奥武蔵は、地理的には首都圏なのですが、多くが里山。生徒数の減少から、小・中学校の統廃合が進んでいます。
わが家の子どもたちが学んだ小学校と中学校も、来年度からは統合されて、小中一貫校として再出発する予定で、中学校の校舎はお役御免になるとのことです。
もっとも、生徒数の減少は、全国的な流れで、小・中学校の統合は、どうやら地方・都市部を問わず、かなり以前から進められていたようです。調べてみましたら、何と私が卒業した東京都内の区立中学校は、2008(平成20)年に他の中学校と統合して、早々に閉校していました。
地方と都市部で異なるのは、閉校した学校の跡地利用の問題ではないかと思われます。地方にとっては、跡地の利用・再生は頭の痛い問題でしょうが、都市部では、土地へのニーズは旺盛でしょうから、少なくとも財政上の危惧(きぐ)は少ないようです。
観光客でにぎわう京都の清水寺の近くにあり、2011(平成23)年3月に閉校した「京都市立 清水(きよみず)小学校」は、一等地という場所柄からでしょうか、跡地利用の検討にずいぶん年数がかかったようですが、結局、「由緒ある学校の貴重な建物を観光資源として活用する」という京都市の方針の下、2020(令和2)年3月に、高級ホテルに生まれ変わりました。
学校からホテルへという大規模な増改築工事が開始される直前に、私は、たまたま縁あって、清水小学校の建物内を見せていただく機会に恵まれました。1933(昭和8)年竣工のコンクリート造りの校舎です。内部には掲示板や卒業記念の壁画などが残っていて、時間が止まったかのような静寂の中に、かつての教育現場の熱い息吹を感じて、自分の母校ではないにもかかわらず、懐かしさを覚えました。
その時に撮影した写真は、公式のものではありませんが、清水小学校の「校舎」としては最後の写真ではないかと思います。
跡地と建物を継承した「ザ・ホテル青龍 京都清水」は、あいにくコロナ禍という厳しい状況下での新規オープンとなりましたが、本年4月、フォーブス・トラベルガイドのホテル部門で「4つ星」を取得しています。
(文化の日にちなんで)
(写真上)© 京都市立 清水小学校 校章
(写真上)© 清水小学校 校舎正面。地形を活かした、コの字型。宝塚歌劇の舞台の大階段のようです。
(写真上)© 校舎を見上げる。最上階のアーチ窓が美しい。
(写真上)© 屋上から見た校舎。
(写真上)© 屋上からの風景。八坂の塔が目の前。
(写真上)© 来客用玄関。小学校とは思えない重厚さと格式です。
(写真上)© 卒業記念の貼り絵の壁画。
(写真上)© 卒業記念の壁画。修学旅行先の「二見浦(ふたみがうら)」の光景のようですね。
(写真上)© 廊下。左右の柱に貼られた赤・青のシールは、子ども目線に合わせた「右側通行」の指示マークです。ここを何人の子どもたちが歩いたことでしょう。
(写真上)© 講堂入口の掲示板。校名を頭文字に織り込んだ「学校教育目標」です。
(写真上)© 講堂内1
(写真上)© 講堂内2
(写真上)© 講堂の舞台。
参考:京都市立清水小学校のホームページ(アーカイブ)
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