奥武蔵の風

31 一万円札も十円玉も平等

 天体ショーは、ワクワクするものですね。11月8日の皆既月食は、442年ぶりに「惑星食」と重なる特別な月食で、次回のチャンスは322年後などと聞くと、もうこれを見逃したら一生の後悔という気がして、私もこの目で見ました。

 昼間から雲一つない快晴でしたから、夕刻から始まった皆既月食は、近眼+老眼の私にも、肉眼(眼鏡)で美しく見えました。天王星が月の裏に隠れる「惑星食」までは無理でしたが、それでも、その時間に天王星食が起こっていると思うだけで、心が踊りました。

 後で知ったのですが、前回1580年の惑星食は、天王星ではなく「土星」だったとのこと、そして次回2344年の惑星食も「土星」なのだそうです。322年後の日本は、きっと「土星食と重なる764年ぶりの皆既月食!」に大いに沸き立つことでしょうね。それまで日本が持続可能で、当日は雨が降らないことを祈りたいと思います。

 ところで、めったに見られないものは、何をおいても見たくなるくせに、普段いつでも見られるものは、うかつに見過ごしている自分自身に、気づかされたこの1週間ほどでした。

 先日、夫婦で京都へ旅行し、宇治の平等院を訪れました。平安時代の創建から一度も消失(損壊)することなく今日に至っている国宝の「鳳凰堂」内部を拝観し、ご本尊の「阿弥陀如来」像を間近に拝めたことはありがたいことでした。

 その時のこと。「屋根の鳳凰は一万円札の裏面に印刷されています」というガイドさんの説明に、妻と私は思わず「そうなんだ」と顔を見合わせました。知らなかったからです。さすがに、その場でお札を取り出すことは控えましたが、なるほど一万円札の裏面の左側には、鳳凰が描かれています。

 帰宅後、日経新聞(11月4日 朝刊)に「さよなら福沢諭吉、現紙幣の製造終了、5千円、千円も」という記事が載(の)りました。政府が現行紙幣のデザインを変更すると発表したのは、2019年のことです。新紙幣の発行は 2024年度の予定だそうですが、本年9月に現行紙幣の製造(印刷)をすでに中止したことが判明した、という報道内容です。

 福沢諭吉の一万円札など、現行の紙幣が世に出たのは 2004年でした。ということは、私は、この18年間、一万円札の裏のデザインが鳳凰であることに、ずっと気づかずにいたのです。今回、平等院を訪ねなければ、おそらく全く気づかないまま、次の新紙幣を手にすることになったに違いありません。

 十円玉の表面のデザインが「平等院鳳凰堂」であることは以前から認識していましたが(コインは国名が刻印されている面が「表」です)、一万円札の裏のデザインも、同じ平等院の鳳凰であったとは!

 うかつでしたが、原因はどうやら、わが家にとって十円玉は身近でも一万円札は身近でなかったところにあるようです。

 

( 最後に、タイトルの「平等」は平等院のことですが、院がなくて気になる方は、どうかご自身で「院」の字を 院プットしてください。)

 

(写真上)© 平等院鳳凰堂1

(写真上)© 平等院鳳凰堂2

(写真上)© 正面向かって左の鳳凰 

(写真上)© 左右の鳳凰

(写真上)© 左下から地球の陰に隠れ始め、皆既月食直前のお月様

(写真上)© 地球の影が右上へ動き、皆既月食が終わって、左下から再び満月に向かうお月様(コンパクト・デジカメでは、これが精一杯でした)

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