今までの、「魚の油(魚油)の頻回な過食は動脈硬化を進行させる」(動脈硬化の未来塾53)や「植物油の頻回摂取は健康に悪影響(動脈硬化を進行させる)」(動脈硬化の未来塾54)というプラークの科学的な観察から得られた新事実に加えて、
「植物が含有している油脂成分(油に精製していない脂質でも、例えば大豆やナッツ、ピーナッツ、アボガドなど)の過剰摂取は危険(動脈硬化が進行する)」であることが判明しました。
まさしく、豆腐・納豆・炒り豆・煮豆・豆乳・豆乳ヨーグルトは“畑の肉”でした。
“健康にいい大豆だから”といって過食はいけません。ちなみに、100g当たりの脂質量は「乾燥大豆(19.0g)、木綿豆腐(4.2g)、絹ごし豆腐(3.0g)、豆乳(2.0g)、豆乳ヨーグルト(2.8g)、納豆(10.0g)、きなこ(23.4g)、ゆで大豆(9.0g)、ゆで枝豆(6.1g)、おから(3.6g)となっています。味噌類では「金山寺みそ(3.2g)、豆味噌(10.5g)」など。
なお、フライビーンズ:20.8g、油揚げ:33.1g、がんもどき:17.8gはいずれも揚げ物なのでNGです。
(2008年度食品成分表を基に記載:年度、産地、品種で農産物の成分は微妙に異なるも大差なし)
ちなみにブタのヒレ肉(1.9g)、鶏のムネ肉(1.5g)、ササミ(0.8g)、タラ(0.2g)、卵白(0.0g)、ツナ缶(1.5g以下の製品、主に原材料はカツオ)。 (**g)は100g当たりの脂質の量ですが、これらは豆腐よりも脂質量が少ない。
(2018年4月出版の書籍には豆乳ヨーグルトは200gまでと記載していますが、豆乳ヨーグルトは脂肪0の豆乳ヨーグルトが販売されるまで、当分禁止です。増刷分では修正予定)。コレステロール0商品は、脂肪0ではありませんので、くれぐれもご注意ください。
豆乳は余計な脂質になりますのでお控え下さい。
納豆は推奨品から除外です。過食はプラーク進行につながりますので、どうしても食べたい方は、ミニパック(20g)を週に1回(1パック)まで、普通サイズの納豆(40g)なら週に1回(半パック)までが推奨です。くれぐれも適量をお守り下さい。ただし、プラークの治療を優先すべき人は、納豆は当分控えて下さい。
ちなみに、味噌100g当たりの脂質量は「麦味噌(1.2~4.3g程度)、米味噌(3.0~6.0g程度)、豆味噌:八丁味噌、名古屋味噌など(10.5g前後)、合わせ味噌(2.5~4.5g程度)」です。
1人1日1回とした場合の摂取量は大さじ1パイ:18gですから、味覚上の適量があるので、過食はされないでしょうが、毎日のことですので、なるべく100g当たりの脂質量が3.2g以下の製品にしましょう。
「大豆と小豆(アズキ)は全く別の食べ物です」大豆の脂質はアズキやグリーンピースの9倍、ゆでソラマメの45倍です。
ゆで大豆は100g当たりの脂質は9.0g でも、ゆで小豆(アズキ)は1.0gです。栗0.5g、サツマイモ0.2g。和菓子の粒あん0.6g、(普通はアズキ使用)、ゆでソラマメは0.2g、えんどう:ゆでグリーンピース1.0g、いんげん豆:ゆで豆(1.0g)、ゆでトウモロコシ(1.7g)です。(主に2008年新食品成分表より)・・・金時豆・大福豆と同じく“いんげん豆”なので“ゆでいんげんまめ“(1.0g)です。 同じ煮豆でも、アズキ・いんげん豆類・金時豆の煮豆と、大豆の煮豆は全く異なる食べ物とお考え下さい。
大豆・大豆製品は・・・医学(プラーク学)的に・・・「野菜ではない!肉!」・・事実です
おはぎ(1個67g)中の脂質は0.61g
洋菓子よりも和菓子・・これは正解でした。
「食品に関して、過ぎたるは及ばざるごとし」ですので、多くの食品の素材の脂質量(100g当たり)を知っておくことは重要ですが、細かく脂質量を合計して計算しないで下さい。
糖尿病食や人工透析食みたいに、数字に怯えた食事になりかねません。
脂質の総量を計算してストイックに脂質制限される方の出現は全く希望していません。糖質制限の弊害の二の舞にはなって欲しくないのです。
<ナッツ類の過食はNGです>
糖質を制限する場合は、脂質または蛋白質でカロリーを摂取する必要があります。
糖質制限を引きずっている人は、RAP食を指導しても、糖質(主食)を制限して、大豆やその加工品、ナッツ類の過食に走る傾向にあります。
過去の“糖質を制限して体重が減った“という成功体験は、RAP食による速やかなプラーク減少(改善)のブレーキになります。
大豆の脂質でも、過剰摂取はNGであることが明白になりましたので、ナッツ類の脂質も同様であろうと推察されます。そういう観点で診察すると、
RAP食でプラークが次第に悪化する人があり、訪ねると、ミックスナッツの過食(本人は、以前、糖質制限で体重が減ったという成功体験(快感経験)でナッツを過食)を続行していました。週にアーモンドやミックスナッツを200g食べていました。ナッツの1個を平均1.3gとすると、週にナッツ類を154個(1日22個)食べている計算になります。
「男性でナッツ類の過食はないだろう」という私の先入観と、本人の「ナッツ摂取は体重減少の味方」という思いがあり、2年半の診察でナッツの過食に気付けませんでした。他の食習慣はそのままで、ナッツを止めて結果を観察する予定ですが、RAP食にナッツは必要ではありませんので、ナッツ類、ピーナッツ、アボガド、オリーブを過食されている方はくれぐれも御注意下さい。「素焼きのナッツだから・・油で炒ってないので良い脂質」と考えていたのは間違いでした。
<植物性の脂質(素材含有)も摂取過多はNGです>
考えてみれば、石油も石炭も植物(動物)プランクトン、植物の死骸です・・また、雑食性のブタはトウモロコシや大豆油粕・菜種油粕だけを飼料として食べても脂を作れます。
原子、分子で考えれば・・トウモロコシや油粕の脂質でも分子に分解され、その後にブタの体内で脂として再合成されるわけですから・・・
植物性の脂質はプラークに関係ない・・・と考えること自体が・・非科学的発想だったと反省です。
多くの糖質制限から抜けきらない方々は、くれぐれも御注意下さい。
「たとえサバの水煮缶やナッツで血管が強くなったって、管の中が汚れちゃおしめーよ!」と、寅さんなら啖呵きってくれるでしょう。
2018年2月20日:追記
<納豆の摂取制限をします。納豆は週に1パック(約40g)までに制限>
このサイトや別のサイトで、牛乳で作ったヨーグルトの多食や牛乳の多飲は動脈硬化(プラーク)を進行させる・・と述べていますが、現在までの観察結果からは、それは原料が牛乳だからではなく、含まれている脂質の単なる過剰摂取による影響と思われます。
なぜなら、豆乳や豆乳ヨーグルト、納豆、炒り豆でも・・動脈硬化(プラーク)が明らかに進行します。
昨日豆腐:1/4丁を食べなかったら、今日は豆腐を1/2丁摂取でもOKです。
(今まで疑わなかった大豆を疑ってプラーク観察すると、前述の大豆食品の過食でプラークが明らかに悪化した5例は・・ほんの一部であることが判明しました。)
全ての食品(動物性の脂質、植物性の脂質にかかわらず)の脂質を習慣的に過剰摂取すると、明らかに・間違いなく・・プラークが進行します。
その意味で、EPA製剤は1日900mgx2回で服用する場合が多いですが、EPAも油の一種ですから中性脂肪が高いからといって・・1日900mgx3回で服用するのはおすすめできません。
納豆菌は加熱でも死なないくらいに丈夫な菌ですから・・納豆は毎日1パックではなく半パック(約20g)で充分ですし、半パックを1日置きでもかまいません。
納豆嫌いなら、無理して食べなくてもOKです。その代わり、味噌汁や豆乳ヨーグルトをお忘れなく。
<治療のためのRAP食では、週に2回以上口にする魚または肉は、100g当たりの脂質量が2.0g以下の食品をチョイスすべきです>
プラークの原材料となる原因食品の全容が判ってきました。
健康には・・「肉がいい」・「魚がいい」・「青魚がいい」・「白身魚がいい」・「大豆がいい」・「ナッツがいい」・「上等のオリーブオイルならいい」・「豆乳がいい」・「大豆がいい」・「酸化していない植物油はいい」・「動物性の脂質は健康に悪くて、植物性の脂質は健康にいい」・・これらの単純な解説・・ある意味・・動脈硬化(プラーク)に関しては・・・全てウソです。
地球上の生き物(植物・動物)の脂質は、その種類によって多少炭素原子の数が違っても、結局はプラークの原材料になり得ます。
プラーク(動脈硬化)の治療目的でRAP食を行うなら、週に2回以上口にする魚または肉は、100g当たりの脂質量が2.0g以下、できれば魚ならタラ・イカ・タコ・アンコウ・近海のカレイ・カワハギなど・・、肉なら鶏のムネ肉、ササミ・ムネ肉や卵白(脂質ゼロの鶏肉:全卵1個が60gとして、卵白1個分の重さは約40g。蛋白質は約10%の4.0g、その他はほぼ水分)などを蛋白質供給源にすべきです。ちなみに、納豆1パック40g中の蛋白質は6.6gですから、卵白だけ1.7個分食べると、納豆1パック分の蛋白質を補えます。
<現代人にとって「食べ過ぎたら危険な納豆」・・に比較してナッツ類の摂取を考える>
ナッツ類の約50%は脂質(後述)ですから、ナッツを毎日4個(1個1.3gとして5.2g)食べるということは、2.6gの脂質を毎日摂取することになります。この脂質の量は、やや大きめの50g入り納豆(脂質は5.0g)の半パックや豆乳ヨーグルトの100ccに相当します。 納豆や豆乳・豆乳ヨーグルトの過食で明らかにプラークが進行しますのでナッツ類の毎日の摂取は危険です。
ナッツを毎日20個食べると、脂質量は13.0g・・・
これは普通の納豆1パック(40g:脂質は4.0g)の3.3個分、豆乳ヨーグルト(脂質は2.8%)の460cc,豆乳(脂質2.0%)の650ccに相当します。(備考:国産ゆで大豆の脂質量は100g当たり9.0g、でも納豆は100gあたりの脂質は10.0g・・計算しやすいです・・)
また、ナッツの20個は、輸入牛のヒレ肉(4.8%が脂質)270gに相当する脂質となります。感覚的に普通の食事+輸入牛のヒレ肉270gを追加して食べて・・・悪くならない方が不自然です。
RAP食+毎日ナッツ20個でもプラーク悪化しますから、普通食+毎日ナッツ20個なら・・プラークは大変なことになります。
血管プラークを考慮しない医学研究結果は、海外の疫学調査結果でも100%信用してはいけません。
大豆でも過食ならプラークが進行します。・・したがって・・「脂質が多い食品@@を・・多く摂取した群ほど動脈硬化疾患(血管プラーク病)が少ない」・・などの疫学調査があれば・・絶対に怪しいと疑ってかかりましょう。
参考までに、いわゆるナッツ類・木の実の脂質量ですが・・・( )=100g当たりの脂質量
アーモンド(53.6g)、エゴマ(43.4g) 、カシューナッツ(47.6g) 、カボチャ(51.8g) 、ギンナン(1.3g)、クリ(0.6g)、甘栗(0.9g)、クルミ(68.8g)、ココナッツパウダー(65.8g)、炒りゴマ(54.2g)、ピスタチオ(56.1g)、炒り“松の実”(72.5g)、炒り“らっかせい”(49.4g)、バターピーナッツ(51.3g)、アボガド(18.7g)、ピクルスのオリーブ(15.0g)。
2018年3月8日 追記・・・・・・緊急安全性情報!!
<現代人にとって「食べ過ぎたら危険な大豆・納豆」・・を考える>
「納豆とプラークとの事実関係・・実例に学ぶ」
Case6:
70代の男性で、2016年7月に心筋梗塞。
2016年11月当院初診。・・豆乳ヨーグルトを1日150g(脂質4.2g:納豆1パック相当)摂取開始。
7ヶ月経過しても頸動脈プラークの改善が悪いために、
2017年6月~嫌いな納豆を毎日1パック(40g)食べていただきましたが・・プラークが悪化しました・・・その原因・理由とは? (IMT=*.**mmです)
右頸動脈IMT=2.16(16年11月)→2.19(17年3月)→2.19(17年6月)→2.17(2018年2月)
右大腿動脈IMT=2.12(16年11月)→1.90(17年3月)→1.98(17年6月)→2.45(2018年2月)
左大腿動脈IMT=1.70(16年11月)→1.69(17年3月)→1.73(17年6月)→1.99(2018年2月)
(要約)2016年11月からの当時のRAP食(豆乳ヨーグルトを1日150g摂取開始)指導で右大腿動脈だけ改善傾向でしたが、2017年6月:右頸動脈と左大腿動脈の改善不良でしたので、(この方は納豆嫌いでしたが)納豆を毎日1パック(40g)食べていただく様に指導したところ・・・2018年2月にはプラークが激しく肥厚しました。
しかし詳しく問診すると、
1)2017年6月から、確かに納豆1パック(40g)を毎日食べ始めました
2)以前から、毎日「ゆで大豆」40g程度を料理として摂取。・・
3)以前から、胚芽米100%を1日3膳は食べている
4)2016年11月~豆乳ヨーグルトを1日150g摂取
5)初診時以降、RAP食にし、その他の食習慣に変更はない。
(初診時当時はRAP食に大豆・大豆製品の摂取制限はなかった)
<玄米100%食は本当に健康にいいのか?>
玄米100%は、脂質が多いのでおすすめしません。経験上、プラークの治りが悪いです。
その理由とは・・・
玄米100%を一膳(150g)いただくと1.0gx1.5=1.5gの脂質になります。
1日3膳なら1.5 x 3=4.5g
白米100%を一膳(150gをいただくと0.3gx1.5=0.45gの脂質になります
1日3膳なら0.45x3=1.35g
白米を全て玄米100%にすると、1日の脂質を4.5-1.35=3.15g余計に摂取することとなります。
この3.15gの脂質、は納豆1パック(40g:脂質は4g)の3/4個分に相当します。
備考:(2008年度新食品成分表を基に計算:作物は年度、産地、品種で若干異なります)
普通の食習慣のまま・・主食だけ1日3膳を100%の玄米にすると、毎日納豆3/4パック食べ続けることになりますので、くれぐれも御注意下さい。
RAP食のベースは白米であり、白米を80%以上にして、雑穀や玄米・胚芽米・大麦などは混ぜるだけにしましょう。
『2022年9月時点の見解:玄米100%の場合、プラークの治りが悪いという経験は、食べられている玄米が必ずしも、完全無農薬栽培のお米ではなく、市販の玄米の場合が多かったのではないか? そうすると、極微量の残留農薬が付着し、それを日常的に摂取することで、腸内細菌叢のバランスが破綻し、マクロファージの貪食能が低下した結果、プラークの退縮にブレーキがかかったと考えられます。玄米や雑穀は必ず無農薬栽培の品をチョイスすべきです。』
<運動していたら納豆は多めに食べていいか?>
「大豆とプラークとの事実関係・・実例に学ぶ」
Case 7:
78歳の男性で、プラークの治りが遅いが着実にプラークが改善中の1例です。
大豆製品:豆乳ヨーグルト300g+納豆は毎日2パック中ですので、普通ならプラークが悪化しますが、プラークは改善中です。
その理由とは・・・運動を良くしている・・
「毎日筋トレ1時間+トレッドミル歩行器で時速6Kmを30分(約3Km走)+自転車こぎ20分(60の重い負荷で)・・・運動すると脂質が多く燃焼するのでしょう。
『2022年9月時点の見解:プラークの治りが遅い原因は納豆の毎日2パックの摂取と思われます。納豆を食べていなければ、治るがもっと早かったでしょう。
運動していなければ、激しくプラークが肥厚していたかもしれません。』
成長期の子供~20歳頃までは、納豆は毎日1パック、豆乳ヨーグルト100g程度は問題ないと思います。子供~成長期までは美味しい揚げ物、美味しい肉の脂身を好きな子にさせない程度の食育でよろしいでしょう。誤った健康食品情報を信じ・・乗せられて、毎日植物油やナッツ、チョコレートなどを食べている人などは、33~35歳までに必ず8ヶ所の血管エコーを一度受けて下さい。通常は、RAP食は35~38歳頃から始めましょう。
<運動できない人:車椅子生活者の納豆・大豆製品の摂取に関して>
プラークが沢山溜まっていて、車椅子生活の人など、納豆、ナッツ、チョコレートの食べ方は慎重に。 「大豆とプラークとの事実関係・・実例に学ぶ」
Case 8:
76歳の男性。車椅子生活中。20016年6月からプラーク改善目的で通院中ですが、プラークが悪化傾向で不思議でした。しかし2017年10月から2018年2月の間で、プラークが激しく進行しました。
初診時からの治りが悪い原因は、運動が全く出来ないのに
1)以前から納豆は時々食べていたが、2017年10月~納豆を毎日1.5パック努めて食べていた。
2)以前から、ピーナッツ5粒、クルミ4-5個、アーモンド3-4粒、チョコレート2粒を日替わりでほぼ毎日食べていた。
(毎日ナッツ類の脂質を約3g摂取)・・・納豆換算 納豆30g
3)以前から、炒り豆30g(脂質6.3g)を週に3回・・毎日脂質を約3.0g食べていた。
・・・納豆換算 納豆30g
4)2016年6月の初診から豆乳ヨーグルト100g(脂質2.8g)を毎日食べていた。
・・・納豆換算 納豆28g
*この方のプラーク悪化傾向の原因は、納豆換算で納豆30+30+28=88g(約2パックの納豆)に相当する脂質8.8gを毎日食べていたことになり、激しくプラークが進行した時期には、納豆3.5パック相当の脂質を余分に(納豆を食べない普通食よりも)摂取していた計算になります。