飲み、ご飯と一緒に食べる
人が亡くなって弔問に
訪れても、「メシ食ったか?」
ケンカしても、メシは同じ食卓で
食べる「メシ食え」と
韓国映画を観られた方は
よくある場面と思いませんか?
これ、しぶとさ
コミュニケーション
愛情の表現。だと、わたし思うん
ですね…
どんなときでも、メシだけは食べる
そんなこんなで利発で勝ち気な
ハン・ヘジンさんは
ファン・ジョンミンさんに
心を開いていきます
ごりごりのピカレスク物ではないです
男の属する組織は
ヤクザ組織ではないですが
アウトローにちがいはありません
女はその世界から足を洗い
二人でチキン店を開こうと
小さな幸せを望みます
男は、足らない資金を調達する
ために、一度身を引いた組織に
戻り、ある賭けにでます
そこから物語は急転し
男は女の前から姿を消し
二年後に刑務所から出所する
結末は、観ているこちらも
わかるんですが
原題の「男が愛するとき」も
的をえてると思いました
それでも
邦題の「傷だらけのふたり」が
今のわたしの心境には
パズルのピースがすっぽり
はまったような映画でした
悲しい映画ですが
悲しいときは悲しんでいいと
思いましたよ