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マーケティングの工夫が成功の鍵 食品メーカー

2012年12月04日 | 日記

マーケティングの工夫が成功の鍵 食品メーカー

ITmedia エンタープライズ 12月4日(火)8時9分配信

 「日本の食べ物は美味しい」日本人ばかりでなく、海外から日本に訪れた外国人の多くが共通に持つ日本での感想である。しかし、日本の食品メーカーの海外売上高比率は決して高くない。みずほコーポレート銀行の調査によると、食品メーカー主要31社の海外売上高比率は07年より20%程度で横ばいであり、そのうち20社以上は20%に達していない。

 例えば、日本ではマヨネーズ、ドレッシング、ジャム(アヲハタ)などで高いブランド力を持つキユーピーは、昨年度の売上高は4864億円だが海外売上高比率は5%にも達しておらず、ここ数年その割合は横這いである。日本で評価されるブランドを築きながら、なぜ海外での売上が伸びないのであろうか? 海外で成功を収めている他の食品メーカーの取組と何が違うのであろうか? 成功企業の取組も概観した上で、キユーピーのような食品メーカーが今後、海外展開を行う上でどのような視点が必要かを検討してみたい。

 キユーピーは、海外進出という観点からは決して後発組ではない。1981年にはタイの現地企業と技術提携を行い、キユーピー印マヨネーズの製造販売を開始している。翌年には、米国に子会社を設立してやはりマヨネーズの製造販売を開始している。しかし、同社の海外売上高比率は09年度よりあまり変化していないようである。

 同社は、15年度の海外売上高比率10%、海外営業利益率10%以上を目標に取り組んでおり、昨年度は中国での売上を現地通貨ベースで3割伸ばすなど徐々に結果は出てきている。しかし、同社の日本での実績、先行する他社の実績などから見ると、本来の力を出し切っているとは思えない。キユーピーのような日本で評価されている食品メーカーが海外に進出して結果を出すためには、どのような視点や取組が必要なのであろうか。

 海外で成功を収めている食品メーカーとしてまず名前が挙がるのは、恐らくキッコーマンだろう。同社の2012年3月期の海外売上高比率は45%、海外営業利益率は69%を占めている。1957年という非常に早い段階から本格的にアメリカに進出し、醤油=キッコーマンと認識されるまでに浸透させた。

 キッコーマンが「醤油は肉と合う」ということをスーパーでデモンストレーションし「デリシャス・オン・ミート」という販売キャンペーンを繰り返し行い市場で浸透を図って成功してきたのは有名な話である。「おしょう油をその国の文化にしっかり根ざした調味料にしていこう」というのが、キッコーマンの基本的な海外戦略である。

 ヤクルト本社も60年代から海外にビジネスを展開し、2012年3月期の海外売上高比率は24.3%、海外営業利益率は41.2%となっている。ヤクルト本社は、日本流のヤクルトレディによる宅配型の営業を地道に展開することでここまでビジネスを広げており、現在は海外のヤクルトレディが約4万人いる。消化管内の細菌叢を改善し、宿主に有益な作用をもたらしうる有用な微生物と、それらの増殖促進物質であるプロバイオティクスを商品のコアとしている同社は、この販売方法が最適だとしている。

 プロバイオティクス製品が効果を発揮するためには、継続的な使用が前提とされる。スーパーなどで拡販して一時的に購入しても効果が出ないため、リピーターを作ることは難しい。ヤクルトレディが効果と使用方法を丁寧に説明し、効能を理解した上で、少額の購入を継続してもらえる顧客を開拓する必要がある。そのためには、日本で作り上げた宅配型営業が最適であり、その手法を愚直に実践し海外のビジネスを展開しているのである。

 両社を含め、これまでに海外で成功を収めてきている食品メーカーに共通している要素は、言うまでもなく「泥臭い営業」である。これまで食したことがないものを口に運んでもらう、継続して買ってもらうためには、まずその良さを分かってもらわなければならない。「体験」である。

 一度良さが分かり、美味しさ、栄養、安全性といった日本製品の品質を理解してもらえば、成功の道筋が見えてくる。先陣を切った多くの企業が、「泥臭い営業」を愚直に行ってビジネスを作り上げてきたわけだが、これから海外進出を本格化しようという企業には、過去にはなかった追い風が大きくいって3つあると思われる。これらを最大限に利用すれば、日本の食品メーカーはスピーディーに海外展開を実現できるのではないだろうか。

●海外進出に3つの追い風

 まず、ここ数年で大きく変化したことは「日本食」に対する海外の認知度である。先進国ばかりでなく、多くの新興国でも本格的な日本食レストランがあり、タイやインドネシアのCVSでも寿司が販売されている。また「健康的」で美味しいというイメージも浸透してきている。更には、日本のSMやCVS各社も積極的に海外展開しており、販売チャネルも日本の食品メーカーにとっては以前と比べれば格段に広げやすくなってきている。

 この環境変化の中では、これまで食品メーカーが日本市場で行ってきた販売手法も大いに生かせるだろう。例えば、キユーピーの場合は、09年度より日本で「コの字展開」という販売戦略を実行してきている。多くのSMは、入り口から外壁に沿って「コの字」に生鮮品(野菜、鮮魚、精肉)とデリカを配している。

 キユーピーの提供するマヨネーズやドレッシングを中心とするソース類は、これら生鮮品などをおいしく調理するための調味料である。いわゆる「コの字」を跨って売場の中央にある日配品が料理をコーディネートする提案をし、クロスセルを行う手法である。お客様の要求が非常に厳しい日本で磨き上げてきたこのような手法は、海外のお客さまに「体験」を提案するには必ず生きるであろう。海外に進出したSMやCVSで地場を作るのにも貢献するはずであり、Win-Winのビジネス展開につながるのではないだろうか。

 次に、スマートフォンやタブレット端末を中心としたネット接続環境の急速な普及である。新興国は、光ファイバーなどを使った有線での通信インフラが未発達だった分、PCでのネット活用は普及が遅れていた。一方、衛星なども利用した無線インフラの普及に積極的で、一足飛びに無線インフラが普及してきている。そのような状況で、近年のスマートフォンやタブレット端末の普及には勢いがある。

 グーグルのユーザーアンケート調査によると、アジア新興国のスマートフォン普及率(2011年時点)は、最も高いのがシンガポールの62%。以下、タイ28%、インド23%、インドネシア17%、マレーシア9%と続き、日本の6%を上回っている。このモバイル端末保有者の多くが利用しているのがFacebookやTwitterなどのソーシャルメディアである。(例えば、インドネシアはFacebook利用率世界第3位、約4,300万人が登録、Twitter利用率世界5位である。)

 これらのメディアをうまく活用すれば、味や品質、そして料理での活用手法などをユーザーに広げてもらう、口コミを通じてのマーケティングが可能になる。工夫次第で、コストレス・工数レスでスピーディーなマーケティングを行うことが可能な環境である。

 メキシコでカップラーメンといえばマルちゃんと認知されている東洋水産も、ネットで顧客の意見を取り入れて現地向けの商品を開発しているようだ。しかし、残念ながら海外への進出が遅れている食品メーカーは、このようなメディアをうまく活用できていないようだ。

 キユーピーは、2010年に米Amazon.comのマヨネーズ部門売上1位(先日著者がチェックした時は11位)を獲得し、多くのユーザーから満点の非常に好ましい評価をもらっている。「どんな食べ物にも合う」「つけるとすべてのものが美味しくなる」「プラスチックソフトボトルは、デコレーションに使える」など、願ってもない口コミをもらいながら、同社広報の反応は「日本で食べて気に入った方が、向こうで買っているのでしょうか」というそっけないものだったそうである。

 非常にもったいない。これからは、ネットも上手く活用してマーケットに入り込んでいき、このようなユーザーの意見を聞き、生かす取り組みを行っていけば、市場へスピーディーに浸透していくことが可能だろう。

 最後は、これまで先陣を切ってきた同業種、異業種の事例である。ファーストムーバーは、前例もなく自ら試行錯誤しての取り組みが必要となるが、後発組は先例を生かすことができる。例えば、マンダムはインドネシア人の可処分所得を考慮して1袋3円に小分けをしてギャツビーを展開し成功を収めた。時を同じくして、以前紹介したユニ・チャームや味の素も商品を小分けにして販売価格を抑えることで市場に浸透していっている。

 これらの事例は、2009年ごろ多くの経済紙にも取り上げられたのだが、報道によるとキユーピーがアジア商圏で小容量品を販売し始めたのは今年のようである。キユーピーほどの力を持った企業であればもっと早く手を打てると思うのだが、これは生産・営業の現場を実際に見ていない筆者の見識不足であろうか。

 日本の食品メーカーの多くは、超成熟の日本市場で原燃料高、円高、デフレの環境で厳しい顧客に鍛えられ、筋肉質の企業体質を作り上げてきた。もちろん、海外での販路開拓や現地生産などを行うことは簡単ではないが、美味しく安全な商品を適切なコストで作ることができる力は、必ず海外進出においてアドバンテージになると筆者は確信している。今後も積極的に海外市場にもチャレンジしてほしいものである。

 その際には、多くの企業が海外進出のために必要な人材が課題と捉えていることであろう。しかし、まずはマーケットに体験してもらうことが重要である。極端な言い方をすれば販促の場面では、言葉など通じなくても身振り手振りでこちらの言いたいことは伝わるはずである。まずは、食してもらうことが第一。そのためには、やる気のある社員に勇気をもって果敢にチャレンジしてもらっても良いのではないだろうか。

 現在のグローバルマーケットでは、情報が広がるスピードが格段に速い。もたもたしていては、現地企業が見よう見まねでマーケットを押さえてしまうかもしれない。その前に、スピード感を持って素晴らしい日本の食品をグローバルに広げてもらいたいものである。
【井上浩二】

(ITmedia エグゼクティブ)



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