朱禪-brog

自己観照や心象風景、読書の感想
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反逆

2023-06-27 09:21:36 | 本 感想
侍は
侍る(はべる)とも読めます

時代は中世下克上まで
さかのぼる

この時代は、江戸期と違い
主君への忠節、忠義はない
あるのは
「利」のみ

主人公は、荒木村重という
摂津国の太守と
近江の明智光秀

たんなる筋書きだけならば
この二人の魔王信長に対する
謀叛の歴史小説となる

家臣が利のために、侍るのなら
主君も己が利となるものを
登用(活用)し、利なしとなれば
古草履のように棄てる
時代であった

自身を神として、崇めることを
求めた魔王

己の力のみを信じ、その判断に
絶対的服従を求め、反すれば
一族郎党、妻子をことごとく
「成敗せよ」とかん高いひと言で
皆殺しにする絶対王

荒木村重と明智光秀は
その天才的な頭脳に舌をまきつつも…

この小説でとくに
印象が濃く残るのは
荒木村重の二番目の妻となる
「だし」さま
荒木村重の嫡男村次に
嫁いだ「さと」さま

だしさまは、信長が寵愛した
側室吉乃の連れ子
さとさまは、明智光秀の長女

そして、浅井長政の死から
柴田勝家の妻となった「お市」さま
お市さまは、信長の妹

これら、三人の奥方は
敗者側であり
その最期は死しかない

ですが、その最期の記述は
人を人として、信じることが
できず、できないが故に
孤独と向き合った男たちに
戦国人ではなく
ひとりの、人間としての
情愛を伝え
人として、どう生きたかを
伝える、極めて重要な影の主人公
であろうかと思う

ちなみに、準主人公ともいえる
竹井藤蔵は
遠藤周作さんの母方の祖先となる
人物となります

岡山県吉備高原の美星町という
夜になると、人工の光がいっさいない
類まれな星の町の生まれという









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