NHKの、再放送の坂の上の雲を見ていたら、日本海海戦開始の三笠の敵前大回頭について、敵にとっては静止目標を打つほどにたやすい、という解説があり、ロシア側も、神の御加護だ、回頭点は静止目標だ、黄金の10分間だ、三笠を撃沈せよ、と快哉を叫んでいた。だが、三笠は先頭にいる。三笠に続く艦なら三笠の航路を見て回頭地点が分かるから、そこに照準を合わせていれば当たる確率は高くなる。
しかし、三笠は先頭だから回頭地点がわかるのは三笠が回頭してからである。海戦の原則がまず旗艦に砲火を集中する、と言うことであれば、この戦法では不可能である。ロシア艦隊は三笠に続く各艦に一定の座標に射弾を送っているのに過ぎないとすれば、後続の各艦も砲火に晒されている時間は回頭地点を通過する一瞬であって長くない。
いずれにしても、こんな射撃をしていたら、漫然と回頭地点を通過する全艦に順番に射撃をしているのであって砲火を集中している、とは言えない。三笠の敵前大回頭は静止目標ではないのである。確かにロシア艦隊が三笠を狙っていたのは、実際に三笠の損害が大きかったので分かるのだが。