前回M20を処理していて、ふと思い出したのは
Drizzleという処理のことです。
Drizzleは以前UTOさんのブログで解説されていたのを見て
初めて知ったのですが、ブログの解説や、Webで調べた
ところ以下の原理のようです。
・1つの画素の中に画素以下の大きさの点情報が入るような場合、
例えば近接する2つの点が1つの画素に入ると、画像としては
1つの点なってしまう。
・しかしそこから少しズレて撮影した画像では画素と対象の位置が
変わるため、隣の画素に分離して入る場合も出てくる。
・このような画像を沢山集めて、画素情報を比較して補間することで
解像度を上げることができる。
さらにUTOさんのブログにはこんなことも書いてあます。
Drizzleは
・アンダーサンプリングの方が良い
↑の原理からすればそうですよね。
今回ビニング設定ミスでとってもアンダーサンプリング!
・位置がズレている方が良い
DOBの撮影はめちゃくちゃズレる!
・回転している方が良い
DOBの撮影は視野回転する!
・多数枚が必要(30枚以上できれば40枚欲しい)
10秒×多枚(100枚以上)で撮影している!
ということで、実はドブソニアン電動追尾経緯台による
ラッキーイメージングにはDrizzleは最適。
なんですと!!
今回のビニングミスした画像にはDrizzleが最適じゃないですか!
これは早速やってみるしかありません。
しかし残念なことにステライメージにはこの機能はないのです。
それで、またまたwebで調べてみるとRegistaxやAutostakkert!等の
フリーソフトにこの機能があるようです。
この二つのソフトは以前惑星で試してみようとインストール
してあったので早速試してみました。
しかし・・・・結果は失敗。
・Registaxは処理しようとするとフリーズ。
→古いソフトかつ惑星用メインで画素数が多いとダメなようです。
・Autostakket!3は処理はできましたが位置合わせが全然ダメ。
→どうやら回転ズレの位置合わせには対応していないようです。
こんな画像になっちまいます・・・orz
で、もういちどUTOさんのブログを
良く読んでみると、UTOさんは
DeepSkyStackerという
ソフトを使っておられるようです。
早速DeepSkyStackerをインストールして処理してみました。
DeepSkyStacker 処理完了画面
問題なく2×Drizzleでコンポジットできました。
さて、結果はどうでしょうか?
(解像度上がっているとよいなあ)
ということで階調処理、デジタル現像までやった画像を
SI9で処理したものと比較してみます。
創造の柱(拡大)でステライメージ 9と比較①
左:SI9 右:DSS(2×Drizzle)
同じ大きさになるように左は400%、右は200%に拡大しています。
右はDrizzleにより補完されて画素数が2×2倍に精細化されています。
左の方はシャギーが出てますね。(ブログではわかりにくいかな?)
創造の柱(拡大)でステライメージ 9と比較②
左:SI9(2×2倍に画素数変更) 右:DSS(2×Drizzle)
試しにSI9の方もバイリニアで画素数2×2倍に補完してみましたが、
それでもやはりDSSでDrizzleした方が解像しています。
創造の柱(拡大)でステライメージ 9と比較③ 画像処理後
左:SI9(2×2倍に画素数変更) 右:DSS(2×Drizzle)
②では差はあるもののなんとなく右の方が良いという感じでしたが、
シャープ処理、強調処理で追い込むとこのくらい違います。
ということで、DSSでDrizzleした画像を
LRGB合成でカラー化して仕上げてみました。
M16 わし星雲
ビニング設定ミスしてしまった2072×1410の292万画素画像を
Drizzle×2で4144×2820の1168万画素に解像度アップして
処理することができました。
なお、最初から4144×2820で撮影していたNGC7923らせん星雲でも
試してみましたがこちらはあまり効果が感じられませんでした。
やはりアンダーサンプリングになっている画像で効果があるようです。
今回UTOさんのブログのおかげで設定ミスした
画像を高精細に仕上げることができました。
ありがとうございました。