毎日のできごとの反省

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なぜ米軍は日本の艦船にスキップボミングを始めたか?

2015-07-16 14:50:02 | 軍事技術

 元々米軍は双発機以上の大型の機体による雷撃は、魚雷の投下場所まで直進しなければならず、しかも目標が大きいので対空砲火による危険が高すぎると見ていた。従って米陸軍も大型爆撃機に雷装はしなかった。しかし日本陸軍のように、はなから艦船攻撃を考慮していなかったのとは異なる。B-17などの陸軍の大型爆撃機による艦船爆撃も盛んにやったが、その場合も中高度以上からで命中率は悪くても、安全に攻撃していた。

 艦上爆撃機ですら、米軍は急降下爆撃によって、撃沈より損害を与えて敵艦の能力を減殺することを主目的としていて、撃沈の可能性が爆撃より大きいにもかかわらず雷撃機は、従の存在だったことからも、米軍は雷撃による被撃墜を考慮していたと推定される。

ところが戦争中期頃までに、米軍と比べると、日本の艦船の対空防御能力が著しく低いと見切ってしまった。しかし、今更爆撃機に雷装する改造を施しても、コストがかかるだけなので、爆撃により雷撃に似た効果がある、スキップボミングを採用した、という訳である。

爆弾は魚雷より遥かに安く、軽量である。しかも、魚雷より速度が桁違いに大きいから命中率が高い。舷側に命中するから、装甲の薄い艦船なら撃沈が可能である。。欠点のひとつは、海面を跳ねるように、爆弾を投下するのに技量を要することだが、魚雷とて、それなりの腕が必要である。欠点の最大のものは、波浪の高さによる爆撃実施不可能な場合があることと、一定時間飛行コースを維持しなければならず、対空砲火を受けやすいことである。

雷撃同様に、爆撃コースに入った時の対空砲火対策として、B-25などは艦船や地上攻撃用として、機首に機銃や大口径火器を固定して、銃砲撃しながら攻撃できるような型もあったから、艦船の対空砲火を制圧しながらのスキップボミングもできた。いずれにしても、スキップボミングが多用されたのは、駆逐艦などの小艦艇や輸送船など、元々日本の艦船でも防空能力と装甲がなきに等しいものであったからである。