本日付けの東京新聞【筆洗】を読み涙が止まらなかった。
<お母さんがいたら、いろんなことができたね。ケーキとかつくったりできたよね。保育園から帰ると、お母さんが作ったおやつを食べさせてくれたね。3月10日まではいい日だったね>と、岩手の小学三年の女の子は書いた▼『3月10日まではいい日だったね』は、震災遺児らを支援する「あしなが育英会」が出した作文集だ。表紙は、あの一本松の絵。お父さんが行方不明になった九歳の少年が描いた▼彼は天に伸びる勢いの松を描いて、言葉を添えた。<がんばれ一本松 ぼくのお父さん どこにいるか みえないかな。 みえたら おしえて 一本松 おねがいするよ>▼東日本大震災で親を失った子どもは千五百人を超える。あしながの作文集を読めば、この千五百の心が抱えるだろう想(おも)いが、脈を打ち伝わってくる▼宮城の小三の女の子はあの日、母さんとけんかして、謝りもせず学校に行った。「母はもう怒ってないだろうな」と思いながら家へ帰る途中、地震が起きた。学校に戻り夜を明かした。みんなには迎えが来たのに、母さんは来なかった。死んでしまった▼二年前のきょうは金曜日だった。少女は、書く。<私はお母さんが見つかってから金曜日の2時46分に、ベルを鳴らしています。そしてお母さんに「ゴメンネ」を送っています。ちゃんと聞こえていたらいいです>。きっと、聞こえているよ。 東京新聞 3.11【筆洗】転載
<お母さんがいたら、いろんなことができたね。ケーキとかつくったりできたよね。保育園から帰ると、お母さんが作ったおやつを食べさせてくれたね。3月10日まではいい日だったね>と、岩手の小学三年の女の子は書いた▼『3月10日まではいい日だったね』は、震災遺児らを支援する「あしなが育英会」が出した作文集だ。表紙は、あの一本松の絵。お父さんが行方不明になった九歳の少年が描いた▼彼は天に伸びる勢いの松を描いて、言葉を添えた。<がんばれ一本松 ぼくのお父さん どこにいるか みえないかな。 みえたら おしえて 一本松 おねがいするよ>▼東日本大震災で親を失った子どもは千五百人を超える。あしながの作文集を読めば、この千五百の心が抱えるだろう想(おも)いが、脈を打ち伝わってくる▼宮城の小三の女の子はあの日、母さんとけんかして、謝りもせず学校に行った。「母はもう怒ってないだろうな」と思いながら家へ帰る途中、地震が起きた。学校に戻り夜を明かした。みんなには迎えが来たのに、母さんは来なかった。死んでしまった▼二年前のきょうは金曜日だった。少女は、書く。<私はお母さんが見つかってから金曜日の2時46分に、ベルを鳴らしています。そしてお母さんに「ゴメンネ」を送っています。ちゃんと聞こえていたらいいです>。きっと、聞こえているよ。 東京新聞 3.11【筆洗】転載