毎日のできごとの反省

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陸上要塞は艦隊より強いのか

2015-06-09 14:51:00 | 軍事

 陸上要塞は艦隊より強い、というのは定説のようである。だが、その実例はどこにあったのだろうか。大口径の要塞砲は戦艦の主砲の転用が多いから、口径において同等の艦砲の軍艦で戦うことは可能である。数においても、要塞の砲数は予測できるから、それを上回る艦隊を準備することは可能である。

 照準について、要塞砲は固定されているから、海上のどの位置にいてもそこに打つことができる、というような話を聞いたことがあるが、もしブイなどの固定目標を海上に置いても艦隊が破壊することは可能である。目標のなくなった海面の平面座標をどう設定できるのであろうか。要塞砲で陸上を打つなら、ひとつの固定目標の座標に命中させて、そこからの東西南北の距離が分かれば、座標が特定できるが、固定目標がない海上ではそうはいかない。

 反対に軍艦は移動するから、要塞砲による初弾の修正は困難である。自艦の速力と進路は分かるから、固定された要塞砲の位置があらかじめ分かれば、軍艦による初弾の修正は容易である。素人考えであるが、このように考えると、机上の検討では陸上要塞は艦隊より強いとは思われないのだが。

 余談だが、出典は忘れたが、開戦時点では日米海軍とも戦艦の主砲には、徹甲弾しか搭載していなかったそうである。零式普通弾のような榴散弾あるいは榴弾のようなものは搭載していなかったというのである。従って艦艇に対する攻撃はできても、真珠湾要塞に対する攻撃は困難である。

徹甲弾だけでは砲台を直撃しなければ、破壊は困難である。榴弾効果のあるものも混ぜなければ、有効な攻撃は困難であろう。それより随伴した空母の艦上機を使えばよい。艦戦で制空権を確保して、艦爆で砲台を攻撃する。島嶼攻撃で米海軍が常用した手法である。その間に、戦艦群は湾内の太平洋艦隊を砲撃するのである。この方が、従来、戦艦や空母が訓練や実戦で実施してきたことと乖離もない。ただし、真珠湾の太平洋艦隊を、開戦時点で攻撃すべきであったか否かは別問題である。


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3 コメント

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Unknown (風来坊)
2015-06-10 20:12:46
>>目標のなくなった海面の平面座標をどう設定できるのであろうか

軍艦が軍艦を射撃する場合でもブイなどの目標物はありませんよね?


>>開戦時点では日米海軍とも戦艦の主砲には、徹甲弾しか搭載していなかったそうである

平時から徹甲弾と榴弾は同時に搭載していたはずです。確か8対2ぐらいの割合で。


>>艦戦で制空権を確保して、艦爆で砲台を攻撃する。島嶼攻撃で米海軍が常用した手法である。その間に、戦艦群は湾内の太平洋艦隊を砲撃するのである。

制空権が確保できたのなら、航空機などに頼らなくても戦艦の砲撃の方が圧倒的に有効です。ベトナム戦争で実証済み。
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Unknown (機雷)
2015-06-19 20:53:58
断じて陸上要塞の勝ちです。
測距儀は基準線が長ければ長いほど性格な値
が算出できることはご存知だと思います。大和
ですら15m(これが世界最大)ですが陸上ならさらに長く
取れます。またブイなどを設置したりして補うことも可能
ですし機雷源で斜線に誘導することすら可能です。

 日本の八八式海岸射撃具は最新の照準システムと射撃統制装置が組み合わされ、
レンズの性能がよく測距精度が素晴らしく、事前の正確な三角測量と演習実績にて距離一万メートルで左右二十センチ、前後に二十メートルの誤差しかなく、第二斎射で命中弾が得られると見積もられていました。

制度が段違いなんです。ゆえに対馬 壱岐要塞は
巡洋戦艦赤城向けの41cm主砲塔がそのまま配置
されており長門型数隻を拘束できると言われました。

口径が上回り砲数も凄まじかったダーダネルス海峡
突破戦をおもいだしてください。38cmの当時最強の
QE型以下前ド級戦艦こみとはいえ16席を投入
せいぜい24cm砲が程度しかないのにも関わらず
緋弾多数で突破に手間取り機雷源に踏み込んだり
潜水艦の応援が間に合ってしまい戦艦5隻を喪失
してます。なお艦隊は水上機母艦の支援を受けていました
返信する
Unknown (機雷)
2015-06-19 21:09:29
つづき

>艦戦で制空権を確保して、艦爆で砲台を攻撃する。島嶼攻撃で米海軍が常用した手法である。その間に、戦艦群は湾内の太平洋艦隊を砲撃するのである。

ハワイを想定してるなら断じて不可です。日本空母の全力航空攻撃はせいぜい5回が限界です(燃料 爆弾
の搭載量から)きめ細かく砲台を叩くには飛行場を設置してしつこく敵上空をとび回れる・・・・比島攻略時の
コレヒドール要塞を落としたような状況をイメージしてください。そもそもハワイだと要塞砲は戦艦の砲塔転用
なので艦爆ごときでは叩き潰せません。また陸上砲は
遮蔽 隠蔽が可能です。硫黄島ではたった1門の14cm
砲が9000mから重巡にたいして命中弾を6発だして
大破させた例があります。この時完全に制空権が取られていたのにも拘らずです。

ww2の実践例からしても先の比島攻略で要塞砲を潰すのに陸軍は大量の重砲と観測機と時間が必要でした。独ソ戦のセバストーポリ要塞の要塞砲群(もともと沿岸砲)を潰すのに1200門と1個航空艦隊と30cm以上
の重砲を大量にかき集める必要がありました。
戦艦の砲塔転用の30.5cm3連砲(通称マキシマム
ゴーリーキー)を潰すのにどれだけ手間がかったのか。

このように艦隊程度の瞬発的な火力では全然足りないのです。
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