すばらしき和歌山の海 2016年総集編 (シュノーケリング 白浜 串本 湯浅 みなべ町)
第五章 南紀白浜臨海浦・塔島周辺 ~当たりはずれのカリガリ君の海~
暑い 暑い。2016年の夏は本当に暑かった。
アイスクリームの類は自分から買って食べるようなことは歳が歳だけにこのごろしなくなった。しかし時折安いしおいしいから 冷菓では カリガリ君をたまに買う。カリガリ君はたまに当たりがあって、バーに当たりが出たらもう1本くれるらしい。残念ながら当たったことはない。入荷の一箱に数本それが入っているらしいが数本などといわずに20~30%程度入れとけば良く当たると・・もっと評判が出て売れるのにつくづく商売下手やなと思う。おまけに冷菓などはハーゲンダッツならいざしれずカリガリ君の原価などは5円にもならないのとちゃうか?もっと当たり入れんかいと思ってしまう。
冗談はさておき、当たりはずれの事象というのはよくある話だ。死滅回遊魚採集にも実は当たり年とそうでない年の話題が出る。主に黒潮の流れによる影響で、今年は死滅回遊魚の当たりの年とかはずれの年とかである。
和歌山の海もここ3年にわたり観察してきたがどうやら当たりはずれの年があるようである。この章の臨海浦の海もそのようであった。
和歌山大学の学生さんのグループの研究成果に「白浜サンゴマップ」という作品がありこれには白浜地区のサンゴ群生の密度がかなり正確に記されている。実にすばらしい研究成果なので是非皆様もご覧になると良いと思う。
それによるとこの臨海浦の田尻の鼻の先にはかなり大きな群生エリアがあると記されており写真も掲載されていた。また、ポリプ食のチョウチョウウオが写っていたのでこれは珍しいと勇み足で訪問した。
臨海浦は生物相の多い岩礁地帯でこれは直感的に感じた。それゆえ2014年から2016年まで通算6回ほど通っている。2014年5月の臨海浦の水景はハードコーラルをはじめて見たこともあり実に感動した。
これなら8月はきっとすごいだろうと期待していたが、サンゴはあるにしろレアものの魚類は見当たらずちょっとがっかりした。この年ははずれ年であった。昨年2015年も同じようにレア物はみあたらず連続がっかりで、ここの海はカリガリ君の当たりくじみたいで当たらない海なのかもとあきらめかけていた。頭の中で オールドブルースの歌詞「諦めましょう 諦めましょう 私はひぃとおおおりぃ ~ 」と歌って2014年と2015年は海を後にしたのであった。
さて、2016年の夏がやって来、今回は塔島周辺も周り撮影したが1回目の訪問では水中カメラが水没し一瞬にして壊れてしまい、サブで持って行ったカメラも電磁障害で役立たず。その不運とは裏腹に2016年はレアもの死滅回遊魚があちらこちらに見られ久々カリガリ君のあたりを連続で当たったような気分になった。
カリガリ君の種類には ぶどう味とかソーダ味とか梨味とかいろいろあったように思うがこの臨海浦のレアもの魚類の多さにはかなわないと断言できる。
チョウチョウウオ科では ミスジチヨウ スミツキトノサマダイ トノサマダイ ヤリカタギ、アケボノチョウチョウウオ、ハギ類ではモンツキハギ、ニジハギ、ベラ類では ヤマブキベラ、そのほかにクロユリハゼ などが多数みられた。(採集は禁止区域です)
塔島周辺はハードコーラルの数は少ないが、美しいオオトゲトサカの群生が見られこれはここの天然記念物に指定してほしいほどの美しい光景であった。
また、塔島にもタコツボタイドプールがあり、トゲトサカの美しい赤と青い澄んだ水そしてその周りにポツリポツリと見えるハードコーラルのコーディネ―ションは単にサンゴで覆われている海にはない深い味わいがあり、これは唸りしばしその場を離れず見入ってしまった。
人間あまりにも美しいものを見ると・・逆に命が縮まると言う言い伝えもあるらしい。
しかし その美しさを魂にもって逝去できればこれ以上の幸せはないのではないか?臨海浦の水景はそのような不思議な幸福感を満たしてくれる珠玉の海である。
(臨海浦、塔島の章 終) ※エッセーは1週間に一度程度の割合で掲載させていただいております。
すばらしき和歌山の海 南紀白浜円月島熱帯魚大舞踏会 (和歌山県西牟婁郡白浜町 シュノーケリング)
10月2日に訪問した南紀白浜円月島周辺は死滅回遊魚の大舞踏会となりました。台風が接近していたので外洋に面した箇所はあまりいけませんでしたが、魚はひさしぶりの太陽光に嬉しかったのかあちらこちらから餌を求めて出てきておりました。
円月島の裏側は3−5m程度の水深のある水路になっており数は少ないですがサンゴがあります。(生物採取は禁止です)そのまわりに流れ着いた熱帯魚がまつわりついているのです。なかには厳しい冬を乗り越えて越冬する種類もいます。
これは関東では伊豆半島のヒリゾ浜・八丈島周辺以外ではおそらくみられないであろう光景です。房総館山沖ノ島も暖流で少数ながらサンゴがありトノサマダイなどが見られるようですが南紀白浜ほどでなく、三浦半島に至ってはまったく見られません。
見たものを列記しますと
チョウチョウウオ科
並チョウ、トゲチョウ、フウライ、アケボノ、スミツキトノサマダイ、トノサマダイ、
ミスジチョウ、ツノハタタテダイ、ヤリカタギ、ゴマチョウ、レモンチョウ
ハギ科
ツノダシ、紋付ハギ、黒ハギ、カンランハギ
ブダイ科
ブダイ コブダイ
ヤッコ科
サザナミヤッコ(10cm) ナメラヤッコ
クマノミ科
クマノミ
スズメダイ科
ソラスズメ ミツボシクロスズメ ハクセンスズメ
べラ科
ニシキベラ、オトメバラ、ヤマブキベラ、ホンソメワケべラ
などです。チョウチョウウオ科でヤリカタギやスミツキトノサマダイは結構見られました。昨年はあまりみられずポリプ食のチョウチョウウオはトノサマダイだけでした。
自然の海でナメラヤッコとツノハタタテダイを見たのは初めてでこれは嬉しかったですね。こうやってみると沖縄に迫る各種熱帯魚が大阪から車で2時間のところで見られるとはだれも夢には思わないのではないでしょうか?
円月島の自然が守られているのは満潮時には島全体が水没する為、陸から渡れない点が幸いしており、「誰でもいけない」という理由からと思います。
身近な所に秘境があるのは大変恵まれていると思います。
第四章 南紀白浜四双島周辺 ~人のいない天国とは~
死滅回遊魚の採集家は誰もが結構勉強熱心であると思う。
なぜなら自分の欲しい魚は自分で手に入れるのが本筋であり、基本的には人はスポットを教えない。私はここでこのようなものが採集できたりしますよとは公開するものの、ここにこのようなタイドプールがあるからそこに行きなさいとまでは言っていない。ここからは採集家は自己研修しないといけない。
各々の磯がどのような水深を持ち岩には海藻が生えていそうかそうでないかは写真を見たり釣り場のレポートを見たりと結構学習が大変なのである。いまでこそグーグルアースで日本の海岸をくまなく空から見、その景観を伺い知れるがネットのない時代には釣りの航空写真を見て判断していた。
手元に「紀州の釣り場」という航空写真の本があり当時では高価な本であったがこれを活用していた。その中で白浜沖の「四双島」という無人島に大変興味を持ったのである。
この島は白浜の番所の鼻の岩礁地帯から沖合500m程度のところにある岩だけの島である。良く見ると島にはタコツボのようなタイドプールが無数にある。そのうえ中心部はどうやら3m程度の水深の浅い水路になっており、当然釣り人はいるであろうが採集家はいなさそうで、ぜひ訪問したいと思った。採集などはもともと考えていないので水中の景観を撮影したいと思ったのだ。
四双島に渡るには田辺の黒田渡船さんという老舗の渡船にお世話にならなければならなかった。船頭さんの親方にお聞きすると潜って銛などで魚を捕獲するのは禁止であるが、写真撮影ならまぁいいかと許してもらった。ただし外の海は潮流が速いのでくれぐれも
気を付けるようにと念押しされた。
それゆえ親方の言いつけは順守し私は浅場の水路とタコ壺タイドプールに的をしぼり撮影することにした。四双島の西側にはすばらしいサンゴ群生が広がっているのは後になってして知ったがたしかに潮流が速く波がうねっていたりするのでシュノーケリングは単独では行わない方が良いかもしれないと考えた。
今回は車ではいかず白浜行の高速バスを利用すると南紀田辺駅に11時に到着する予定であった。そして昼前11:30に釣り場に見回りに親方は行くのでその際に乗船すればどうかと言ってくれた。
時間になんとか間に合い乗船することができた。海はうねりも少なく穏やかで15分程度で四双島に到着した。上陸すると本当になにもない島で島流しにあった罪人のような気分になった。
外洋には釣り人が糸を垂れいていてお爺様とお孫さんのほほえましい釣り姿もあった。小学生高学年とおぼしきその男の子に「何かつれたの?」というと20㎝もあろうかと思える大きな二ザダイがつれたらしくタイドプールに泳がせてあった。
お爺様は和歌山市からこられたそうでずっとこの釣り場がお気にいりとかだった。お孫さんもお爺様につれられて自然の素晴らしさを教えてもらい理想の野外学習だなと思った。このような光景は私は景色と同等に好きでお孫さんも大きくなってまた子供たちにマナーを教えながら海に連れて行くであろうと期待するのである。
さて、水中景観であるが中央の浅場は思った通り水深は深いところで3m程度。浅いところは50㎝程度しかなくそれも岩一面にウニやらガンガゼがはびこるちょっとやっかいな磯であった。エントリーすると水は透明度が非常に高くいわゆる貧栄養水である、それゆえサンゴには最適だが魚には厳しい環境であるのはうかがいしれた。
良く見るとイガミ(ブダイ)や二ザダイ、タカノハダイの大物がうようよいた。しかし熱帯魚のレアものはついぞ見当たらず。ツノダシぐらいいないかなと思ったがいなかった。チョウチョウウオはいたがそれほど数は見られなかった。魚的には成果の少ない光景であった。
一方サンゴ類は対照的に豊富で、タコツボタイドプールにはヤギ類やトサカ類、ハナヤサイサンゴなど絵にかいたような情景を見せてくれ、つくづく人のいないところには珍しいものがいるものだと感じ入った。結局生物が成長してもそれを人間が採取したりするからなくなるのであろうと思う。美しい景観が広がるところでの採取はもうやめてほしい
と願うばかりである。
後述する円月島や臨海浦は生物相でいえばこの島より良くレアものも良く見られると思うが美しいキクメイシやキッカサンゴが成長しているのには感動する。
16時ごろ迎えの船が到着し港に向かった。船の中で例の小学校の男の子が横に座ったのでデジカメで撮影した光景を見せてあげた。しきりに うぁーと言っていたが
「君も大きくなってデジカメで撮影できるようになるといいよね。それまで御爺ちゃんと仲良く海に行ってね。」と言うと大きくうなずいて和やかな雰囲気で港についた。
船頭さんにお礼を言って料金を支払い帰りの駅前のバス停までタクシーで帰った。
その日は阪和高速が大渋滞を引き起こし高速バスの到着時刻が大幅に遅れて大阪梅田に到着したのは23時30分ごろになり間一髪で最終列車に乗り遅れるところであった。
採集撮影が最終列車に乗り遅れて泊まりになりそう・・などお笑いのネタにもならない一日の幕引きであった。こればかりは本当に疲れた。
(四双島の章 終)
第三章 印南海岸 ~呪文の印南 inami no iso ~
(外洋に面し水もきれいな印南海岸の岩礁地帯)
中学の頃は湘南に住んでいたこともあり江の島、葉山、油壷、遠くは千葉県の小湊周辺まで足を伸ばし死滅回遊魚を追っていた。当時、フイッシュマガジン(以下FMとする)という雑誌があり、ときおりS先生という採集の大御所が色々な場所を読者に解説し公開していた。
当時から採集場所の公開については賛否両論がありS先生もかなり悩んでおられた。葉山や小湊水族館裏などのタイドプールに生息する各種の魚を詳細にレポートされておりこの情報により当時中学生の私は友達と色々な魚に巡り合え、アクアリストとしての成長も助けていただいたのであった。
(ソラスズメダイはいくらでもとれるが網にとってその美しさを鑑賞する。すぐにリリース)
しかし、公開と同時に多くの採集家がその場所に訪問しタイドプールというタイドプールにチョウチョウウオが1匹も見つからないという異常事態も発生し関東にお住まいのS先生は関東を離れ、四国や関西方面に足を運び、その事態を嘆いておられたのである。
人間の我欲と言うものはおそろしいもので、欲しい魚がタイドプールにいると機械ポンプで水を空にしてまでも手に入れようとした我欲の魔王のような人もいたらしい。
また、チョウチョウウオなどは石の間に隠れるのが好きなのでその石を全部水中から引きあげて隠れ家をなくしてしまう人もおりその石も引き上げたままにほったらかして帰ってしまうとそのタイドプールには魚は寄り付かない。それゆえ、石をどかしたら必ず元通りにしておいてほしいと読者に懇願しておられた。だが、悲しいことに、採ってしまえば後は知らないという人がほとんどで、採集場所の公開に否定的な人はこのような理由からすべきでないと怒るわけである。
(すばしこく数匹のチョウチョウウオが逃げ惑う。関東ではなかなか見られない光景だ)
さてFMの記事の中でいまでも鮮烈に覚えている記事があった。それは「紀州印南の磯」というスペシャルレポートで、関東でいえば森戸神社裏のような磯であるがレアもののチョウチョウウオやツノダシやら、なにやら、それは夢のような楽園天国の磯と言わんばかりの書かれ方で勉強のできない中学生の私はこの記事の内容に一日ボーオットなって、英語の単語より一生懸命覚え「イナミノイソ イナミノイソ イナミノイソ」と呪文のごとく口からだしローマ字でinami no iso と決して一生忘れるものか!と呪われた藁人形のごとく頭に焼き付けたほどだった。
もちろん関東に住んでいれば和歌山県の印南の磯は訪問できない。いつかそれは覚えの悪い私のことなので忘却の彼方に忘れ去られようとしていた。しかしである運命は異なもの、もともと関西人であり関西で就職が決まり両親と一緒に住むことになったことから産湯海岸、御坊三尾海岸の訪問の次は いよいよ 呪文のinaminoiso といよいよ運命の日が迫ってきたのだった。
(ナミチヨウはいたるところにいた。採る気もしない)
印南町は御坊から車で20分程度さらに南下したところに位置し、漁港と周りは作物畑がある街で目立ったランドマークもない、言い方が適切ではないかもしれないが田舎町である。
息子も小学生高学年になったころに車でここを初めて訪問した。記憶が少し薄れているが三尾海岸に寄ったついでに印南に立ち寄ったと思う。三尾海岸で充分採集もし、遊んだので長時間滞在しておらず上から眺めるだけになったような記憶がある。しかしこの岩礁地域は御坊三尾海岸よりチョウチョウウオの数は多く、ごろた石の合間を各種のチョウチョウウオが大小さまざまなサイズで泳ぎ、ソラスズメダイやキンランスズメダイを従え、あたかも熱帯魚の竜宮城のようなすばらしい魚の宝庫であった。ゴロタ石での採集は至難の業で難しい。だから当初からあきらめて眺めるだけにしたように思う。
(トゲチョウチョウウオは数が少ないが大抵いる。臆病で逃げ惑う)
そして、ずっとあとになって2013年に私は二輪の免許を取得し行動範囲が広がり、走行練習を兼ねてこの印南の磯を再訪問し採集はしないで水中撮影することにした。
8月6日の非常に暑い日であったがとにかくその水景は撮影したいと思ったのである。バイクを堤防のそばに置いて干潮時の磯に降りてゆく。
(チョウチョウウオを網で捕まえるが、撮影が終わると海にリリース)
さて、過去のような魚の宝庫なのか?水中眼鏡で覗くと おお!いるいる 並チヨウが5列になって泳いでいる。その間にフウライチヨウ、そしてトゲチヨウが!
約50年前にS先生がご覧になられたと思える情景が目の前に広がった。S先生はここでサザナミヤッコを良く採集しておいでだったらしい。サザナミヤッコの幼魚はごく浅い棚のあるようなところに出たり入ったりしており深いところよりも浅いところがねらい目であったようだ。私はもう歳であるのでサザナミヤッコを追い求めるような気力はない。だが、ベテランの採集家はいるところをちゃんとマークしておりかなり高い確率で同じように採集している。
また、S先生は夜に採集するのがお好きで魚が寝入ったところを狙って採集しておいでだった。これは今では密漁と思われるからやめた方が良いかもしれない。
印南の磯の呪文はこのように解き放たれ、FMの記事の書いてあるがままに50年後にも同じように私の目の前に現れた。S先生は場所の公開を悔やまれもしたが、そのおかげできっと多くの人が感動を胸に抱きアクアリストとして成長していったのではないかと感じる。マツタケ狩りの秘密場所みたいなことはやめて皆が見れるものはできるだけ多くの人に共有するというS先生の大人の心意気を感じ、感謝の念を改めて抱いた。
そういえば、あれからもう何年経過したかわからないが今になっても息子は言う。「おとうさん、印南の堤防でイカの子供つかまえたやんか」、私は印南という名前を忘れまい忘れまいと必死であったが私の息子は思い出とセットになって覚えていた。
これは私より賢しこいと我が息子ながら感心するのである。
(印南の章 終)
※エッセーは1週間に1度の割合で掲載させていただいております。
第二章 御坊三尾海岸 ~「いつまでたっても貴方は サカナ なのよね」~
(複雑な水路とタイドプールができる三尾海岸)
産湯海岸で楽しんでいた我ファミリーは海水浴は、産湯海岸と決めていた。しかし人間は欲深い浅はかなもの。当時海水魚飼育を楽しんでいた私はまたメビウスの輪の罠にかかるのであった。地図を見てここなら熱帯魚がいるかもしれない。産湯海岸の裏側にある三尾と言う海岸の岩礁地帯は複雑な水路と岩礁地帯で色々な魚がいるのではないかと思ったのだ。
夏休みの計画時に 奥様に「今度は産湯海岸の裏側で泳ぐよ。うちの熱帯魚にできれば新入りを迎えたいのでね」と私。
「いつまでたっても貴方は魚 サカナ なのよね」夕食で何かを鍋で炊いている中から ぼそっと言い放った。奥様がそのように言うときはちょっと警戒しなくてはいけない。
「私と魚とどちらが大事なの」という直接的なもの、あるいは、「魚を見るのはもう充分でしょうから他のところに連れて行ってくださいな」
という二つの不満と考えなくてはならない。
(チョウチョウウオの幼魚はかわいらしく可憐である)
うーんと唸った。当時下の息子も7歳ほどになっていたので長女と一緒に連れて行っても まぁ 問題はない。岩と毒生物の知識を与えて注意して遊ばせるならそれでいいかと思った。おそらく子供は網をもって一日はしゃいでいるだろう。車には救急箱をつんでいるしいざとなったら近くの病院も調べてある。万事用意は整っている!自信はある。
でも、そういうことだけで終わりそうにないのである。
そう!エンターティンメントが必要だ。
私は魚を追いかけていれば問題ないおそらく子供らもそうだろう、しかし女性はそうはいかない。泳ぐのは嫌だし 日焼けも大敵。海岸をぼやーっと眺めているだけではそりゃつまらないだろう。なにか楽しみを献上しなくてはいけない。
思い立ったのは そうだ!海岸バーベキューをしよう!と決めたのだ。
「そうだ、海岸でバーベキューしたらうまいぞ!クーラーボックスに食材詰め込んで、ホームセンターでほらバーベキュー網や炭やらあるやろ それをつんで海に行くんや!」
奥様は怪訝な顔をしていたが まぁ、バーベキューを食べられるならいいかと承諾してくれたのだった。
(岩場に光る宝石ミヤコキセンスズメダイ。その輝きは見るものを魅了する)
夏休みのお盆時、朝早く出かけると阪和高速の渋滞をさけることができるので朝は5時半出発。子供らは車の中で眠ること!を条件に 御坊三尾海岸に出発だった。
三尾海岸は日高町アメリカ村の近くにある。ちょっとここでは説明しにくいところに車を置き、岸壁の階段を下りてゆくと磯場に出る。わたしの長年のアクアリスト歴からしても理想のシチュエーションの磯場であり水路とタイドプールが交差するなかなかの海岸であった。
(岩礁にはチョウチョウウオの成魚が見られペアで泳いでいる)
想像通り8月になるとここではチョウチョウウオの幼魚が見られるが干潮時には各種チョウチョウウオがおよいでいた。お盆あたりのチョウチョウウオは10円玉ぐらいの大きさでサイズ的にはちょうどよく採集も比較的楽である。8月末ごろになると急成長し500円玉サイズになりこれは色々な危険について知恵がついてきているのですばしこくとらえにくい。
チョウチョウウオでは並の他にフウライ、トゲ、チョウハンを採集し家の水槽に放ち飼った。並とトゲは星になったがフウライチョウチョウウオは2年飼育で15cmにもなった。
一度セグロチョウチョウウオを発見し、しぶとくねらったがこれはついにとらえられなかった。
(磯魚の定番のオヤビッチャ。これがいないと何となく磯がさみしい。)
この三尾海岸はその後何度か訪問し、サザナミヤッコの幼魚も採集したし、台風の後のタイドプールでヒョウモンダコも採集でき、そのうえいつも美しいミヤコキセンスズメダイやネズスズメダイ、シコクスズメダイは見られる生物相の豊かな海である。
子供らは楽しく浅場で泳いでいたが、一度私が水中眼鏡で前を泳いでいたら前に見える息子が岩から ずずずっと滑り落ち泳げず必死で岩にしがみつき溺れかけたのを助けた記憶があった。家内もその様子を上から見ていたので「魚ばかり見ていないで大事な息子も見てちょうだい!」ときついお叱りをうけた思い出の海岸でもあった。
さて、バーベキューは盛大に行い楽しんだがビーチパラソルは用意しているものの炎天下のバーベキューは修行である。それでなくても暑いのにさらに火を起こすなど今から考えれば滑稽なことを思い立ったものだと思う。
天から あひあひ。 地面の鉄板から あひあひ!
暑い暑いと言いながらお肉やウインナーや野菜でしこたまお腹いっぱいになりまた海に戻っていく。バーベキューは海岸で行う場合は地元の顰蹙を買うことが多い。そのため炭は土に還元されるであろうから景観を損なわない場所に廃棄。そのほかのごみはすべて責任をもって持ち帰りました。(本当です。)
一日楽しく遊んで最後にすることがある。ここの外洋に面する水路には15㎝以上もあろうかと思えるようなチョウチョウウオの主が住み着いているのを私は知っていた。毎年来ては彼?彼女?にお別れの時間になると挨拶をしに行くのが私の決まりであった。
「やぁ!元気でいるかい?」
チョウチョウウオの主はなにか呆れたようなまなざしで「お前も好きやな」と言わんばかりに私を睨め付け海底にしずしずと降下し青い水に溶け込んで消えていくのであった。
三尾海岸は楽しい行楽の海岸である、そして採集だけでなく奥様の微妙な人間の心理に目覚め、私の成長を促してくれた教えの海岸なのであった。
(御坊三尾の章 終)
※エッセーは1週間に1度程度掲載しています。次回は9月27日ごろです。
すばらしき和歌山の海 ~私の海中散策から~ プロローグ
夏空に雲一つない青い海。
釣り船が白い曳航の波をかき分けて進む。
ここは南紀白浜臨海浦の海。
海から上がり水中眼鏡をはずし、塔島から南方熊楠翁の記念会館を見上げるとふと、いにしえの熊楠翁がいつも にやっと 笑って手を振ってくれている気がする。
「おう!また きたんけ?」
田辺湾の動植物に博学の熊楠翁が 私を知る由もないと思うのだが、不思議と翁が天からいつも声をかけ、観察熱心な仲間を探しているような気がするのである。
「よし 今日はこれをみいや。あんさん、遠い奈良から来たからな。 おおい! そこのスミツキトノサマダイ ちょっとこっちへこい!」
と、翁は私に好意を寄せて訪問のたびごとに、いくつもすばらしいものをお見せくださるのである。
私が南紀白浜の海を訪問したのは2014年の夏である。
それまで、色々な海を観察してきた。主に温帯の海であったが ハードコーラルの群生を見る海はその時がはじめてであった。
白浜の海は クリスタルな輝きを持ち、太陽のスペクトルが青に、緑にいくつも光のファンタジーを奏で、岩場にはハードコーラル、ソフトコーラルが色とりどりの熱帯魚を従えて無限に生命の輝きを解き放つ。
それはすばらしいの一言につきた。
私は別につつましやかな男ではない。なんでも欲しがる。手に入れたいものはいつも結構ある。しかし、海の景色についていえばゴージャスに広がる光景が最高とは思わない男で、岩の上にぽつりとあるきれいな貝やピンク色の海綿があると周りに圧倒されるようなサンゴがあっても目もくれず 健気に生きるその貝や意外な海綿の方に奇妙に気が引かれるのである。
熊楠翁はきっとそのような性格を天から見抜いておられ、翁がほんの数ミリの粘菌類の発見に狂おしいほどの歓喜を表現し、その同じフェチズムを私にも見たから
「また 来年も白浜田辺に来いよし!」
とお誘いくださるように思うのである。
それゆえ、南方熊楠翁の愛した、和歌山の海 すばらしいその海を私のエッセーでつづりたく思った。拙いエッセーであるがお読みくだされば幸甚である。
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すばらしき和歌山の海 ~私の海中散策から~
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第一章 日高町産湯海岸 ~ 果てしなく遠い海 ~
海水浴場は一体日本でいくつあるのだろう?ネットで調べると1130箇所ほどあるらしい。それぞれが独特な風景や風情を持ち涼しさを求めて誰もが身近なレジャーとして夏には人でごったがえす。涼しさを求めるレジャーならば、しゃれたソフトドリンクを片手にホテルのプールですごせば良いではないか。しかし、海水浴は古くから人々の心をとらえて離さない不思議な魅力があるのは確かである。
夏休みのある日。家庭サービスで海岸に行こうと思いたち、関西圏の海水浴場の紹介本を立ち読みで読んでみた。当時私が35歳ぐらい、今から25年前の時である。関西圏では和歌山側に近い片男波海岸や二色浜海岸が近かったように思うが大阪の海、和歌山の市街の海は潮が綺麗と言えず、いつも濁りがありすっきりしない不満があったのだ。
綺麗な海で泳ぎたい、だが、当時は今のように高速道路が完全に完備されておらず白浜にいくのにも6時間ほどかかるように思えた。もっと近くできれいな海岸!そのレジャーガイドをめくってみるとある海岸の説明文が目に留まった
説明文には
「かっての神功皇后の皇子が産湯を使ったという井戸が残る伝説の海岸。海流の影響で沖からのきれいな水をいつもたたえ日本でも指折りの透明度と水質を誇る」
と書いてあった。
その文を読むと背中に電撃が走り、これしかない!と即座に決定した。
家内と長女と私の3人で 奈良から約120km離れた日高町産湯海岸を目指したのである。
産湯海岸は和歌山県日高町に位置し、醤油で有名な湯浅から10kmほど南下した海岸線上にある。周辺は静かな漁港町で産湯海岸から車で10分程度進むと煙樹ケ浜や日の岬灯台も訪問できる。当時奈良からは 阪神高速から近畿自動車道を通り途中 堺周辺で下道に降りる必要があり、阪和高速道路の入り口岸和田和泉インターまでがひどい渋滞で、岸和田和泉インターに入るまでが一苦労の時代だった。また、それに追い打ちをかけるように、御坊湯浅道路のトンネルも夏は渋滞で奈良市街から日高町産湯海岸までおよそ4時間ほどかかっていた。とにかく時間のかかる果てしなく遠い海であった。
現在は300台ほどおける町営の駐車場もあり設備が整っているが当時は町営の海の家と 海の家として利用できる 「民宿 橋本荘」 の二つしかなかった。私は親切で泊まりの料金も良心的な橋本荘の海の家を気に入っており利用していた。当初の訪問から時々寄せていただいたが女将さんも「ああ、昨年きてくれた奈良の人ね」と愛想もよく、泊まりの時に出た魚の刺身や焼き物が特に美味しい民宿で気に入っていたのである。
さて、産湯海水浴場の景観は小さくもなく馬鹿広い海水浴場でもなく中ぐらいの遠浅の海岸である。人出もそれほど多くもなく関東の湘南江の島海岸と比較すると通勤電車でたとえると楽に新聞を広げて読めるようなゆったりとしたホスピタリティがあった。江の島海岸は小田急電車の殺人ラッシュそのものでいつも夏はうんざりの海岸である。
産湯海岸に子供を連れて海に入る。娘は大喜びで 「おおきいプールや!」と走っていく。他の子どもたちも気持ちの良い海岸で本当に皆ニコニコうれしそうであった。
水が確かにことのほかきれいで上から足の親指の爪もはっきり見えるぐらいの透明度があった。砂浜の海岸は干潮時では沖合200mぐらい歩いても1m程度の水深しかなく、綺麗な大海原のプールが無限に続いているようなそれは気持ちの良い海なのだ。
また、いつも感心するが毒クラゲが見当たらない。湘南の海はお盆を過ぎるとアンドンクラゲが大量発生し刺されて嫌な思いがするが、産湯では全くない。悪口ではないが関東で過ごした江の島海岸は砂が黒く、かつ近くに流れてくる川の汚水がまざりおせじにもきれいな海ではなかった。湘南江の島では砂浜ではあまり泳いだ記憶がなくいつも水がやや綺麗な岩礁地帯で泳いでいたのである。そういえば一時期大腸菌検出問題で新聞に大々的に書かれ海の家がさっぱり客足がとだえた年もあったのである。
その点日高町産湯海岸はピカイチで水質は日本でも指折り、雑菌の検出がなく文句なしの海岸と言っても過言ではない。浅瀬にはコロダイの幼魚がひらひらと泳いでいたりゴンズイ玉が餌を求めて徘徊していたり、左側の岩場にはタイドプールがすこし現れ、ここでチョウチョウウオを採集できるまた他の楽しみもある海岸である。
海水浴を満喫し、この日は橋本荘に泊まりできたので 夕暮れの海を見ることができた。家内と海を眺めながら話をしていた。
「なぁ、うちのサユミの弟か妹なかなかできないな。産湯というぐらいやから海にお願いしてみようや」
「そうね。お願いしましょう。」 と家内が言う。
金波銀波に輝く海にお願いしながらその夜長女を寝かせ、私はひっそりと家内と仲良く手をつないで寝た。
その甲斐あってか1年後 次男が無事に誕生したのである。
2015年、あれから25年経過し昨年知人がひさびさ海水浴をしたいというからと久しぶりに産湯海岸に泳ぎに行った。25年も経過し駐車場も完備され、おそらくネット情報などで人も多いから産湯海岸も変わっているだろうとやや期待を抑えて入っていった。
知人と二人で見た産湯海岸はほとんど変わっておらず相変わらず水はクリスタルな輝きをもち不思議なぐらいに澄んでいた。
波で作られる砂のしじまがはっきりと見え、それも25年前と変わっていなかった。
緩やかな波がまるで産湯で赤子を洗うように優しく寄せては引いていた。
そして、青く広がる夏空に25年前に願いをかけた思い出も駆け巡り、懐かしさと感謝の気持ちに満たされた。
産湯海岸はずっと純粋で無垢な赤子、そのままのようで、いつも人を優しく迎えてくれる素晴らしい海岸とつくづく思うのである。
(産湯海岸の章 終)
※各章は1週間に1度程度の割合で掲載させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、海の探索は 関東と関西でいままで行い、和歌山方面も奈良から遠方で一部まだ探索していないところはありますが有名な所はほぼ制覇したと思います。
関東は40年前に 江の島、葉山(芝崎など)、油壺、城ケ島周辺で採集を楽しみましたが、(2014年死滅回遊魚採集で解説すみ)関西圏に移ってからは和歌山方面は多くのスポットに恵まれアクアリストの眼をとおして色々な発見がありました。一体、和歌山の海でどのぐらい訪問したかを数えますと期間は2014年〜2016年にかけて13か所で、合計約20回、複数回訪問したスポットもありました。
それぞれに思い出はあるので、2年半のサマリーをエッセーでまとめたいと思います。
ただし死滅回遊魚採集のタイトルで掲げていますが白浜・串本地区周辺は生物を観察しそれをビジネスとするダイビングショップも多いので海洋生物採集禁止地区(サンゴ類も含む)もあります。ここに書いてあるからと言って禁止区域で採集をされないようにお願い致します。
エッセーの構成は 以下の通りで 1週間に一度1章を掲載致します。
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2 御坊三尾 ~「いつまでたっても貴方はサカナなのよね」~
和歌山県の海は湯浅〜御坊周辺では海水温度が冬場は低い為夏には死滅回遊魚は現れるもののサンゴはありません。一方で御坊周辺から約30km程度南下した みなべ町 から白浜からは黒潮の影響が強いことから耐寒性のあるサンゴが散見されます。特に白浜は部分的に海流の影響か、あるいは温泉の地熱からくるものなのかサンゴの発達しているエリアもあり死滅回遊魚も成長し定着しているような箇所もあります。さらに50km程度南下した串本周辺、紀伊大島に至るまでの田子、安指、海洋公園などのエリアは浅場からサンゴの大群生のエリア続きで沖縄と間違うほどの素晴らしいコーラルシーと成っています。
私の訪問先は水中観察していない箇所を含めますともう少し多いのですが、エピソードなどの大小を考慮して10章とさせていただきました。拙いエッセーで文章が多いのでも退屈されるかもしれませんがアクアリスト、非アクアリストの皆様にもお読みいただき訪問時等のご参考になれば幸いです。
ワードリスト:非アクアリストの皆様のためにいくつか用語を記載しておきます。
死滅回遊魚:
タイドプール:
ハードコーラル:
サンゴは立派な生き物で、カルシュウムでできた骨格をもつサンゴとそうでないものがありエダサンゴなどはハードコーラルと称される。日本国内では許可を得た者以外は採取禁止。
ソフトコーラル:
シュノーケリング:
良く調べてみる必要があるのですが、勘違いを願うばかり。同じスポットと思いますが下の画像ではサンゴがざっくりなくなっているような気がします。
下の写真を見るとなにか壁面をこすってこそげたような形跡があるような気もします。
勘違いを願うばかりですが、過去の写真と比べる珊瑚が人為的に密漁されているのではと危惧します。
下の写真見ていただくとわかりますがサンゴが折れている形跡もあります。ほかのサンゴも折れていました。
地元で生業でサンゴを造形品として許可販売されている方もおいでなのかわかりませんがこれを見ると悲しい気がします。
地元のダイビングの店舗と連絡を取り合い情報があれば共有し、マスコミにも公開し密漁者には厳しい罰則を与えてもらうように私は動きます。
昨日は夏の終わりの円月島に行ってきました。奈良からは串本ほどではありませんが結構遠いです。
でも行けるときに行っておかないとこれから台風などがくるとせっかく昼の干潮時に時間が合わさっても行けないですから、やはり行けるときに行かないとダメなのです。
円月島の裏側は串本ほどではないですが珊瑚がありその周りはまるで熱帯の海そのものです。
今回はレアな魚が一杯おり臨海浦と並んでやはり南紀白浜だけのことはあるなと感心しました。
中央は臨海浦でも見たヤリカタギ。典型的なポリプ食チョウチョウウオです。このようなシチュエーションでは採集など無理。
イバラカンザシはかなり多く見られます。
ヒレナガハギの幼魚がいました。これははじめてみました。
ハナヤサイサンゴも結構な数が見られます。もちろん採取など禁止です。あっても絶対に採取しないように!
ハナガササンゴもいましたね。最初はソフトコーラルかと思いました。
残念なことにダイビングかシュノーケリングかあるいは採集家なのか存じませんでしたがかなり大きなサンゴの枝がバキバキに折れていました。上に乗ったか、採集家が網を無理に突っ込んで折ったかでしょうけれど、そのようなドジをするぐらいなら最初から訪問やめてほしいです。本当に腹立ちました。
すばらしき和歌山の海 南紀白浜円月島熱帯魚乱舞(水中撮影 シュノーケリング)
先般はカメラの不調でほとんど写真が取れず悔しい思いをしましたので今回は新カメラで再挑戦しました。
台風が多いと採集家が喜んで来るが(魚が沢山流れてくるのね)今年は台風が少ないから来ないのか、飽いたのか良く分かりませんが、捕獲されなかったであろうレア種類が多く見れました。笑
この周辺は立て看板に書いてありましたが水生生物採集禁止とあります。私はもともと採集は目的としていないし、チョウチョウウオは和歌山にはごまんといるので採る気もしない、また、むしろマナーの悪い方たちが採りつくすというようなことがないから歓迎すべき看板と思います。もちろん、サンゴ類の採取などもってのほかとなtっています。
レア種類を列記しますと
ミスジチヨウ スミツキトノサマダイ トノサマダイ ヤマブキベラ ヤリカタギ クロユリハゼ あたりでしょうか。
そのほかはチョウチョウウオ各種 (セグロとアケボノはみないですね)は通常に見れました。
ポリプ食のチョウチョウウオは臆病で網での採取など不可能。販売されているのは沖縄やフィリピンなどの許可地域で薬物採集したものでしょう。もちろんここでは禁止です。
さて上の写真にヤリカタギとトノサマダイが写っています。どこでしょうか?
ちょっと暗いですがスミツキトノサマダイ。
トノサマダイのトリオ。とにかくすばやい。
ハナヤサイサンゴです。見事な個体でした。
すばらしき和歌山の海 白浜臨海浦の絶景(南紀白浜 臨海浦 塔島)
360p以上推奨 150MB
白浜臨海浦塔島に行ってきました。奈良からは約片道180km程度あります。息子も連れて行きました。
ここは生物相が多く、またテーブルサンゴも見られる上に、比較的浅いのでシュノーケリングも適しています。また ソフトコーラルやレア種も見れるので行先決定。
今回はカメラの不調に見舞われ、写真がほとんど撮影できませんでした。いつも2つもってゆくのですが1つはカメラを密封にするバックルが知らぬ間に開放されて本体が水没!おじゃんになりました。初期不良と思えるので返品することに。もう一つは以前から持っているカメラでこちらは画像が悪いのですが比較的操作性が良いので使っていましたが、途中で電磁障害が発生。全く撮影できず。 家族にそのことを話すと お盆には色々な霊的な障害が発生するのできっと警告だったんだ と脅かされる始末。
( オオトゲトサカです。これをきれいと見るかキモイと感じるかは人次第。)
臨海浦のそばにある塔島には美しいトゲトサカが多く見られます。(ソフトコーラルですが採ってはいけませんよ!笑)
これはぜひとも撮影したかったので真っ先に撮影しました。
(色とりどりのイバラカンザシを発見した時はここに来た価値があったというものです。)
やや海底まで5m以上ある箇所のクリフは人の行かないところ。色々な宝物が眠っているものでイバラカンザシの宝石箱を見つけました。これはきれいでした赤、青、黄色、オレンジなど極彩色。
(エダサンゴ。この中にトノサマダイの幼魚がいました。)
枝サンゴの中にはトノサマダイなどのポリプ食チョウチョウウオが生息していることが多いのですがここでもトノサマダイをみました。しかしサンゴの中で生息していますので採集などできるはずがありません。器用な方はとっておられるようですが通常は無理なので見て楽しみました。(薬物採集などは罰せられますよ)
また臨海浦の定番のテーブルサンゴにはじめてスミツキトノサマダイを発見。これもうれしかったです。残念ながらカメラがないので見ただけですがじっくりと観察できました。
(タコツボタイドプールにはチョウチョウウオ各種、ベラ類、ハギ類などわんさ。しかし深くて危険ですので眺めるだけです。)
塔島には上のようなタコツボタイドプールがあり満潮には水没します。そのためここには各種の魚類が入れ替わり立ち代わり生息しています。この中には定番のチョウチョウウオ、フウライチョウチョウウオなどがいました。
(毒とげをもつラッパウニ。激痛としびれがくるとか。これよりもさらに危険なイイジマフクロウニも浅瀬にいました。)
サンゴ群落が見たければ串本に行くべきなのですが串本は奈良からですとはなはだ遠い遠方地になります。その点白浜は設備も整いサンゴの種類も多いのでおすすめでしょう。ただし毒生物も多く見られるので要注意です。身近なところではガンカゼが特に多い。この塔島の浅瀬にはトゲに毒を持つラッパウニとなんとイイジマフクロウニも見ましたのでお気を付けください。ラッパウニはいくつかの個体を確認しましたのでご注意のほど。
写真が取れませんでしたので写真を一部お借りして見たレア種類や危険生物をご紹介しておきます。
スミツキトノサマダイ
モンツキハギ (幼魚のうちは真っ黄色です)
ニジハギ。数匹みました。
猛毒。さされると即病院行き!イイジマフクロウニ。これには充分ご注意のほど。殻の上に小石などをかぶって生息していますので知らないで足で踏んづけたりすると大変。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
串本町田子 サンゴこぼれ話を。
奈良から往復460㎞の距離。時間にして片道4時間30分果てしなく遠い海でした。
和歌山県東牟婁郡田子周辺は黒潮の影響を直接受けており年間でも17度以下に下降しない亜熱帯のエリアです。浅瀬に広がるサンゴは沖縄が定番ですが和歌山県や鹿児島、四国の宿毛などもサンゴ群落が有名ですが、興味のある人しか知らないままに話題にもあがりません。和歌山在住の方からの情報で串本海中公園に劣らない大サンゴ群落があると昨年聞いており是非この目で確かめたいと思いました。
まず、海の中は足場のないほどのサンゴだらけでただただ驚くばかりでした。正直フィンの着地ポイントの設定に困りました。不用意に腰かけたりすると枝が折れてしまうので細心の注意が必要なくらいでした。また、水中に微細なピンクの粒が無数に見られましたがこれはサンゴの放卵によるものと知りました。
長年のアクアリストの私の目から見ると台風が少ない7月中旬である事情を含めても以下のような特徴を感じます。
・サンゴが発達している割に魚がかなり少ない。浅瀬にはほとんどいない、つまり低栄養塩の海水で「澄む水、魚は住まず」状態である。水深のあるところにいるが中型以上の魚に限定される。
・耐寒性のあるクシハダミドリイシやハマサンゴ、枝サンゴの一種がエリアを占領しているような状況である。(円月島周辺はその点シコロサンゴやソフトコーラル、日本ミドリイシなどがおり種類がやや多いように思えた)
・トゲトサカなどのソフトコーラルがみられない。
・水路はあるがタイドプールはない。あっても海藻がないので魚はよりつかない。
・9月ごろになるとポリプ食のチョウチョウウオなども見られるであろうがそれを狙う採集家の俳諧やサンゴをぬっての魚の捕獲の難しさもありいわゆるレア種類の捕獲は難しいと思える。
・1㎝程度の並、トゲ、フウライチョウチョウウオなどの幼魚は見られなかった。(三浦半島ではそろそろお目見えする時期である)
・サンゴの生育の条件をよく反映しており、潮流がかなり速いところに生育している。
以上のようなところが特徴でした。
さて、長年海に潜っていても怖いことはあるもので、水深5m、陸地から距離にして200mほどの沖合にある無人島への横断の際に今回はちょっと油断していると50m程度流されてしまい、潮流に逆らって推進することができず体力の限界とあいまってしばらく浮遊状態を余儀なくされました。おそらく溺れる人はこのようなとき海水を飲んであわてて、足がつかないので沈んでしまうのだろうと思います。
海は美しくも恐ろしい魔物と再度実感します。
次回は推進力の強いジェットフィンと60㎝程度のサーフボードなどを用意して臨みたいと思います。
今回は車で行きましたが、スズキワゴンRはエアコンをつけた状態でエコモードを意識するとリッター20㎞走行できました。良好な燃費性能で満足です。
素晴らしき和歌山の海 串本田子のサンゴ群落を見る。(シュノーケリング ダイビング 水中撮影)
(極浅瀬にみかけたホクトベラ。これはレアでしたがすばしこくてすぐに逃げられましたね。写真はお借りいたしました。)