海の物語・・ホームマリンアクアリュウム

海水魚飼育を中心に飼育方法や意見交換の場。小型水槽嗜好。ECOSYSTEM ECOMINIで挑戦中 

死滅回遊魚採集2018(といっても採集はしない) 円月島のサンゴ ほぼ壊滅状態

2018-07-23 20:08:24 | 死滅回遊魚採集

7月14日に白浜円月島のサンゴの状態を見に行ってきました。5月の臨海浦のサンゴは先般お知らせしましたように生き残ったものは20%ぐらいだったので円月島はどうかな?ということでした。

例年ならこの周辺は4月になると水温は23度ぐらいまで上昇しますが本年4月はこの周辺は黒潮の大蛇行で17度しかなかったのでした。7月になってやっと25度ぐらいでしたから3か月ほど後退したことになります。

(チョウチョウウオはいましたがクマノミは白浜ではほぼ全滅らしいです。トノサマダイの成魚が1匹見えたのはうれしかった。)

海の中の様子でしたが、結論的に言うとほぼ壊滅状態でした。あたかもギリシャ神話に出てくる醜いメヂューサの呪いにかけられたようにほとんどのサンゴは石になってしまったかのようでした。

(枝サンゴの一種が元気でおりました。まるでなんともなかったように成長していましたのでこれは研究の価値があります)

しかし上のように枝サンゴの一種はなんともなかったように生き生きと成長しているものもあればハナガササンゴは元気にポリプをのばし、コブサンゴ?ハマサンゴは低水温に強いのか大体が無事のようでした。生命はうまくできているものですね。

(昨年は活き活きとしたサンゴでしたが、今年は見るも無残な感じ。全部石のオブジェに)

(円月島の裏側はサンゴの水路だったのですが、いまは石のオブジェの記念館になってしまいました)

唯一期待をかけていた巨大なシコロサンゴ(上の画像左)でしたが、これもダメ。おそらくここまで成長するには10年以上かかったのではと思えますが・・・たった1年でアウトになるとは悲しい。

(上の写真で見る通り干潮時にはほんの50㎝ぐらいの水深でもサンゴがあったのです。)

 

イバラカンザシはなんの影響もなかったようできれいに鰓をだしていました。

(ハナガササンゴは元気にしていました。しかし半分溶けています。)

当分円月島に行く理由も見いだせず残念です。今年の夏にはもう一回臨海浦に行ってサンゴの様子を見に行きたいです。良い結果が出るとと良いのですが。

※季節回遊魚は黒潮蛇行のため白浜にはおりません。念のため。またこの周辺での生物採集は禁止となっています。

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生きよ!白浜のサンゴ達!(白浜サンゴ、寒波、壊滅、2017年)

2018-05-01 22:36:22 | 死滅回遊魚採集

生きよ!白浜のサンゴ達!(白浜サンゴ、寒波、壊滅、2017年)

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和歌山県の寒波によるサンゴの被害 その実態をこの目で見た!

2018-05-01 21:47:19 | 死滅回遊魚採集

先般お知らせしまたように昨年から本年2月にかけて黒潮の大蛇行と例年にない寒波の影響で和歌山県のサンゴ礁に相当数の被害が見られました。


しかし、過去の平均水温が17度ほどあっても雪の降る日もあれば寒い日が数週間続く日もあるわけで、生き残ったサンゴもあるのでは?という推測もありました。


そこで先日月末に白浜臨海浦のサンゴの様子をこの目で見にいきました。

月末で水温は17度でした。黒潮の流れが正常な年ですとすでに23度ほどあることからまだまだ寒い日が続いているわけです。

臨海浦には各種テーブル、枝、キクメイシ、シコロサンゴなどが定着していますのでどのサンゴが耐性があり、どのサンゴが脆弱なのかアクアリストとして非常に興味がありました。

(低水温に耐え切れず白化したキクメイシとおぼしきサンゴ)

(波打ち際に転がっていたサンゴ。これは死んでいます)

(白化して完全に死んだサンゴ。なにかの感染症を併発したのかも)

(生と死との運命の分かれ道。白いのは死んだサンゴ茶色いのは褐虫藻でなんとか乗り切ったサンゴ)


いつものエントリー場所から見た結果は

(全体)
・全体に干潮時1mぐらいの水深に生息の浅場のサンゴは壊滅状態。
・褐虫藻を豊富に蓄えているサンゴは死をまぬがれた。
・水温があまり変化がなく、干潮時でも2−3mの水深のある箇所のサンゴは死を免れた。

(種類別)
・岩にへばりつくキクメイシ類は全滅状態。
・エダサンゴ類が意外に善戦しており生き残ったものもかなり多い。
・優占種であるクシハダミドリイシ、エンタク、ニホンミドリイシはかなり厳しい。

(その他)

まだ水温が低いのでなんとも言えませんがソラスズメや他の小魚がほとんど見られませんでした。
カサゴ類は散見されました。まさに温帯の海域になってしまった感があります。

(大潮の干潮線からさらに2-3m沈んだところにあるサンゴは水温の変化があまりなく生き伸びた)

 

 

(褐虫藻を蓄えたサンゴは寒さを乗り切った可能性が強い)

 

(エンタクミドリイシ?これもやや深いところにへばりついて生き延びたサンゴ)

(枝サンゴはなぜか死んでいるものが少ないような気がした)


総合的に見ると死んだもの70%生き残ったもの30%ぐらいでしょうか?

一方で臨海浦のとなりにある塔島にはソフトコーラル群がありこちらは低水温に影響を受けず
全て元気に美しい真紅のポリプを伸ばしていました。

(搭島に多く生息するソフトコーラルのオオトゲトサカは低水温でもこのとおり非常に元気)

 

(オオトゲトサカとハードコーラルのコラボ。ハードコーラルの方もかなり大きくなっている)


ハードコーラルのみで見れば厳しい結果ですがサンゴはハードコーラルのみにあらず
ですのでソフトコーラルもこれから観察が必要です。

ソフトコーラルは低温には強いですが豪雨による海水の比重の変化に弱いのでこれも天候不順で
心配があります。

7月ごろになるともっとはっきりとした結果がでると思いますのでまた行ってみたいと思います。

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寒波による和歌山県のサンゴ被害 詳細

2018-04-12 21:37:04 | 死滅回遊魚採集

(円月島の外海。コブサンゴ?ハマサンゴ?がびっしり。2015年撮影)

https://www.env.go.jp/press/files/jp/108926.pdf

環境省と串本海中公園センターさんの調査で今回の大寒波による和歌山県のサンゴの被害の詳細がリリースされました。

中紀から南紀串本周辺までの広域の調査です。

これによると

・串本周辺は被害があったがおおよそ大丈夫

・白浜、田辺沖ノ島周辺の被害が甚大

しかし全体を見ると被害が少なかった箇所もあり結構サンゴ達が頑張った感があります。

優占種(勢力が一番強く他の種類を押しのけて成長する種類のこと)が美しいテーブルサンゴだっただけにショックが大きかったでしょうが優占種のクシハダミドリイシ、二ホンミドリイシだけがサンゴではなく、シコロサンゴ、キクメイシ、コブサンゴ、ハマサンゴなども多く種類は存在するので低温に強い種類は充分生き延びたとも言えます。

以下は図をわかりやすく書き直しました。

 

(円月島の外海のハードコーラル)

おどろいたことに中紀の 方杭 にもサンゴが存在するという調査もありサンゴはなかなかしぶとく生きています。

 

 

(搭島のオオトゲトサカの群生)

ハードコーラルだけがサンゴでなくソフトコーラルも気になるところです。ハードコーラルに比較してソフトコーラルは寒波に強いと思えますが見てみないとわかりません。

 

(四双島のタイドプールに生息するイボヤギ)

今年はその被害の実態を見に行きたいと思います。

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2018年死滅回遊魚採集(と言っても採集はしない) 今後の黒潮の流れ予測

2018-04-07 19:07:09 | 死滅回遊魚採集

 

(2017年6月の権現崎のテーブルサンゴ)

 

和歌山白浜周辺に在住の友達が知らせてくれましたが、串本を除くサンゴ群生は寒波のために残念ながら壊滅状態らしいです。

とくに2月に白浜の海が一部凍結する事態も発生しましたので、これはもうサンゴを抹殺するようなものと思っていましたが、悪い想像の方に現実も行ってしまいました。

紀伊民放の田辺湾の状況の記事です。

http://www.agara.co.jp/news/daily/?i=349944

それによるといつも行く白浜の権現崎や以前に行きました四双島も95%から100%死滅とされています。

 

 

現在日本付近を流れる黒潮の流れは回復しておらず大きく蛇行しています。これが通常ですと串本をかすめるように直進するのですが現在ははるか遠くに流れています。

上は黒潮ウオッチャーというサイトで見つけた5月末の予想ですが大蛇行を作っている冷水塊は居座り続ける見込みです。紀伊半島には少し歩み寄りますので夏には気温上昇と共にサンゴにとっては良い状況が戻ってくるのではないでしょうか?

サンゴは意外と生命力が強く、常常、黒潮の影響を受けているとはいえ浅場では冬には13~14度程度、あるいは10度ぐらいにもなるような状況で生きながらえているサンゴもあると思っていることから、夏には元気な姿を見せるサンゴもあるのではと期待を寄せています。

夏にシュノーケリングを計画していますのでこの目で確かめたいと思います。

死滅回遊魚採集家の皆さんには残念ながら良い成果がでないでしょう。

 

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死滅回遊魚採集2018(とはいっても採集はしない) 白浜のサンゴのSOS 

2018-02-05 21:14:44 | 死滅回遊魚採集

(円月島裏の外洋に面したテーブルサンゴです。)

南紀白浜は温暖で真冬でも通常海中の水温は17度程度あるとされます。

しかし本年は数年に1度の寒波襲来で先日は12.8度程度まで低下しました。これはサンゴにとって死活問題で生存できるギリギリの線と思えます。

(臨海浦の枝サンゴ 水深30cmぐらい)

白浜はひょっとしたら温泉地熱の影響で乗り切れる可能性はありますがみなべや印南周辺のサンゴはちょっと危ないかもしれません。

一度だめになるとまともに回復するのに数年はかかるのでその間はボロボロに白化したサンゴしか見れないとなると寂しいものです。

 

(臨海浦のシコロサンゴ?? 水深40㎝程度)

サンゴはデリケートな動物で微細なポリプの集合体です。水深が深いところは水温もそれほど変化がないので乗り切れるとは思いますが浅場のサンゴは外気の気温にさらされて容赦ない寒気の洗礼を受けてしまいます。

どうか頑張ってこの冬を乗り切ってほしいものです。

(搭島周辺のハナヤサイサンゴです。水深50㎝程度)

(タイドプールに生息するソフトコーラルとハードコーラル)

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死滅回遊魚採集2017(とはいっても採集しない)  白浜田尻鼻サンゴが白化!

2017-11-19 18:44:06 | 死滅回遊魚採集

今日はサンゴファンに悲しい知らせが。

 

いつも訪問する白浜の臨海浦田尻鼻周辺のサンゴ群生に異変が生じ大規模な白化現象が続いているらしいです。

 

(これは昨年私が撮影した臨海浦でのテーブルサンゴ)

(これも昨年私撮影した臨海浦でのテーブルサンゴ)

記事はこちら

 

毎日新聞のこちらにもあります

で確認ください。

 

白浜の臨海浦にはテーブルサンゴやいくつかの枝サンゴが群生しているエリアです。同じ白浜でも 白良浜横の権現崎 円月島周辺 臨海浦の三か所ぐらいしかサンゴの群生が見られません。これらのエリアでは視界に30~80%という高密度なサンゴが生息しており権現崎のエリアでは沖縄と変わらないほどの群生があるのです。

 

密度からいえば 権現崎>臨海浦田尻>円月島かと思います。ただしそれぞれのエリアに生息するサンゴの種類には幅があり、権現崎はクシハダミドリイシが占有しており、臨海浦はクシハダやエンタクキクメイシなど、円月島は枝サンゴ、浜サンゴ、シコロサンゴなどバラエティに飛んでいます。

 

今回の臨海浦のサンゴの白化については 今年は台風が少なく水がかき回されることが少なく夏の猛暑で水温が30度以上になった日が多かったからということらしいです。それからいえば水の流れが少ないような臨海浦より円月島の裏水路方がダメージを受けているのでは?と懸念されます。

しかしながら・・回復基調にもあるとの続報朗報が寄せられているのでこれからサンゴ達の努力を期待したいです。

QUOTE・・・・・・・・引用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今夏、和歌山県白浜町臨海の北浜海岸周辺で発生した大規模なサンゴの白化現象が回復していることが、海岸を管理する京都大学瀬戸臨海実験所の久保田信准教授(64)の調査で分かった。久保田准教授は「1カ月余りで回復に転じるとは思わなかった」と驚いている。

 久保田准教授は9月上旬の調査と対比しようと10月中旬、北浜海岸の第1岩礁を中心にした水深約1〜2メートルの海域をシュノーケリングで調べた。対象はサンゴ類とイソギンチャク類の計360群体。

 172群体と最も多いミドリイシ類は9月の調査で死滅状態に近い完全白化が45群体あったが、10月には3群体まで減り、9割以上が回復していた。キクメイシ類は全体の半分近くを占める40群体が完全白化していたが、95%が回復。ただ、イソギンチャク類は完全白化したままだった。

 久保田准教授は20年以上前から北浜海岸で定点観測を続けているが、今回のような大規模な白化現象は初めてという。「来年、暖かくなった頃に再調査して回復度合いを調べたい。このまま復活するのか、繰り返し白化がどのような率で起こるのか確認したい」と注目している。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

自然のなせることなのでどうしようもありませんが地球温暖化の一面が見えるのでしょう。

 

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死滅回遊魚採集2017(とはいっても採集しない)  印南町畑野崎

2017-09-25 19:10:39 | 死滅回遊魚採集

(洗濯板のような特殊な地層を持つ印南町畑野崎。季節回遊魚の採集メッカです。)

今年は昨年と異なり和歌山方面は死滅回遊魚の種類は少ないような気がします。

もちろんプロ級の採集家さんの手にかかればサザナミヤッコのようなものでもたやすく見つかるかもしれません。

ですが、台風と干潮時の時間が本年は重なり、思うように海に繰り出せなかったのも事実です。

とはいえ、私の中にうずまく疑問の解明は採集よりも明らかに高くなりましたので、その宿題から片付けようと思いました。

串本や白浜周辺にはハードコーラルが沢山ありすくすく育っています。白浜から北上して みなべ町 周辺も数は多くないけれど結構ハードコーラルはあります。

さらに北上すると一体どの周辺まであるのかふと思いました。

湯浅周辺にはソフトコーラルはあるかもしれませんが冬場は最低水温が13度ぐらいまで下がりますのでさすがに生育は無理。

御坊も少し怪しい。とすると印南町あたりが限界かと想像し、あるかないか調べに行ったのです。

場所は採集家のメッカである印南町の畑野崎で調べることにしました。

印南町は黒潮の影響をかなり受けており45年前の採集家の大御所S先生が一押しの採集場所でした。サザナミヤッコや各種チョウチョウウオ、ヤリカタギなどのレアものも採集できる夢のような場所です。ヤリカタギなどはサンゴがないと生きていけない種類ですからおそらくその周辺にはなんらかのサンゴがあるのではと思いました。

(先が白いのは成長している証拠です。かなり元気なエダサンゴです)

結論的には 予想通りありました。 しかし みなべ町 よりは確実に数は少ないです。

3m程度の水温の変化があまりない箇所に小群落を見つけた時は嬉しかったです。

(すこし外洋よりの潮通しの良いところはサンゴは好きな場所です。海藻にまじって生育しています。)

(良く探さないとありませんが枝サンゴはあります)

枝サンゴにはたいていポリプ食のチョウチョウウオが見え隠れするはずですが残念ながらその姿はありませんでした。

 

(映りは悪いですがニジハギが中央にいます)

(ネンブツダイの群れ。ひさびさ見ました)

(中央のベラはカノコベラとおぼしきレア種)

最後に見た魚類はフウライチョウチョウウオ、カゴカキダイやオヤビッチャなどのほかに珍しいところでカノコベラ(らしい)、ニジハギ、ミナミハコフグの成魚。トラウツボあたりでした。スズメダイはシコクスズメ、ハクセンスズメがおりました。ミヤコキセンスズメはおらなくてちょっと残念でした。  

 

 

 

 

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死滅回遊魚 2017年 (とはいっても採集はしない) 白浜権現崎のサンゴ大群生

2017-06-11 04:17:21 | 死滅回遊魚採集

2017年の初潜りは白浜の白良浜横権現崎のサンゴ大群生を見に行きました。

 

本年は水温が低く6月でも22度ぐらいしかありません。通常ですと黒潮の影響でおそらく24~25度ぐらいまで上がっているはずですが。

 

南紀白浜の白良浜は毎年何百万人もの人が訪問します。外国人も多いです。しかし、浜のすぐそばに沖縄に負けないサンゴの大群生があるとはほとんどの人が知りません。6月ですので家族連れも少なく駐車場も一日1000円と安かったです。これが7月になると一日3000円なんていいうアホなところもあるのです。これなどはいくらもうけとはいえ白浜の品格を落とすだけと思います。

白浜は亜熱帯のようですが温帯も混じっていますので6月ごろは海藻とサンゴの混在が美しいです。

 

ツノダシや各種チョウチョウウオは9月ごろにならないとそろいません。

 

水温が今年は16度ぐらいまで低下したはずですが耐寒性の強いサンゴは生きています。おそらく白浜の温泉の地熱も影響しているのかもしれません。

 

家族連れの人からウエットスーツ姿の私を見て「なにか採れました?」と聞かれたので「写真撮れました」と返答。ウエットスーツ=魚や貝採りという図式なんですね。だから密漁などと思われてしまうんでしょう。笑

 

白浜町もうまく観光資源にするといいと思いますがこのサンゴのある付近は潮の流れも速く死亡事故などが発生するとまた立ち入り禁止みたいなことになるから今のままが良いかもしれません。

 

 

 

 2017年初シュノーケリング南紀白浜権現崎のサンゴ大群生を見る(和歌山県西牟婁郡白浜町・サンゴ・シュノーケリング・ダイビング)

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死滅回遊魚 2017年 (とはいっても採集はしない)

2017-05-09 20:56:45 | 死滅回遊魚採集

死滅回遊魚 2017年 (とはいっても採集はしない)


このごろは死滅回遊魚などを追う気力もないし、2014年から2016年にかけて和歌山の海で色々な魚や
サンゴを観察したので一応終了してもよいぐらいだと思います。

いつも言いますように日本の海で採集できる熱帯魚の種類は大体限られており、たとえば日本近海でアズファ
ーエンゼルやフレンチなどがとれるわけではありません。ソメワケヤッコも串本にいるらしいし、ナメラヤッコは円月島で確認しています。いずれにせよ採集禁止区域でもあるし、かりに行っても採集は困難を極めるので採集など思いもつきません。それらはSHOPで1000円ぐらいで買えるので採集は不要です。



何時もいく和歌山の南紀は真冬でも水温は17度程度あり、もはや死滅回遊とならず臨海浦でみたスミツキ
トノサマダイなどはゆうに5cmぐらいの成魚も見ていましたので定着魚なのかもしれません。

本年は串本や円月島も行きますが、なにもサンゴ海域だけが海でないので基本に帰って御坊とか湯浅などの海を
月替わりに変えて行ってみるのも面白いと思いました。


内湾の御坊や湯浅などにツノダシが流れ着いていると面白いだろうし、潮間帯にソフトコーラルが御坊周辺
で見たのも覚えていますのでまた確かめたいところです。

串本についてはこちらは世界的に有名なサンゴスポットで、昨年は田子の海を7月に撮影しました。まだ十分に回遊魚が流れていない時期でしたので本年は8月〜10月上旬に訪問してみたいです。きっと驚きの熱帯魚がうようよいると思います。

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すばらしき和歌山の海 エッセー 第十章(最終章) 白浜権現崎周辺  ~そして熊楠の海~

2016-11-11 21:03:16 | 死滅回遊魚採集

10章(最終章) 白浜権現崎周辺  ~そして熊楠の海~

  

過去の章でも述べたが、若い時からダイビングをしていれば体力もあり慣れているから大丈夫なのだろうが還暦にもなるとスキンダイビングでも疲労が激しい。スキューバ―ダイビングの取得はあきらめてスキンダイビングでも楽しめるポイントが年齢にふさわしいと思うようになってきた。スクーバにすると水深10mとか20mとか降下していくので、特に魚類は相当数な種類が見れ、本来ならば望ましい。しかし危険はつきまとい深度が高い水中から一気に浮上してしまうと潜水病になり大変なことになる。これから身の安全を考えるとスキンダイビングの方が格段安全のように思えるのである。

 

さて、和歌山大学の学生さんが制作した「白浜サンゴマップ」によると白浜地区の海岸でもっともサンゴの大群生が見られるのは白良浜の右側堤防から100m程度離れた沖合の場所とされる。串本海洋センターの学術レポートでも白浜四双島・田辺湾沖ノ島そしてこの周辺は大群生がある、と報告されていた。水深は5m程度でこれならばスキンダイビングで充分であった。

 

ネットで白浜の魅力を発信されているハンドルネームchurashiraraさんの美しい写真のレポートでもその大群生の様子が撮影されておりその周辺はすばらしい景観が広がっているのを見て大変な興味をいだいた。

 

是非いかねば!と思い立った。奈良から180kmのポイントに行くのだ。

 

ポイントは白良浜のすぐ隣に位置しているので駐車場が大変である。夏になるとこの時とばかり民間の駐車場も大動員し海岸通りは駐車場呼び込みのお祭り騒ぎになる。

あきれるのはシーズンとはいえ1日3000円もぼったくる箇所もあり、私が権現崎のために駐車した箇所も4時間で2000円支払ったのには全く閉口した。臨海浦周辺は一日1000円ほどで比較すると一体知名度とはいえ白良浜がそれほどのブランド力があるのかどうか疑わしい。またガソリンスタンドも20%程度市街地より高い価格になっており冬は温泉、夏は海水浴で白浜は大変潤っているのではと勘繰りたくなるのである。

 

愚痴はさておき3人用のサンシェードテントを白良浜に備え付け、同行してもらった知人はやや高齢なのでそこでアイスボックスに色々な食べ物があるから好き放題にたべてもらい海を眺めて留守番をしてもらった。

 


白良浜は人出が多いことからライフガードや救急テントなども完備され安心の海水浴場である。海岸に備え付けられたスピーカーからは権現崎の岩場の方には行かないようにと何度も海水浴客に呼びかけていた。たしかにサンゴの群生する箇所は潮流が速くそのためサンゴも良く育っているのだが、何も知らない海水浴客が知らず知らずのうちに流されたり足がつかないところで痙攣を起こし溺れたりを考えれば警告は妥当かもしれない。かといって、白良浜の100万単位の人出でちょっと100m先の沖合に沖縄に負けない大サンゴ群生があるとは知らずに家に帰っていってしまうのはレジャーとしても大変おしいと思うのである。

 

さて、権現崎の堤防の岩場を慎重に降り、海中にエントリーする。

 

しばらくは岩の景観が続いていたがある箇所から急にテーブルサンゴが群生するエリアが出現した。

 

 

ほとんどがクシハダミドリイシで覆われていたが良く見るとエンタクミドリイシや日本ミドリイシも成長しておりその合間にキクメイシなども張り付いているという写真で見る沖縄のような景色が続いていた。ウエットスーツを着用していたので浮力はあり、やや楽であるが周辺は水深3-5mぐらいある箇所なのでサーフィンボードのようにつかまって休憩できるような物がなければ「とりつく島もない」ということわざ通りの状態になってしまい初心者では危険である。おまけに潮流が速くフィンを付けていても潮流に逆行する推進ではほどんど加速せずこれまた具合が悪い。

 

しかし群生の景色は見事であった。

 

クシハダミドリイシが優占するこのエリアはクシハダ王国を築きあげており長い年月をかけて同じサンゴ族の競争に打ち勝った結果である。そのほかのサンゴは遺伝子上で低水温に耐えられずその競争に敗れそのエリアから去ってゆく。あるいはサンゴ同士がポリプを延ばし、溶解合戦の激しい戦いで敗れたサンゴも多いはずである。静かではあるがその熾烈な競争を知ることができる。

 

水中は青い世界でその色彩に吸い込まれるようであった。

サンゴ群生が視界の奥深く広がっているのを見れば、それがひょっとすると宇宙全体につながっているのではないかと錯覚を起こすほどの空間美に魅惑される。

さしずめその間をスイスイ泳ぐチョウチョウウオは星間連絡宇宙船のようで、水中では動きの鈍い私をあっさりと置いてゆくのであった。

 

海中から顔を出し周りの景色をみると遠くに円月島や南方熊楠翁の記念館も見える。

そうそう今日も南方熊楠翁は観察フェチな私をまた見つけてくださっただろうか?

「おぅ!またきたんけ?今度はそっちの方かい?」と。

 

和歌山がうみし神童、南方熊楠翁の輝かしいエピソードを最後に私からも僭越ながらご紹介したい。

 

今はもうご逝去された昭和天皇は生物学の権威であり、その深い探求心から日本でも稀有なこの田辺周辺の粘菌類について熊楠翁に進講をお望みになられた。

時に1929年昭和4年であった。

当時のお役所はちょっと変わった熊楠翁に警戒し、他の人物にその役をになってもらおうとしたが、天皇陛下は是非熊楠にと指名されたのだった。お役人の目論見はもろくも崩された。

いつも裸で暮らしていた熊楠翁はこのときは紋付羽織袴で半時間にわたり熱心に天皇に説明され、お土産にキャラメル箱に珍しい粘菌類を入れ天皇に献上された。

天皇陛下は研究家として通じるなにかがあったのか、あるいは意表を突くキャラメル箱が痛く気に入っておられたのか、その後熊楠が昭和16年になくなったが、21年後の昭和37年に昭和天皇は白浜を行幸された。その際に亡くなった熊楠翁をいつくしみ、

 

「雨にけぶる 神島を見て 紀伊の国の 生みし南方熊楠を思ふ」

 

とお詠いになった。民間人の名前を挙げてお詠いになったのはあとにも先にもこれが初めてだったという。

 

10章にわたる和歌山の海のエッセーはこれでおしまいとする。長らく拙いエッセーをご覧いただいた皆様に感謝するとともに、その間海難事故もなくやってこれたのは 南方熊楠翁 がひょっとしていつも守ってくださったのではないかと私の勝手な想像であるが翁に深い敬意と感謝の念を抱くのである。

 

和歌山のすばらしい海。美しい海岸。皆が愛でる海。

 

これを僭越ながらこれからの未来の世代に受けついで欲しいと願い、筆をおくこととします。 完

                 

 

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すばらしき和歌山の海 エッセー 第九章 湯浅栖原海岸 ~これこそスタンダードな日本の海~

2016-11-05 06:00:30 | 死滅回遊魚採集

すばらしき和歌山の海 エッセー 第九章 湯浅栖原海岸 〜これこそスタンダードな日本の海〜



江戸時代にみかん販売で紀州に金字塔を打ち立てた紀国屋文左衛門は今の湯浅周辺にその伝統を残し、地域の皆様が継いでいる。みかんを召し上がらない方もいらっしゃるとは思うが奈良に住んでいる私は季節になると有田市の「ありだっこ」まで買いに行く。そろそろミカンのシーズンになるので大変楽しみである。

和歌山県のみかんは日本でも出荷量は1位であり、歴史的に地域の皆様が改良を重ね、作出した名産品である。他府県産と比較してもその甘さと出来栄えの良さは群を抜き、特に有田のみかんは同じ県内の紀北のみかんと比較しても甘く、私の好みから言えばやはり有田のみかんが好きである。基本的にみかんは温暖な所でないと良く育たないという。和歌山の湯浅、有田の周辺は海に近く海も若干黒潮の暖流を受けているので冬は比較的暖かい。

 

和歌山県の橋本市に在住していた知人によると湯浅は温暖で、かつ、大阪方面からは電車の本数も多く大変住みよい街であり、密かに人気が沸騰している町と聞いた。和歌山で現職をリタイヤした人はこの湯浅界隈で住みたいと思う人が多いらしい。関東の湘南地区と比べようがないが、海が内湾で穏やかな風情が漂う雰囲気と、醤油のふるさとでもあり、海岸に沈む夕日を見ると湯浅、有田地区の評価はもっと高くなっても良いと思っている。

 

そこで、今回はみかんの里 湯浅・有田 栖原海岸のことを。


小学校のころ友達が夏休みに「あのな、湯浅の海を水中眼鏡でのぞくとでかい魚がいよった。目の前を一杯泳いで行きよるんや。」と目を輝かせて言っていたのを今になっても覚えており、色々ネットで調べたがこの湯浅の水中映像は実に少なかった。そのためいつか海の中にカメラを入れてやろうと思っていた。

湯浅は紀州で言えば中紀にあたる。まわりは内湾の海岸線に取り巻かれておりプライベートビーチ的な海水浴場もいくつか存在する。ただし前述のように黒潮の影響度は南紀から比較すると少ないのでサンゴ類はないと言って良い。(と思う)

グーグルで見ると湯浅は栖原海岸あたりがきれいで岩浜のような感じになっているのでここで撮影するのが良いかと思った。海岸に「栖原シーサイドハウス」さんというカヤックの専門店でレンタルや海の家も運営しておられるお店があるのでバイクで訪問し海の家としてお世話になった。



お店のご主人に話を聞くと沖合に見える刈藻島までは岸から3kmほどあるという。もっと近いかと思っていたがかなり遠い。しかしカヤックで行けば1時間もかからないらしく機会があればカヤックも乗ってみてくださいと勧められた。カヤックはまたの機会でお願いし今回は水中撮影なのでよろしくというとご主人はにこやかに気に入ったらまた来てくださいとおっしゃった。

さて、岩場の方に出向き水中にエントリーする。


 


海中はサンゴは皆無である。しかしサンゴは通常日本の海にはなのが当たり前であり、これが日本の海のスタンダードである。サンゴはないがホンダワラやウミウチワなどの海藻類は豊富で岩肌にへばりついている。結構透明度は産湯海岸ほどではないが高い方である。


その景観は海の草原のようでサンゴにはない独特の美しさがある。温帯の海の定番である。メジナ、クロダイ、二ザダイ、カゴカキダイ、カサゴ類、イトマキヒトデ、そして流れ着いたチョウチョウウオなども見られ肩の凝らないごく普通の海が広がっていた。



目の前にタコクラゲの赤ちゃんが必死で泳いでいた。タコクラゲは内湾性のクラゲで刺胞毒はない。観賞用としても販売されているが高価なものだ。しかし採ってやろうという気はさらさらなく傘を必死で動かし生きるけなげな姿に感動を受ける。



海岸には同じようにシュノ−リングを楽しむ人々も散見され良くみると銛でタコを捕獲していた。ここは採集して良いところなのかどうかわからなかったのでそのままやり過ごしたがタコなども個体は減少しているだろうから採るのは好ましくないかもしれない。

でも捕獲したタコを塩ゆでして酢につけてキュウリモミにするとさぞかしおいしかろうとうらやましくも思え、今年の冬もみかんが豊作でありますようにと海に祈って帰途についた。


(湯浅栖原海岸の章 終)

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すばらしき和歌山の海 エッセー 第八章 串本田子周辺 ~野生が吠えるこの光景~

2016-10-30 03:32:04 | 死滅回遊魚採集

すばらしき和歌山の海 第8章       串本田子周辺 ~野生が吠えるこの光景~

 

 毎年、夏になると高校野球の話が盛り上がる。夏=高校野球と思っている皆様も大勢いらっしゃると思う。私は高校時代は関東の某私立野球学校に通っていた。野球部には入っていなかったが、在校生は野球部を応援しその熱の入れ方がちょっと尋常でないほどだった。応援期間中に友達が八丈島に遊びに行っているとその担任の先生がわざわざ八丈島に電話し「野球の応援があるのを忘れたのか!すぐに帰ってこい!帰ってこないならば退学処分だ!」と恫喝して泣く泣く、島に着いてしばらくして帰らざるを得なくなった気の毒な友達がいたので高校野球の応援はそんなに重要なもんかいと冷めた目でいつも見ていた。

 

個人的な感想で恐縮だが有名私立高校が選手をスカウトし優勝を独占するのはいかがなものかと思う。奈良県や和歌山も名指しはしないが有名高校が勢ぞろいのステレオタイプの面々で争う。球児たちには何の責任もなく頑張っているのでそれは大いに頑張ってほしいが、その取り巻き利権を勘繰りたくなるので、そのようなものは、もうやめてほしいと私は思う。2016年は和歌山県で言えば市立和歌山高校が善戦し惜しくも敗れたが一般の公立高校が甲子園に出場したのは新鮮で快挙であると感じた。

 

野球応援で奏でられる応援テーマ曲は結構印象に残っているものだ。この頃はその好んで用いる曲があるようで「軍艦マーチ」や「錨を上げて」などはもう古い。今は力強くしゃれた曲が好まれている。私のつたない動画は商用目的ではなく個人で楽しむ程度のものなのでネットから曲をお借りすることが多い。白浜は「スリーピーラグーン」がいいかとか、出かける時は「ファイナルファンタジー」の元気の良いテーマなども使わせていただいていた。

 

さて、串本田子を訪問し動画を作成した時はその圧倒的なサンゴのパワーを目のあたりにし、もうしゃれた柔らかい曲などは全く不釣り合いではないかと痛感した。テーマは「野生」ではないかと脳裏を駆け巡った。BGMは高校野球の応援曲アフリカンシンフォニーがBESTと感じた。

 

串本海洋公園に行かなくてもサンゴ大群生が見れるとフェイスブックでつながていた串本周辺にお住いのKさんからの事前情報を得、午前5時に奈良を出発、奈良から230kmはなれた現地についたのは9時30分を過ぎていた。沖300mぐらいのところに双島という無人島がありその手前の磯がサンゴ大群生なのである。ここは3月に串本潮岬にトルコ記念館を訪問した際に車を止めて休憩した。その際浜の砂はほとんどがサンゴ砂であったのに驚いていた。

 

 

7月の訪問であったが水深1mに満たないところにエダサンゴの大群生が広がり、条件がそろえばあれほどにも生命の極限のエネルギーを放出するパワーがサンゴにはあるのかと感心した。

 

良く見ると太陽光が良く届き、潮流の激しい条件の良い場所ではサンゴが競い合って場所を占有していた。サンゴは生き物と思っている人は意外に少ない。大抵は海藻の種類と思っている人が多く、中には純然と石の造形物だと信じ込んでいる人もいた。

まさか小さなポリプの動物が攻撃し合って戦争を引き起こし、勝ち負けの世界で生きているとは通常は思わないだろう。このエリアでは枝サンゴの一種が勢力をしめており、他のサンゴを寄せ付けていなかった。他にはクシハダミドリイシやハマサンゴ、キクメイシなどが優占しており全くの異次元空間である。魚は思ったほど多くなく、クマノミが威嚇してとびかかってきた。

 

双島まではサンゴ群生から水深5mぐらいの箇所を約300m程度進むと上陸できるのでちょっと頑張って双島まで泳いで上陸した。結構広い無人島で裏側にもスポットがあるのだろうが帰りのエネルギーを保持しておかないとこの歳ではえらい目にあうだろうからうろうろはしなかった。

 

しかしそのえらい目の予想は的中したのである。

 

島から帰ろうと岸辺を見ると随分と遠い。たった300mぐらいなのだがはるか遠くに岸辺があるように感じた。直感的にやばいと思った。ぐずぐすしていると潮目もかわるかもしれないからとさっさと岸辺の方にフィンをつけて引き返した。ところが潮の流れはどうやら、やや島の方に向いているようでフィンの力をもってしてもなかなか進まないのである。

進んでいると潮に流され、目指す方向から軸線が50mほどずれているのもわかった。最短ルートを再確認したが体力が持たないかもしれない。ここは中間地点にある岩礁を目指しそこで休憩をとり再出発した方が良いと判断した。その岩礁に行きついたが結構波もありシュノーケルに水が入り勢い海水を飲み込みせき込んだ。苦しかった。このようなシチュエーションで初心者は溺れるのかもれない。

 

再度冷静に考えて潮の流れる方向に進みながら岸辺に向かう作戦に切り替え、距離は遠くなってもその方が若干楽であろうと計算しゆっくりと進んだ。時間がかかったがなんとか無事に岸辺についた。

 

サンゴの野生もさることながら海の野生も容赦なく私に牙をむき、ひさびさ怖い思いをした。美しいものにはトゲがある。そのトゲに触らないように美しいものを見るにはまだまだ経験が必要とこの海は教えてくれたのである。

 

(串本田子周辺の章 終)

 ※エッセーは10章までで、週1回掲載させていただいております。次回は「湯浅栖原海岸」です。

 

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すばらしき和歌山の海エッセー 第七章みなべ町目津崎・小目津崎 ~淘汰という名の列車~

2016-10-22 06:58:35 | 死滅回遊魚採集

第七章 みなべ町目津崎・小目津崎周辺  ~淘汰と言う名の列車~

 

 

 

中学時代の私は勉強が嫌いで釣りやら採集やらで一日中遊びほうけていた。

通学学区は関東の湘南地区でも有名県立高校を虎視眈々とねらうエリートで固められていたので実に肩身の狭い思いをし、私は猛禽に狙われる小鳥のごとくいつもおびえて暮らしていた。

 

ある日私は夕餉の食卓を準備する母親から言われた。

 

夕餉の食事を用意する母親は要注意で、食事の用意をするという女性の日課は誰にとっても嫌なものらしい。ついつい機嫌が悪くなるというのは経験則で知っていた。

 

このときの愚痴ほど恐ろしいものはないのである。

 

「あんた、この前の学期末のテスト結果出てるやろ。学校の廊下に上位50番まで張り出してあるらしいやないの。当然入っていないやろ。もっとしっかり勉強せんと高校行かれへんよ!」

 

「当然入っていないやろ」というのは言い過ぎやろ。もっと息子を励ますような言い回しないんかい!50番以内やないと行かれへんのかい!世の中競争やなと思った。その時はうぶであったので、後々その競争の結果「淘汰される」というフレーズを覚え、自然淘汰 という言葉をこの母親のきつい1発で教えてもらったのである。

 

自然界の淘汰はおそらく人間よりも非情で厳しいものがあると感じる。私の勉強のできの悪さなど生命をかけるほどでないが弱肉強食の自然界では淘汰され弱いものは死に至る。

 

しかし強いものはその合間をかいくづって必死に生きようとする。私はそれを和歌山のみなべ町に生息するサンゴ類にまじかに見た。そのサンゴこそはエリート中のエリートで自然淘汰という競争の中で生きぬいた特殊工作部隊のサンゴであると思うのである。

 

みなべ町は白浜から約15~20km北側である。黒潮の影響を受けてはいるが串本 白浜ほどでない。黒潮で白浜の海水温は真冬でも17度ぐらいらしいが場合によっては15度ぐらいにはなるかもしれない。そうなるとサンゴ類には非常に厳しい環境になる。20度以下でちょうど冬眠状態になったサンゴでも13度ぐらいになるともう生きて行けず死に至る。みなべ町付近はサンゴの生育にとって非常に厳しいものがあるのだ。

それゆえ冬には13度以下になる中紀の湯浅、御坊あたりではハードコーラルは見られないのである、

 

 

地球温暖化で海水温の上昇と言う現象が今日見られるが白浜のハードコーラルの分布状況をみるとおそらくみなべ町あたりがサンゴ分布の北限ではないかと想像するのである。白浜はひょっとすると温泉の地熱の恩恵をサンゴは受けているかもしれない。でもさすがにみなべ周辺ではその恩恵を浴せないのではと憂える。その極限で健気に生きるサンゴには同じサンゴでも人一倍応援したい気持ちが出るのだ。

 

 

串本海中センターの報告によるとみなべ町も目津崎の沖合に若い群生がそだっているというレポートが見られた。目津崎の沖合はかなり深く、釣り人がアオリイカを求めて「カンス」と呼ばれる岩礁より沖の海中らしい。水深がありシュノーケリングでは正直厳しい。だが、サンゴの生育条件から考えると潮流が速く、日当たりの良い浅場を好むはずなのでカンス岩礁の手前や小目津崎にもきっとみられるはずだという信念を抱いた。

 

とりあえずバイクでエントリー場所を偵察しその後シュノーケリング器材をもって臨むことにした。

 

バイクで訪問した時はまだ5月であり海中を見ると温帯の海域の様子が色濃い感じであった。つまり海藻類が多く、貧栄養塩水ではあるものの御坊三尾海岸とあまり変わりがない。

しかし周りの景観が良く砂浜もあり小目津崎は手前に広大な公園があるのでファミリー向けとなっている点が大変好感を持てた。本当に美しい静かな海岸であった。

 

さて、その後は6月と7月に二回に分けて訪問し6月はカンス岩場の周辺で7月は小目津崎の周辺で調査した。6月のカンス岩場の手前は海底は砂利まじりの岩礁地帯である。しかしこの周辺はあまり人が来ないからかタイドプールも荒らされた雰囲気はなくヌメリトサカやハマサンゴ、健気に生きる日本ケヤリムシも見られた。

 

6月の曇りまじりの空であったが海中の中はすでに熱帯のにおいを発しており、岩壁にオオトゲトサカやサンゴイソギンチャクを従えて私を向かい入れてくれた。

その岩肌と海底には私の推測したとおりサンゴの若い芽が散見された。中にはそれなりに成長し円月島で見たような立派な個体も見つかりその生命の強さにただただ驚くばかりであった。

 

一方で7月の小目津崎の訪問ではサンゴの個体とそろそろ黒潮に流れてやってくる魚達のパレードが見られるはずだと推測したがちょっと時期が早かったかもしれなかった。しかしはじめて野生でニジハギの幼魚を見れたのでそれなりの成果はあったように思う。

 

みなべ町には淘汰と言う名の列車が黒潮によって運行される。

しかしその乗客のサンゴ達は条件にかみ合わずほとんど淘汰され死に絶えてゆく。

 

遠い南の国のサンゴの王国からの使者として海で自分たちの王国を築く健気な珊瑚達に何もできない我々であるが、人間が採取して自分のものにしようとせず、その儚い命をそっと見つめてやってほしいと私は切に願う。

 

そしてその王国完成の暁には地域の子供たちが英知を絞り彼らを大事に育て、他府県からの訪問者にも自慢できるような海に育ててくれたら申し分ないと大いなる期待を抱くのである。

 

(みなべ町の章 終)

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すばらしき和歌山の海 エッセー 第六章 白浜円月島 ~お土産物だけでは勿体ない~

2016-10-16 05:32:23 | 死滅回遊魚採集

すばらしき円月島周辺      お土産物だけではもったいない

(干潮時の円月島周辺の岩礁。満潮時はすべて海面下に没する)



永年家内と寄り添って生きていると色々な発見があり面白いが、先般円月島に行ったときに家内の性格の一面が表れて面白かった。ご存知の方もあると思うが、円月島の周辺の岩礁は良く潮の引いた干潮時でしか渡れない。先般訪問した時は潮が十分引いておらず、岩沿いにそって進もうとすると、半ズボンであったが波の直撃を受け、そのあおりで蛸壺タイドプールに見事落下。ずぶぬれになった。これに懲りて家内には具体的にあそこを渡ると俺と同じ運命に会うから潮がひざのくるぶしまで水につかるが、あの岩沿いにつたってくると安全だ。と自分の痛い経験を味わせたくないので提案した。

「大丈夫よ。」
「いや大丈夫なことはない!波が引いた時の力はすごいぞ! 転んで海底イノブタになるど!」と
「まぁ!失礼ね!あなたがどんくさいだけよ」

と見ていてハラハラしたが波がぐぐと引いた瞬間を見計らってイノブタが、いや、うちの奥さんが、ひらりとお尻を反転させスルスルと向こう側の岩にいとも簡単にわたってしまったのである。波がその瞬間ゴゴ―と押し寄せ間一髪だった。

「おぬしやるなぁ!君の意外な技を見た。」
女性は大胆と聞いているが本当にそのようだと思った。時代劇のくの一忍者はこのようにして活躍したのだろうとふと考えた。


(円月島の裏側から空洞を見たら・・・こんな感じ)


さて、家内の意外な技を陸上で見たが、今年2016年は円月島の裏側で死滅回遊魚の意外な乱舞の技を見せてもらった。

南紀白浜円月島は白浜のシンボルであり、白浜温泉=円月島である。まんなかが空洞のそのちょっとユーモラスな感じの景観は一度見たらまず忘れられない。各種おみやげ品には円月島のスタンプやら饅頭の図柄やら湯呑やら 円月島 円月島 のオンパレードでひょっとしたら市川雷蔵の眠狂四郎の円月殺法はこの円月島からとったのかともいらぬ想像をした。

 

円月島の周りには温かい黒潮が流れてきており冬でも17度ぐらいあるらしい。また知らないが白浜温泉の地熱の影響を受けているのか海底には部分的にサンゴが育っている。とくに円月島裏側のエリアは串本ほどではないがかなりのサンゴ類がみられ、シュノーケリングに最適なスポットとなっている。


(裏側外洋に面するエリア。ここは潮の流れははやい)

シコロサンゴ、クシハダミドリイシ、エダサンゴ、キクメイシ各種、ハナガササンゴ、ニホンミドリイシ、オヤユビサンゴSPなど大群生ではないがところどころに「私を見てね」といわんばかりにうまく配列されて生きている。

(外洋に面するエリアではサンゴの発達が顕著 視界50%以上のサンゴである)

魚の方は2016年の訪問は観察の当たり年で、エダサンゴの周りには定番のチョウチョウウオ類の他にポリプを食して生活するためサンゴの周りでしか生活しないスミツキトノサマダイ、トノサマダイ、ヤリカタギ、その他ヒレナガハギ、ムスメベラ、ヤマブキべラなどが乱舞しておりこれは臨海浦より浅瀬でみられたのでかなり楽に観察できた。(採取は禁止です)ポリプ食のチョウチョウウオ科の各種は美しくも可憐で、とにかく臆病なものが多く、なかなかおめにかかれない。日本の海域でも沖縄を除けばごく限られたところでしか見れないのでこれを見ただけでも十分な価値がある。

 

(白浜ではクマノミが見られる。採集などもってのほか)


後の章で述べる串本周辺はサンゴ類やその群生のレベルでは白浜の比較ならないほど高く、サンゴを見るなら文句なく世界的な「kushimoto」であるが私の住む奈良からや大阪からでもかなり遠く、宿泊しないと疲労が激しい。その点白浜は串本より近く、サンゴ類やレアもの魚類を見れ、日帰り圏内でも楽しめるので時間とコスト的には軍配が上がるのではないかと思う。また家族で来るなら日帰り温泉やアドベンチャーランド、水族館など周辺施設には事欠かず皆がまず退屈しない。白浜は訪問スポットとしてはすばらしいと痛感するのである

 

昼近くになり、撮影は終わったので休息していると東京方面からなのか小型ジェットが円月島の真上を轟音を轟かし低空飛行で通過していった。

「あのジェット機からだと上空から景色のいい円月島見えてええよなぁ。」

「私も乗ってみたいわ」と家内。
お茶を飲みながらしばし静かで美しい時間が過ぎて行った。

       (円月島の周りにはタコツボのようなタイドプールが多数ある。そこには魚が取り残されている)

 

下を見るとその近くに私が見事墜落したタコツボタイドプールがあった。タコツボタイドプールにうちの奥さんがはまっていたらどうなっただろうかとぼんやりと考えていた。

「あなた助けて!」と絶叫するだろうか?(いやだよ と言い返すか?)

それとも

「こんな磯に行くのがいけないのよ!」と文句をいうのだろうか?(そういうだろうと思う。)

それとも意外と

「落ちたついでのあなた私にもシュノーケリング教えてよ」というのだろうか?(ありえない。)

 

現実は家内が岩渡りに失敗して転んでタコツボタイドプールに入っていても水戸黄門の風呂のシーンの某女優みたいな色気はないがネットの動画で 「タコツボに泳ぐイノブタ」 と配信するとお笑いのネタになり月1万回以上の視聴をとれるのではなかったかと一寸惜しい気がした。

さて、こう書いていると、夕刻に「あなたご飯よ」とうちの奥さんの呼ぶ声がする。

あら?テーブルを見るとおかずがちょっと減ってメザシしか並んでいないじゃないか!

この変な想像をもキャッチする特殊能力をうちの忍者のような身軽な家内は円月島から学んだのかと、恐ろしいやらおかしいやらで円月島の章を終了いたします。

 

(円月島の章 終わり)

※エッセーは1週間に一度の割合で掲載させていただいております。次回は第七章 みなべ町目津崎、小目津崎周辺です。

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