毎日のできごとの反省

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日本の思想の分裂

2020-05-11 16:05:11 | 自虐史観

 日本では、反日左翼だとか、右翼だとかいう思想の大分類がなされている。これは明治維新以降、ことに米軍に占領された以後の実態からすると、あまりに左右の対立軸だけにとらわれた発想ではなかろうか。

 日本を含む多くの国は歴史的経緯から、単純に左右の対立軸以外のものがベースとして存在する。典型的なのが旧ソ連の支配地域で独立した国々である。例えばバルト三国やウクライナなどにおいては、元々の住民をシベリア開発のために、強制的に移住させた。その代わりにシベリアより環境のいい、これらの国々には、ロシア系の人々が送り込まれた。

 元々は、これらの国々に送り込まれたロシア人とて、好き好んで住み着いたわけではないが、何十年も住み着いて、世代が変われば、もはやそこは自分の故郷となる。従って、非ロシア人の共和国には、何割にもなる、多数のロシア系住民が住み着く。すると彼らは親ロシア系住民となる。多くロシア系住民は、ロシアによって併合された方が良いとすら考えている。そのような人たちが国内に何割もいれば、国論の分裂は当然であり、左右の思想問題ではない。

 このような紛争が現に東部ウクライナの、ロシアとの紛争として現れている。ロシア系住民はロシアから送られた特殊部隊と呼応して、東部ウクライナのロシア併合を画策して紛争になっている。このように単純な思想問題よりも根底に、歴史的経緯に起因する根源的な問題を抱えている国は多いのである。

 ミャンマーのロヒンギャ問題は、英国統治の残滓だから、アウンサン・スー・チー女史と雖も解決は容易ではないのである。実は日本にも歴史上初の外国統治の結果として、大きな思想分裂を起こしている。それは七年間による米国統治による、反日思想がそれである。米国が、マスメディアに対する徹底的検閲によって、戦前の日本は悪の塊であった、という思想をすりこんだ。

 戦前からのノーマルな思想を持つ人物は、公職追放によって、マスメディア、思想界、教育界、政界、財界等から徹底的に追放されたから、教育も報道も、全て日本は悪い国だった、ということがベースとなっている。多くの日本人は、意識しようとしまいとこれらに囚われているのである。これらの事情は江藤淳氏の「閉ざされた言語空間」などの一連の著書で明らかにされている。

 社会人になったばかりの頃、戦前生まれの人生の大先輩の知人から「手紙と言うのは皆開けられて検閲されているのだよ」と聞いて驚いた。戦前に検閲があったとは聞いたが、マスコミの話であろうと思っていたのである。この先輩はあたかも現在も私信の検閲が行われているごとくの口振りだったから呆れた。この先輩は、届いた手紙が開けられた形跡があった記憶があったのであろう。このような私信の検閲については、生活に窮して私信の検閲をさせられた人の著書に詳しい。かの先輩は、かつての経験から戦後何十年たっても、私信に検閲があると信じていたのである。

 このようにして、GHQによって日本の思想の基層は歪められていった。そればかりではない。戦前からの共産主義運動は暴力革命の地ならしとして、日本そのものを忌避したくなるような思想を注入していたのだから根は深い。かくいう小生自身にしても、これらの思想の歪みは自覚的には知ってはいるのだが、無意識には顔を表すことなしとはしないと自覚している。保守を自称するひとたちにも、思想の基層にGHQあるいは共産主義プロパガンダによる歪みがあることを垣間見ることが多い。それほど日本人の思想の歪みは大きいのである。

 まして、自由な思考をしていると信じている多くの日本人には、意識せずして、これらの思考の歪みがあるのである。大手マスコミ、例えば朝日新聞は、昭和20年9月に、米軍の批判をしたかどで、2日間の発刊停止を命じられて、論調が180度変わったことは有名な話である。このように日本には、というか日本にもというべきか、単純な左右の思想対立よりも歴史に根差す深い思想の歪みがある。

 同じ敗戦国でも、ドイツはうまくやった方であろう。ユダヤ人虐殺は全てナチスの犯罪であって、ドイツ民族の犯罪ではない、という立場を貫いている。ドイツ民族もナチスの被害者なのである。有名な「荒野の四十年」は日本では、ワイツゼッカーによる謝罪の書であるとされている。しかし、同書を丹念に読むが良い。ドイツ民族による謝罪の言葉などは一言半句も書かれていない。それどころか連合国による都市無差別爆撃批判の言葉すらある。ドイツは勝つことにも負けることにも慣れているのである。だから謝罪などせず、いちはやく国軍を復活している。軍需産業も再建著しい。何せヨーロッパで最も使われる主力戦車のほとんどは、ドイツ設計のものなのだから。


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