**食を考える上で非常に参考になる実験の紹介***
記事最上部の写真は1998年にカリフォルニア大学から出された論文ですが、26羽のウサギを非加熱のピュアな脂質を餌として与えた群(ピュアな脂質群)、ピュアな脂質を100度8時間だけ加熱した後に餌として与えた群(劣化・酸化脂質群)に分けて12週間後に、大動脈の動脈硬化病変を調べたもので、劣化・酸化脂質が動脈硬化にどの程度関与しているかを調べたものです。
ウサギの体重に関しては記載がないようですが、カロリーは同じなので劣化・酸化脂質群でもピュアな脂質群でも体重は同じと思います。
結果は、
1)劣化・酸化脂質群はピュアな脂質群に対して面積比で2倍も動脈硬化(大動脈のプラーク)に関与することを示した。(ただし、非公表資料の実際の写真を見れば、両群共に4例ずつの大動脈カラー写真が呈示されているが、両群2例共に全く同じ量のプラーク面積であった。研究者の良心的な配慮が垣間見える)
2)ピュアな脂質でも大動脈におけるプラーク面積比で20~50%も血管に脂が沈着する。
3)LDL値は劣化・酸化脂質群でも、ピュアな脂質群でもほぼ同値でした。
このことは、劣化・酸化脂質を多量摂取してプラークが沢山溜まってもLDL値はあまり高くならないだろうという推測になり、人による今まで述べてきた私の集積データと同じ結果ではないかと思います。また、体重が動脈硬化の程度を反映しないとする私のプラークのデータをこの実験は説明してくれているように思います。
このことは、劣化コレステロールを多量摂取してプラークが沢山溜まってもLDL値はあまり高くならないだろうという推測になり、人による今まで述べてきた私の集積データと同じ結果ではないかと思います。また、体重が動脈硬化の程度を反映しないとする私のプラークのデータをこの実験は説明してくれているように思います。
(論文の要約の抜粋:酸化していない脂質の餌でも大動脈にプラークは堆積するが、酸化した脂肪酸を含む食事(劣化・酸化した脂質食)が、ウサギのアテローム性動脈硬化症を速めることを示した)(2018年8月1日:実験結果の解説を修正)
コメント:
2) 酸化していない脂肪酸を含むエサでも、酸化しているエサでも同等にプラークが堆積することもある(非公式に配布された生データでは50%の確率で)。つまり・・・脂質を多く含む食品を食べることに関して、酸化していない刺身であっても・・決して安心してはいけない。
追記
「2012年8月25日付け朝日新聞」によると、
認知症急増305万人(65歳以上の1割に相当)、更に増加中。・・・その他に、脳梗塞・心筋梗塞の急増・・
映画「千と千尋の神隠し」の冒頭のシーン・・・“千尋が止めるのも聞かず、両親が美味しそうに肉類・揚げ物にむしゃぶりついて食べ続け・・ついにはブタに変身・・そこは幽霊・お化け達の世界”・・そんな映画のシーンが「血管の汚れが見える今の私」には強烈に脳裏に焼き付きました。
映画化した宮崎 駿 監督のメッセージを受け止めてはいかがでしょう。・・・認知症になって、現実離れした映画の世界に迷い込まないように・・・引き返すのは今です。
追記
血管プラークが低下(減少)しない人の原因の第1位は、牛乳でした。牛乳を(低脂肪でも)毎日飲んでいる人は、どんなに努力してもプラークが悪化、または不変なのです。 以前の食事マニュアルには「牛乳は生だから・・」と書いていましたが、現在まで、毎日の牛乳を止めてやっとプラークが改善しだした症例が12例程度になりました。(後日の検討結果から、プラークを減らす必要がある人にとっては、牛乳の毎日摂取は好ましくない。せめて時々、それも週にコップ1~3杯に止めた方が無難です)
「2018年8月における後日談:牛乳が悪いのではなく、毎日の余分な脂質をたまたま牛乳から摂取していただけです。これは豆乳、納豆、チョコレート、ピーナッツ、ナッツ由来の植物性脂質でも同じ事が言えます。牛乳も低脂肪ではなく無脂肪牛乳だったら、もっと悪化していたかもしれません(事実は時に、常識を覆す2022年8月1日)。事実関係の積み重ねによって、6年後に真実が見えてきました」→本当の真実は「2020年1月の記述」に記載
また、自家製のヨーグルトを毎日多く食べていた人は、プラークの改善が2年も認められませんでしたが、止めた途端にプラークが改善しだしました。
牛乳で作ったヨーグルトも毎日摂取は控えた方が無難です。 そのヨーグルトは確かに身体によいのでしょうが、現代人での健康面での優先順位第一位は血管にプラークを溜めないことなのです。その点の配慮が現代医学では欠けています。
「2018年10月31日における後日談:豆乳ヨーグルトを多く摂取してプラークの改善が悪くなり、減らした途端にプラークが改善する多くの症例を経験しています。プラークが治りにくいのは牛乳で作ったヨーグルトだからではなく、牛乳製のヨーグルトに含まれる脂質が余計だったのです。(脂質だけの問題ではありませんでした。→2020年5月追記文を参照)→本当の真実は「2020年1月以降の記述」に記載・・ショッキングな内容です。→2022年8月1日追記「牛乳製ヨーグルトも豆乳ヨーグルトも、摂取量が多ければプラークが悪化し、減らすとプラーク悪化が停止したり、改善したり・・・この科学的な説明として・・脂質摂取量とは別の・・異なる因子が関与・・それは・・「乳酸菌」・・・この菌は善玉菌として知られているけど・・そしてお腹の中の・・常在菌なのですが・・摂取し過ぎると腸内細菌叢のバランスが破綻し・・免疫力(貪食能なども)が低下し・・・プラークが悪化する」・・・
追記)
最近はコレステロールゼロ!表示の食用油が消費者を惑わせています。脂肪100%と記載されていますのでご注意下さい。食べ物のコレステロールではなく脂肪分・脂質が危険なのです。
「2018年8月の後日談:コレステロールゼロの表示はダメですが、脂肪ゼロ(脂質ゼロ)ならOKです。」→本当の真実は「2020年1月の記述」に記載:乳製品に関して脂肪0製品はNGです。
追記)
ある食用油のメーカーの宣伝に、「コレステロールを下げる食用油・・」をうたい文句にしている製品があります。油ですから脂肪分100%に違いありませんが、なるほど!、「揚げ物」「甘い物」「アルコール」大好きな人で、血管プラークが沢山溜まっていて、コレステロール値が低い方が非常に多くいらっしゃいます。でもコレステロールが下がってもプラークが溜まれば心筋梗塞・脳梗塞になるのです。
危険なのはコレステロールではなく、脂質(主に植物油、植物油料理、肉の脂、肉の脂汁、青魚や白身魚の脂、魚の脂汁、納豆、豆乳、豆乳ヨーグルト、チョコレート、ピーナッツ、ミックスナッツ(クルミ、アーモンド他)などに含まれている脂質の過剰摂取)なのです。植物性の油脂も、動物性の油脂もプラークの原因としては全く同じ影響を及ぼす。プラーク堆積(動脈硬化の進行)に関して、油脂の氏素性には全く関係がありません。全ての食品の脂質&プラーク堆積に関して、血管内の流体力学的な作用は、特定の食品の脂質に対して、決して忖度してはいません。
食用油を多く消費している県が、心筋梗塞・脳梗塞・大動脈瘤の破裂・大腸ガン・前立腺ガンで死亡する事が多い県であることをご存じですか?(掲載済み)。コレステロール:ゼロという食品が如何に怖い代物であるかをその統計は物語っていますのでぜひご覧下さい。
アルコールの多飲・食品で血管が汚れることを全く念頭にない日本の現代医学の常識には、多くの誤りがありますので、食品のチョイスではごまかされないようにしましょう。
「何を食べるか・・・」だけをメディアでは流しますが、「何を食べないか・・」が長期を見据えた健康のためには優先順位第一位なのです。
追記)
「糖質制限食」は本当に危険です。血管プラークがより堆積(悪化)し、4~5年後には脳梗塞・心筋梗塞、10年後には認知症・大腸ガン・前立腺ガンのリスクが極めて高くなるでしょう(根拠はこのサイトに掲載)。
つい最近、知人で、1年前に糖質制限食を勧める本を読んでご飯やパンを控えて、揚げ物・甘い物を好む糖質制限食をしていたDrが心筋梗塞で一命を落としそうになりました。そして初めて診察させていただくと、頸動脈以外の血管にプラークがかなり溜まっていたのです。頸動脈エコーは以前に検査を受けており、プラークも極軽度で安心していたらしいです。1年間の糖質制限食でも心筋梗塞を後押ししたのは間違いありません。
プラークは2年で0.4mmも溜まることがあるからです(サイト掲載済み)。
身体8カ所の「血管プラーク」を検査することなく、糖質制限食の「酸化ストレス、糖化ストレス、A1c、体重、体脂肪率・疫学調査結果・・・」がどうだ、こうだからとか、肯定派のDrも、慎重派のDrも、ましてDrではない方々も議論などをしている場合ではないのです。
追記)
血管プラークの掃除はマクロファージという細胞(白血球の一部)がしてくれますが、この細胞の貪食能を高める食品をできれば頻繁に摂取しましょう。豆乳ヨーグルトの乳酸菌や酵母菌による発酵成分であるスフィンゴシンなど,ビール酵母(製品としてエビオス:粉末・錠剤の製品)の食物繊維として含まれる多糖類のβ-グルカンなどがマクロファージの活性を高めてくれます。他にモズクなどに含まれている多糖類のフコイダンにもそのような作用があるらしく、ある大学で研究中。その他、ビール酵母に含まれているナイアシン(補酵素)は脂肪代謝を促進し、頸動脈プラークの形成抑制効果も報告されています(米国:ARBITER 6-HALTS試験)。また、ビール酵母にはグルタチオンという成分も含まれており、これは抗酸化作用があり、脂質などの酸化をある程度は予防してくれるでしょう。古典的なサプリが一番安くて、貴重な希少成分やアミノ酸(蛋白質であるアルブミンの原材料)も多く含まれており、一番最先端のサプリだと思います。
さらに気をつけたい方には、脂質の酸化(劣化)を軽減する目的で、還元水の飲用が有益かもしれません。水道水を酸化水と還元水に分ける装置のレンタル使用などが便利でしょう。
追記)
当院ではエビオス(粉末・錠剤の製品)を、血管プラークがある方、風邪をひきやすい方・・・にお勧めしています。(2020/7月~錠剤も解禁。効果に差を感じないので)
理由:人は「真核生物(酵母菌やミドリムシなど)から・・>魚・・>人」へと進化しています。
また、「真核生物(酵母菌やミドリムシなど)から・・・>藻・・・>野菜・バラなどの植物」へも進化しています。
つまり、酵母菌やミドリムシなどは、人間やバラに必要な酵素やアミノ酸やその他の必須成分など・・いわゆる栄養成分を全て兼ね備えていることになります。でも、ミドリムシのクッキーは脂質が多いので要注意です。
つまり、進化のプロセスを考えると、人類に必要な基本的成分は酵母菌やミドリムシを食べれば、野菜・魚の肉・動物の肉を食べないでも、必須な成分を補給できることになります。
さらにマウスの実験ですが、豆乳(無調整)を“酵母菌と乳酸菌”で発酵させたときにできる物質が、マクロファージの貪食能(プラークなどを食べる能力)やガン細胞を捕食する能力を高めてくれます(蔭浦禎士、他:日本栄養・食糧学会講演)。ただし、乳酸菌(ヨーグルト)の過摂取は厳禁です(2022年8月1日時点の見解ですが、乳酸菌の適切な摂取量は後述)。
******2013/10/28追記******
追記)
最近、個々の食品に対する質問が目立つようになりましたので、プラークを肥厚させないための食品・料理(調理)済みの食べ物に対する仕分け作業の基本原則を記載します。
砂糖や果糖などの糖分(糖質ではない)や脂質を減らすように指導していますが、闇雲に減らすわけではありません。
血管プラークを減らすための食品・食べ物・食べ方・調理法・料理法に関する基本的姿勢。
「砂糖・脂質・調味料に関して」
1. 今まで記載した食品に関してですが、日本人の食生活に必要不可欠な食材・調味料は容認。
例えば、寿司のご飯に入れる砂糖や味付きポン酢の砂糖成分、ノンオイルドレッシングの砂糖成分など。醤油・味噌は全く問題なし・・塩分は普通に摂取可です。
(基本的に代替え品が無い場合は容認ですが、煮付けなどでは"うま味成分"を極力利用しましょう。「みりん」「砂糖」の使用は可ですが、煮物に植物油を入れるのは不可です。)
2.「全ての植物油」は加熱しないでも・・・摂取は控える方が無難です。
魚の缶詰は大丈夫か?******2016年3月28日 修正
私の書籍「脳梗塞・心筋梗塞は予知できる」(幻冬舎)2009年 に記載した血管プラーク病にならない食事(第五章)の中で、独り住まいの男性のための簡単でお手軽メニューとして、「メインは青魚缶詰」・・と記載しています。 ただし、現在までに3例の青魚缶詰の多食によると思われるプラークの悪化事例を経験しました。2例は週に4~5缶以上の味噌煮や蒲焼き6ヶ月以上も継続して食べていた方。1例は最初の3ヶ月はWebの食習慣を守られてプラーク改善傾向にあったのですが、その直後からは、書籍が青魚缶詰を勧めているので、味噌煮や蒲焼きの魚の缶詰を週に3回食べる事を、3ヶ月間続けられた後に来院されました。驚きですが、初診時のプラークよりもやや悪化していたのです。原因としては魚の缶詰に使用する魚自体の脂質が多いからです(後に判明)。
備考:3例中の1例は、焼酎の飲み方にも問題がありそうで・・魚の缶詰に関しては更に時間をかけての検証が必要です。→2018 年1月現在:魚の過食はプラークが悪化する事が判明(後述)。
(2016年3月28日時点での考察:プラークが悪化した原因として、缶詰の魚の酸化やタレの影響は少なく、「魚そのものの脂質の量」が問題であり、一人で週に3個のサバ缶詰の魚肉は、この方では摂取過多だったと思われます。「サバ缶ダイエット」をされている方はご注意下さい。青魚(脂の多い、おいしい魚)の過食は危険です)サバの水煮缶を習慣化するとプラークが増加するでしょう。
(油入りの魚の缶詰は避けるべきです)
魚は面倒でもやっぱり「魚屋さん」で買って簡単に工夫して調理しましょう。
食後のスイーツ(甘いデザート)は何がよいか?
デザートにヨーグルトは禁止です。果物の生食がベストです。果物の量は特に制限ありませんが、糖尿病の方はご注意ください。なお、バナナとレモン・完熟ではないキウイだけは控えましょう。
ヨーグルトをデザート感覚で勧めたのは間違いでした。たとえ脂肪0のヨーグルトであっても、1回の摂取すべき量は30g です。しかも、毎日ではなく1日置き(週に3~4回の摂取)にしましょう。(2021年4月29日修正)
甘い物欲求に負けそうになった時は、干し芋・かるかん饅頭・いきなり饅頭・白米のポン菓子や果物(バナナ以外)がお薦め。玄米のポン菓子やトウモロコシの炒り菓子(ポップコーン)もOKです。ポップコーンに関して・・ポップコーンの市販品は、油や添加物で味や色付けしている品が多いので、無油で自家製がお勧めです。無油ポップコーンの作り方はネットで参照ください。
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